第4節 廃棄物の適正な処理の推進


1 一般廃棄物対策

廃棄物の3Rを推進するための目標を設定し、広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進する「循環型社会形成推進交付金制度」を創設し、平成17年度は、交付金等(産業廃棄物分を含む。)により、熱回収施設、高効率原燃料回収施設、汚泥再生処理センター、埋立処分地施設、リサイクルセンター等の一般廃棄物処理施設の整備を図りました。
このほか、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業に対して補助を行いました。さらに、都道府県において、ダイオキシン類対策、余熱の有効利用、公共工事のコスト縮減等の観点から策定された「ごみ処理の広域化計画」に基づいた廃棄物処理施設の整備を推進しました。
生ごみ等のバイオマス系廃棄物は、飼料・たい肥などへの再生利用や熱・電気に転換するエネルギー利用の可能性があり、循環型社会及び脱温暖化社会の実現を目指すため、平成17年9月からその3R・処理のあり方について、検討を開始しました。
これまで処理が困難であった廃FRP船及び廃消火器を、製造事業者等が広域的にリサイクル等の処理を行う廃棄物処理法に基づく広域認定制度の対象品目に指定し、製造事業者等による処理システムづくりを推進しました。
アスベストを含有する家庭用品が廃棄される場合、通常の家庭用品と同様に市町村が処理を行うこととなりますが、処理の工程で、アスベストが飛散することがないように対応する必要があります。このため、市町村に対し、製品に関する情報を提供するとともに、当面の対応として、飛散防止に留意し、1)他のごみと区別して排出してもらい、破損しないよう回収すること、2)できるだけ破砕せず、散水や速やかな覆土により最終処分を行うこと、3)保管する場合は他の廃棄物と区別が付くようにすることを平成17年9月に周知しました。
また、恒久的な対応として、より安全な処理方法・システムについて、処理施設におけるアスベストの挙動調査、分析を行い、専門家の意見を聴き、考え方を取りまとめ、市町村に対して提示する予定です。

2 産業廃棄物対策

産業廃棄物の処理は排出事業者責任において行うことが原則であり、排出事業者責任の徹底を図っています。これと同時に排出事業者が優良な処理業者を選択できる条件を整備するため、産業廃棄物処理業の優良化を推進するための事業を行うとともに、不適正処理事案に迅速に対応するため、電子マニフェストの普及・促進に計画的・総合的に取り組んでいます。また、平成15年、16年及び17年の廃棄物処理法の改正により、不法投棄の罰則や監視の強化を図りました(詳細は本節3参照)。
全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、平成16年度の投棄件数は673件で前年度に引き続き減少しました。一方、投棄量は、15年度以前から行われていたと考えられる静岡県沼津市における約20.4万tの事案を含め全体で約41.1万tとなりました(図4-4-1)。このように産業廃棄物の不法投棄の状況が依然として厳しいことを踏まえ、5年間で大規模事案(5,000tを超えるもの)を撲滅することを当面の目標とした「不法投棄撲滅アクションプラン」(平成16年)により産業廃棄物の不法投棄対策を進めています。

図4-4-1	不法投棄件数及び投棄量の推移

不法投棄の早期発見・拡大防止のためには、監視体制の強化を図ることが重要であることから、平成17年10月、地方環境事務所の組織改編に当たり廃棄物・リサイクル対策担当職員を増強し、立入検査へ同行するなど都道府県等との連携を強化しています。また、現場調査等に精通した専門家チームを、地方公共団体が行う立入検査等の現場に派遣し、地方公共団体職員のスキルアップを図る不法投棄事案対応支援事業を行いました。
不法投棄等された産業廃棄物に起因する生活環境保全上の支障の除去等については、廃棄物処理法に基づき、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金(産業廃棄物適正処理推進センターの基金)から、支障の除去等を行う都道府県等に対して財政支援を行っています。
また、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するため、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号。以下「PCB特別措置法」という。)に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」により、北九州市、愛知県豊田市、東京都、大阪市及び北海道室蘭市において拠点的広域処理施設の整備を進め、北九州市、愛知県豊田市及び東京都での処理が開始されました。

3 廃棄物処理法及び浄化槽法の改正

RDF施設などにおける事故や硫酸ピッチの不法投棄、に対応するため、平成16年には、国の役割の強化による不適正処理事案の解決、廃棄物処理施設を巡る問題の解決、指定有害廃棄物(硫酸ピッチ)の不適正処理の罰則や不法投棄等の罪を犯す目的で廃棄物の収集又は運搬をした者の罰則の創設等を内容とする廃棄物処理法の一部改正が行われ、17年4月までに順次施行されました。17年5月には、大規模不法投棄、無確認輸出等廃棄物の不適正処理に対する対応を強化するとともに、より適切な事務処理体制を確立するため、保健所設置市に係る事務の見直し、産業廃棄物管理票制度の強化、無確認輸出に関する罰則の強化等の措置を講ずることを内容とする、廃棄物処理法の一部改正法が成立し、17年10月(一部は平成18年4月)から施行されました。また、アスベスト廃棄物等の円滑かつ安全な処理を促進するため、溶融などの高度な技術により無害化処理を行う者について環境大臣が認定した場合、都道府県知事等による業や施設設置の許可を不要とする制度(無害化処理認定制度)を新設することを内容とする廃棄物処理法の一部改正法が18年2月に成立しました。
また、公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図るため、浄化槽の放流水に係る水質基準を創設するとともに、法定検査の実施に対する都道府県の監督権限を強化すること等を内容とする「浄化槽法の一部を改正する法律」が平成17年5月に成立し、18年2月に施行されました。

4 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の制定

平成9年改正の廃棄物処理法に基づく産業廃棄物適正処理推進センターの基金制度が適用されない、10年6月以前に不適正処分された産業廃棄物によって生じる生活環境保全上の支障の除去等を計画的かつ着実に推進するため、15年6月に特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号。以下「産廃特措法」という。)が制定されました。この法律に基づき、国は、都道府県等が自らその支障の除去等の事業を行う場合、それに要する経費について国庫補助や地方債の特例等の財政支援を行います。
平成17年4月までに、香川県豊島事案、青森・岩手県境不法投棄事案、山梨県須玉町事案、秋田県能代市事案、三重県桑名市事案、新潟県上越市事案の6事案について、県が支障の除去等の事業を行うために策定した実施計画に環境大臣が同意しました。

5 広域処理場整備の推進

全国的に最終処分場の確保が困難となっている中で、近畿圏においては、広域臨海環境整備センター法(昭和56年法律第76号)に基づき大阪湾フェニックス計画が推進されており、神戸沖処分場などにおいて近畿2府4県内の177市町村から排出される廃棄物を受け入れています。

6 廃棄物処理対策における環境配慮

港湾における廃棄物処理対策として、平成17年度は、27港1湾において廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施しました。また、資源のリサイクルの促進のため、首都圏の建設発生土を全国の港湾建設資源として広域的に有効活用するプロジェクト(いわゆるスーパーフェニックス)を6年度に開始し、17年度は広島港、粟津港等において建設発生土の受入れを実施しました。


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