第3節 循環資源の適正な循環的な利用の推進


1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律について

平成9年に改正された廃棄物処理法に基づき、一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることを環境大臣が認定し、認定を受けた者については業及び施設設置の許可を不要とする再生利用認定制度が設けられました。17年度までに、一般廃棄物では、62件の認定を、産業廃棄物では46件の認定を行いました。
また、平成15年の廃棄物処理法改正において、広域的に行うことによって廃棄物の減量その他その適正な処理の確保に資するとして環境大臣の認定を受けた者について、廃棄物処理業の許可を不要とするとともに、処理基準の遵守、帳簿の記載及び保存の義務等の規制を適用する広域認定制度が設けられました。17年度までに、製造事業者等による自主回収及び再生利用を促進するため、一般廃棄物では59件の認定を、産業廃棄物では88件の認定を行いました。

2 資源の有効な利用の促進に関する法律について

資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)に基づき、複写機の製造における再生部品の使用や自動車、オートバイ、パソコン、ぱちんこ遊技機等の3R(リデュース、リユース、リサイクル)配慮設計等の推進に取り組みました。また、パソコンと小形二次電池について事業者による自主回収・リサイクルの取組を促進するとともに、自動車用バッテリーの回収・リサイクルシステムの再構築に向け、中央環境審議会と産業構造審議会に検討会を設け、自動車用バッテリーを資源有効利用促進法の指定再資源化製品として指定すること等について報告書の取りまとめを行いました。さらに、製品のライフサイクル全体において、天然資源消費量、廃棄物発生量及び環境負荷を最小化するような対応が可能となるよう、製品ごとの3Rシステムの高度化を図るために必要な措置について、産業構造審議会の製品3Rシステム高度化ワーキング・グループにおいて検討を行い、報告書の取りまとめを行いました。また、日本では製品中の有害物質に起因する環境汚染は顕在化していませんが、環境汚染を未然に防止するため、環境省においては、「製品中の有害物質に起因する環境負荷の低減方策に関する検討会」を設置して検討を行い、報告書の取りまとめを行いました。
このほか、事業者の自主的な取組を促進することを目的として、産業構造審議会廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定・フォローアップ等を行いました。

3 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律について

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号。以下「容器包装リサイクル法」という。)に基づき分別収集を実施する市区町村数及び分別収集量等の一層の拡大を図るべく、制度の着実な施行に取り組みました。
また、同法は施行後10年で、一部規定の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていることから、引き続き中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会等において制度の評価・検討を行いました。審議会での結論を踏まえ、すべての関係者の協働の下、容器包装廃棄物の3Rのより効果的・効率的な推進を図るため、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」を第164回国会に提出しました。
さらに、再商品化義務を履行しない事業者、いわゆるただ乗り事業者に対し、指導、勧告、公表及び命令を実施しました。

4 特定家庭用機器再商品化法について

特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号。以下「家電リサイクル法」という。)に基づき、廃家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機)について、消費者による適正な排出と費用の負担、小売業者による排出者からの引取りと製造業者等への引渡し、製造業者等による小売業者などからの指定引取場所における引取りと家電リサイクル施設における再商品化等を推進しました。17年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は、1,162万台に達しています。

5 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律について

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)の施行に当たっては、事業者等に対する説明会の開催、都道府県等による全国一斉パトロールの実施、対象建設工事に係る事前届出時の届出済みシールの交付など、法の普及・啓発及び実効性の確保などに努めました。
また、建設リサイクル法の円滑な施行を図るため、再資源化施設の稼働状況等を提供する「建設副産物情報交換システム」の全国運用を進めたほか、「建設副産物適正処理推進要綱」の周知・徹底及び「建設リサイクル推進計画2002」にのっとった建設リサイクルの推進を図りました。
さらに、リサイクルの遅れている建設発生木材については、平成17年10月に千葉県をモデルとして「千葉県における建設発生木材リサイクル促進行動計画」を策定したほか、建設副産物をリサイクル用途に合わせて分別し、少量化・多品目化した建設副産物を分別した状態のまま効率良く回収する「小口巡回共同回収システム」の構築に向けて、首都圏建設副産物小口巡回共同回収システム構築協議会を立ち上げて検討しています。そのほか、建設汚泥についても、建設汚泥再生利用指針検討委員会を立ち上げ、再生利用の促進に関する検討を進め、平成18年3月に報告書をまとめました。

6 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律について

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)に基づく食品関連事業者等の再生利用等の実施を確保するとともに、これらの円滑な取組を確保するため、登録再生利用事業者制度等の措置を活用した優良なリサイクル業者の育成等を推進しました。
また、食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、普及啓発の実施、食品廃棄物を含むバイオマス利活用を図ろうとする地域に対する施設整備の支援等を実施しました。
さらに、食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の見直し等を行うため、食品リサイクル小委員会を設置し、平成17年10月から施行状況等についての調査審議を開始しました。

7 使用済自動車の再資源化等に関する法律について

使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号。以下「自動車リサイクル法」という。)が平成17年1月に本格施行されたことから、関係事業者向け説明会を実施するほか、関係団体とも協力し一般の自動車所有者への理解促進も図りました。
平成17年度は約3,952万台のリサイクル料金が預託され、約305万台が使用済み自動車として引き取られることにより、適正処理・リサイクルが実施されました。

8 バイオマス・ニッポン総合戦略の推進

平成14年12月に閣議決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、各種施策を推進しました。具体的には、情報提供やシンポジウムの開催等を通じた国民的理解の醸成、バイオマス利活用計画の策定やバイオマス利活用に関する調査・実証等の地域における取組への支援、バイオマスの効率的な利活用が可能となる社会システム設計に関する研究開発、新技術等を活用したバイオマス利活用施設の整備に対する支援等を実施しました。また、バイオマスプラスチックの利活用を促進するため、技術開発、普及啓発、導入実証等の取組を「モデル事業」の枠組みの中で実施しました。
さらに、地球温暖化防止の観点などから、バイオマス輸送用燃料の利用や木材などの未利用バイオマスの活用を促進すること等を内容とした新たな「バイオマス・ニッポン総合戦略」を、平成18年3月に閣議決定しました。

9 エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法について

平成15年に改正されたエネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(平成5年法律第18号)に基づき、従来からの国内の省エネルギー対策、リサイクル対策、特定フロン対策に加え、海外で行われるエネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制事業や、リデュース、リユース事業に対する支援を実施しました。

10 都市再生プロジェクトの推進

都市再生プロジェクトとして推進している「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」に向けて、首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会及び京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会では、廃棄物の減量化目標の達成、廃棄物処理・リサイクル施設の整備、静脈物流システムの構築等を内容とする中長期計画を策定し、この中長期計画に基づき、毎年、その進ちょく状況の点検及び新たな課題の検討等のフォローアップを行っています。平成17年度も、それぞれ中長期計画に基づく取組はおおむね計画どおりに進められており、引き続き国、地方公共団体及び民間事業者が一体となって取組を推進していくことが確認されました。
さらに、中部圏においては平成17年9月に中部圏ゴミゼロ型都市推進協議会が設置され、18年7月の取りまとめを目指し、中長期計画の内容について検討しました。

11 総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組

循環型社会の実現を図るため、広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流の拠点となる港湾を「総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)」(全国18港)に指定し、官民連携の推進、港湾施設の整備など総合的な支援策を講じました。また、循環資源の取扱いに関するガイドラインの作成・周知やリサイクルポート間での循環資源の輸送実験等を実施しました。さらに、今後増加が見込まれる汚染土壌の積み出しや処理を行う拠点の形成やネットワークの形成についての検討を行いました。

12 ゼロ・エミッション構想の推進

地域における資源循環型社会経済構築の実現に向けて、関係各省が連携して、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しています。平成18年1月時点で全国26地域のエコタウンプランを承認し、それぞれの計画に基づくリサイクル関連施設整備事業等に対するハード面の支援を実施しました。

13 その他の取組について

下水道事業で発生する汚泥については、緑農地利用や建設資材利用などによる汚泥の有効利用を推進しており、平成16年度には約67%(汚泥発生時乾燥重量ベース)の下水汚泥がリサイクルされています。
農業集落排水事業においては、処理過程で発生する汚泥について、コンポスト化や建設資材利用等によるリサイクルを推進しました。
さらに、貝殻等の水産副産物を増養殖場の造成に活用するための調査を行うとともに、漁港及び漁場の整備に活用する「水産系副産物活用推進モデル事業」を実施しました。
畜産業において発生する家畜排せつ物については、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成11年法律第112号。以下「家畜排せつ物法」という。)に基づき、適正な管理の徹底・有効利用を促進するため、家畜排せつ物処理施設等の整備を行うとともに、地域の状況に応じたたい肥の利活用モデルの普及を推進しました。


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