第4節 廃棄物の適正な処理の推進


1 一般廃棄物対策


 廃棄物の発生抑制・循環的利用・適正処理の促進を図るため、平成16年度は、1,423億円の補助金等(産業廃棄物分を含む。)により、ごみ処理施設、汚泥再生処理センター、埋立処分地施設、リサイクルプラザ等の一般廃棄物処理施設の整備を図りました。
 その他、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業に対して補助を行いました。さらに、都道府県において、ダイオキシン類対策、余熱の有効利用、公共工事のコスト縮減等の観点から策定された、ごみ処理の広域化計画に基づいた廃棄物処理施設の整備を推進しました。
 ごみ固形燃料を利用した発電施設の固形燃料保管設備において爆発事故が発生したこと等を踏まえ、平成15年度にはごみ固形燃料の安全な製造・利用を行うためのガイドラインを取りまとめ、16年度にはこのガイドラインを基に、ごみ固形燃料の安全な製造や利用に係る基準について、規制の強化を行いました。

2 産業廃棄物対策


 産業廃棄物の処理は排出事業者責任において行うことが原則であり、排出事業者責任の徹底を図っています。これと同時に排出事業者が優良な処理業者を選択できる条件を整備するため、産業廃棄物処理業の優良化を推進するための事業を行うとともに、不適正処理事案に迅速に対応するため、電子マニフェストの普及促進に計画的・総合的に取り組んでいます。また、平成15年及び16年の廃棄物処理法の改正により、不法投棄の罰則や監視の強化を図りました(詳細は本節3参照)。
 全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、平成15年度の投棄件数は894件で前年度に引き続き減少しました。一方、投棄量は、16年3月に発覚した岐阜市における約56.7万tの事案を含め全体で約74.5万tとなり、平成5年度の調査開始以来最大となりました。(図4-4-1)。このように産業廃棄物の不法投棄の状況が依然として厳しいことを踏まえ、16年6月に公表した「不法投棄撲滅アクションプラン」では、5年間で大規模事案(5,000tを超えるもの)を撲滅することを当面の目標として、産業廃棄物の不法投棄対策を進めています。


図4-4-1 不法投棄件数及び投棄量の推移


 不法投棄の早期発見・拡大防止のためには、監視体制の強化を図ることが重要であることから、都道府県等の監視体制強化等に対する経費を助成するとともに、地方環境対策調査官事務所においてIT機器等を活用した新たな監視手法の運用を行いました。また、現場調査等に精通した専門家チームを、地方公共団体が行う立入検査等の現場に派遣し、地方公共団体職員のスキルアップを図る不法投棄事案対応支援事業を行いました。一方、軽油の密造に伴い排出される硫酸ピッチの不適正処分については、廃棄物処理法を改正し、硫酸ピッチを指定有害廃棄物として基準に合致しない保管や処分等について直罰を課すことができるようにしました。また、軽油密造に関する地方税法改正も踏まえ、関係機関との連携の強化、情報の共有化を図りました。
 不法投棄等された産業廃棄物に起因する生活環境保全上の支障の除去等については、廃棄物処理法に基づき、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金(産業廃棄物適正処理推進センターの基金)から、支障の除去等を行う都道府県等に対して財政支援を行っています。
 また、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するため拠点的な処理施設の立地について、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号。以下「PCB特別措置法」という。)に定める「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」を策定するとともに、北九州市、愛知県豊田市、東京都、北海道室蘭市及び大阪市において拠点的な処理施設の整備事業が具体化されました。

3 廃棄物処理法の改正


 平成15年に、不法投棄の未然防止のための規制の厳格化とリサイクル促進のための制度の合理化を内容とする廃棄物処理法の一部改正法が成立し、15年12月から施行されました。しかし、RDF施設などにおける事故や硫酸ピッチの不法投棄が全国的に問題になりました。これらの課題に対応するため、16年には、国の役割の強化による不適正処理事案の解決、廃棄物処理施設を巡る問題の解決、指定有害廃棄物(硫酸ピッチ)の不適正処理の罰則や不法投棄等の罪を犯す目的で廃棄物の収集又は運搬をした者の罰則の創設等を内容とする廃棄物処理法の一部改正法が成立し、17年4月までに順次施行されました。平成17年3月には、大規模不法投棄、無確認輸出等廃棄物の不適正処理に対する対応を強化するとともに、より適切な事務処理体制を確立するため、保健所設置市に係る事務の見直し、産業廃棄物管理票制度の強化、無確認輸出に関する罰則の強化等の措置を講ずることを内容とする、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」を第162回国会に提出しました。
 さらに、政令及び省令の改正により、油化施設・炭化施設の処理基準の明確化、ミニ処分場に対する規制の強化、産業廃棄物の収集運搬車に対する表示と書面の備え付けの義務付け、産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度の創設等を行いました。

4 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の制定


 平成9年改正の廃棄物処理法に基づく産業廃棄物適正処理推進センターの基金制度が適用されない、10年6月以前に不適正処分された産業廃棄物によって生じる生活環境保全上の支障の除去等を計画的かつ着実に推進するため、15年6月に特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号。以下「産廃特措法」という。)が制定されました。この法律に基づき、国は、都道府県等が自らその支障の除去等の事業を行う場合、それに要する経費について国庫補助や地方債の特例等の財政支援を行います。
 平成17年4月までに、香川県豊島事案、青森・岩手県境不法投棄事案、山梨県須玉町事案、秋田県能代市事案、三重県桑名市事案、新潟県上越市事案の6事案について、県が支障の除去等の事業を行うために策定した実施計画に環境大臣が同意しました。

5 広域処理場整備の推進


 全国的に最終処分場の確保が困難となっている中で、近畿圏においては、広域臨海環境整備センター法(昭和56年法律第76号)に基づき大阪湾フェニックス計画が推進されており、神戸沖処分場などにおいて近畿2府4県内の174市町村から排出される廃棄物を受け入れています。

6 廃棄物の処理における環境配慮等


 港湾における廃棄物処理対策として、平成16年度は、29港1湾において廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施しました。また、資源のリサイクルの促進のため、首都圏の建設発生土を全国の港湾建設資源として広域的に有効活用するプロジェクト(いわゆるスーパーフェニックス)を6年度に開始し、16年度は石巻港、中部国際空港関連工事、広島港、粟津港において建設発生土の受入れを実施しました。


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