第3節 循環資源の適正な循環的な利用の推進


1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律について


 平成9年に改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づき、一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることを環境大臣が認定し、認定を受けた者については業及び施設設置の許可を不要とする規制緩和措置が講じられました。これまでに、自動車用廃タイヤのセメントの原材料利用、自動車用廃タイヤ等の鉄鋼製造用転炉における鉄鋼製品の原材料利用、シールド工法に伴う建設汚泥の高規格堤防の築造材としての利用、シリコンウエハ製造過程で生じるシリコン含有汚泥の転炉等において溶鋼を脱酸するための利用、廃プラスチック類の高炉還元剤としての利用、廃プラスチック類のコークス及び炭化水素油としての利用及び廃肉骨粉のセメント原材料利用が、この再生利用認定制度の対象となりました。16年度には、建設汚泥の再生利用2件、廃タイヤの再生利用1件、構造改革特区区域内における廃木材の再生利用1件及び廃肉骨粉の再生利用1件を認定しました。
 また、平成15年廃棄物処理法改正により、広域的に行うことによって廃棄物の減量その他その適正な処理の確保に資するとして環境大臣の認定を受けた者について、廃棄物処理業の許可を不要とするとともに、処理基準の遵守、帳簿の記載及び保存の義務等の規制を適用する制度が設けられました。16年度には、製造事業者等による自主回収及び再生利用を促進するため、一般廃棄物では廃パーソナルコンピュータ34件、廃二輪自動車15件の認定を、産業廃棄物では63件の認定を行いました。

2 資源の有効な利用の促進に関する法律について


 資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)に基づき、複写機の製造における再生部品の使用や自動車、オートバイ、パソコン、ぱちんこ遊技機等の3R(リデュース、リユース、リサイクル)配慮設計といった対策を推進するとともに、事業者の自主的な取組を促進することを目的として、産業構造審議会廃棄物・リサイクルガイドラインの改定・フォローアップ等を行いました。また、パソコンと小形二次電池について、事業者による自主回収・リサイクルといった対策を講じました。

3 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律について


 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号。以下「容器包装リサイクル法」という。)に基づき分別収集を実施する市区町村数及び分別収集量等の一層の拡大を図るべく、制度の着実な施行に取り組みました。さらに、市区町村の分別収集・選別保管等に係る費用の実態把握等に関する調査及び飲料容器を対象にしたライフ・サイクル・アセスメント(LCA)調査を昨年度に引き続き実施しました。また、同法は施行後10年で、一部規定の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされています。これを踏まえ、平成16年7月から中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会において制度の評価・検討を始めました。
 また、特定事業者捕捉システムの活用等により、再商品化義務を履行しない事業者、いわゆるただ乗り事業者対策を引き続き行いました。

4 特定家庭用機器再商品化法について


 平成13年4月から施行された特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号。以下「家電リサイクル法」という。)に基づき、16年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は、1,122万台に達しています。
 また、資源の有効利用を一層推進するため、平成16年4月から対象品目として家庭用の電気冷凍庫を追加するとともに、フロン対策の強化を図る観点から、電気冷蔵庫等の断熱材に含まれるフロン類の回収・破壊等の実施を義務付けました。

5 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律について


 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)の施行に当たっては、事業者等に対する説明会の開催、全国一斉パトロールの実施など、法の普及・啓発及び実効性の確保などに努めました。
 また、建設リサイクル法の円滑な施行を図るため、再資源化施設の稼働状況等を提供する「建設副産物情報交換システム」の全国運用を進めたほか、「建設副産物適正処理推進要綱」の周知・徹底及び「建設リサイクル推進計画2002」にのっとった建設リサイクルの推進を図りました。さらに、リサイクルの遅れている建設発生木材等についてリサイクルの促進のための検討を進めているほか、建設副産物をリサイクル用途に合わせて分別し、少量化・多品目化した建設副産物を分別した状態のまま効率良く回収する建設副産物小口巡回共同回収システムの構築に向けた取組を実施しました。

6 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律について


 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)に基づく食品関連事業者等の再生利用等の実施を確保するとともに、これらの円滑な取組を確保するため、登録再生利用事業者制度等の措置を活用した優良なリサイクル業者の育成等を推進しました。
 また、生産から消費までの各段階を通じた食品循環資源の再生利用等を推進するため、普及啓発の実施、モデルとなるような食品リサイクル施設の整備、地域の食品リサイクル等を推進するための計画の作成及び実践等による再生利用等の促進等を実施しました。

7 使用済自動車の再資源化等に関する法律について


 使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号。以下「自動車リサイクル法」という。)を平成17年1月に本格施行しました。本格施行前には、関係団体等とともに実効的かつ効率的なリサイクルシステムの体制作りを進めました。また、関係事業者間における制度の理解の促進を図るため、16年に全都道府県において関係事業者向け説明会を実施するとともに、関係団体とも協力し一般の自動車所有者への理解促進も図りました。

8 バイオマス・ニッポン総合戦略の推進


 平成14年12月に閣議決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、各種施策を推進しました。具体的には、情報提供やシンポジウムの開催等を通じた国民的理解の醸成、バイオマス利活用計画の策定やバイオマス利活用に関する調査・実証等の地域における取組への支援、バイオマスの効率的な利活用が可能となる社会システム設計に関する研究開発、新技術等を活用したバイオマス利活用施設の整備に対する支援等を実施しました。また、バイオマスプラスチックの利活用を促進するため、技術開発、普及啓発、導入実証等の取組を「モデル事業」の枠組みの中で実施しました。

9 エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法について


 平成15年に改正されたエネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(平成5年法律第18号)に基づき、従来からの国内の省エネルギー対策、リサイクル対策、特定フロン対策に加え、海外で行われるエネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制事業や、リデュース、リユース事業に対する支援を実施しました。

10 都市再生プロジェクトの推進


 都市再生プロジェクトとして推進している「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」に向けて、首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会及び京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会では、廃棄物の減量化目標の達成、廃棄物処理・リサイクル施設の整備、静脈物流システムの構築等を内容とする中長期計画を策定しています。この中長期計画に基づき、毎年、その進捗状況の点検及び新たな課題の検討等のフォローアップを行っています。平成16年度は、それぞれ中長期計画に基づく取組はおおむね計画どおりに進んでおり、引き続き国、地方公共団体及び民間事業者が一体となって取組を推進していくことが確認されました。

11 総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組


 循環型社会の実現を図るため、広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流の拠点となる港湾を「総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)」(全国18港)に指定し、官民連携の推進、港湾施設の整備など総合的な支援策を講じました。また、循環資源の取扱いに関するガイドラインの作成・周知やリサイクルポート間での循環資源の輸送実験等を実施しました。さらに、今後増加が見込まれる汚染土壌の積み出しや処理を行う拠点の形成やネットワークの形成についての検討を行いました。

12 ゼロ・エミッション構想の推進


 地域における資源循環型社会経済構築の実現に向けて、関係各省が連携して、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しています。平成17年4月時点で全国23地域におけるエコタウンプランを承認し、それぞれの計画に基づくリサイクル関連施設整備事業等に対するハード面の支援、及び環境関連情報提供事業等に関するソフト面での支援を実施しました。

13 その他の取組について


 下水道事業で発生する汚泥については、緑農地利用や建設資材利用などによる汚泥の有効利用を推進しており、平成15年度には約64%(汚泥発生時乾燥重量ベース)の下水汚泥がリサイクルされています。
 農業集落排水事業においては、処理過程で発生する汚泥について、コンポスト化や建設資材利用等によるリサイクルを推進しました。
 さらに、貝殻等の水産副産物を増養殖場の造成に活用するための調査を行うとともに、漁港及び漁場の整備に活用する「水産系副産物活用推進モデル事業」を全国5地区で実施しました。畜産業において発生する家畜排せつ物については、平成16年11月に、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成11年法律第112号。以下「家畜排せつ物法」という。)が本格施行され、野積みや素掘りによらない適正な処理や保管が義務付けられ、たい肥化による農業利用等の利活用が本格的に推進されることになりました。


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