近年、国立公園の原生的な自然を有する地域を訪れる利用者が増加しつつあり、原生的な雰囲気が失われ、風致景観、生物多様性の保全上の支障が生じている地域が見られます。
一方で自然公園の利用という観点からは、このような原生的な自然を有する地域は、より深い自然とのふれあいと体験が得られる場として重要であり、一定のコントロールの下で持続的な利用を図ることは有効だと考えられます。
このため、国立・国定公園の風致又は景観の維持とその適正な利用のために、利用調整地区を指定し、利用調整地区には環境大臣又は都道府県知事(指定認定機関が指定されている場合は指定認定機関)の認定又は許可を受けなければ立ち入ってはならないという利用調整地区制度が設けられています。
また、立ち入りの認定に際しては、利用調整地区ごとに利用者数や滞在日数などの基準を定めています。
【参考】
利用調整地区の利用者の認定に関わる業務は、当該地区に近接した場所で効率的に行われることが望ましいことから、地元の団体等を指定し認定業務を行わせることができることとしました。指定認定機関は、利用調整地区ごとに1機関のみとし、適正かつ確実な認定関係事務の執行を確保するため、遵守事項や秘密保持義務、監督命令、報告徴収及び立入検査等の規定が設けられています。
認定又は立入認定証の再交付のための手数料は利用者の負担とし、この手数料により認定関係事務を行っています。手数料については、実費を勘案して別途政令において適切な額を定めています。
現在、国立・国定公園内では、吉野熊野国立公園の西大台地区(2007年9月~)と、知床国立公園の知床五湖地区(2011年5月~)において、利用調整地区が運用されています。ともに、利用調整効果のモニタリング評価、利用ガイドラインの周知などを行い、管理体制の強化・充実を図っています。利用調整地区に入るためには環境大臣が指定する指定認 定機関への事前申請、手数料の納付等の手続きが必要となりますので、それぞれ、下記のホームページで詳細をご確認ください。