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日本の絶滅危惧種
 日本には、現在わかっているだけで9万種以上もの多様な生きものが生息しています。 しかし、その多くは人間の活動によって生存がおびやかされています。 これまでの長い地球の歴史の中で、生きものの絶滅は自然に起こってきましたが、 現在は、かつてないスピードで、多くの生きものが絶滅しつつあります。 大昔に繁栄した恐竜達のように、生きものはいったん絶滅してしまうと、二度と地球上に戻ることはありません。 また、それぞれの生きものは自然の中で密接につながっているので、ある生きものの絶滅によってバランスが崩れ、 自然環境全体に大きな影響を与えてしまうことになります。
 このため、環境省レッドリスト(環境省レッドリストHP参照)では「絶滅のおそれのある野生生物(絶滅危惧種)」として 3,155種がリストアップされていて、日本の自然環境を守るために、生きものの絶滅回避に向けた取り組みが全国でおこなわれています。

種の絶滅速度
1975年以前は、1年間に絶滅する種数は1種以下でしたが、
現在は1年間に4万種もの生きものが絶滅していると言われています。

種の絶滅数のグラフ


生きものの絶滅回避と生息域外保全
 絶滅危惧種を守るにはどのようにすれば良いのでしょうか?
ある生きものが絶滅の危機にさらされている場合、その原因は生息地にあります。このため、生存をおびやかす原因を科学的に特定して、これらを取り除いたり、生息環境を改善することで、生息地で数が増えるようにすることが重要になります。
例えば、生息地での捕獲や開発を禁止したり、餌となる植物が増えるように草刈りをするなどです。
 しかし、絶滅危惧種の生息地では、生存をおびやかす原因が様々あり、またこれらを取り除いていくことは簡単ではないため、多くの時間がかかります。
 このため、生息地ではなく、安全な施設に生きものを保護して、それらを育てて増やすことにより絶滅を回避する方法があります。これを「生息域外保全」と呼びます。例えば、動物園や水族館、植物園などで絶滅のおそれのある生きものたちを飼育・栽培しているのも「生息域外保全」にあたります。また、場合によっては、増やした生きものを生息地に戻す「野生復帰」の取り組みもおこなわれます。生きものを絶滅させないためには、生息地での保全の取り組みと同時に「生息域外保全」をあわせて総合的に取り組むことが求められています。
 これから生息域外保全や野生復帰について、どのような取り組みがおこなわれているか、また取り組むにあたっての重要なポイントなどを、詳しく見ていきましょう。

生息地での保全と生息域外保全の関係図
生息地での保全と生息域外保全の関係図

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