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海とのつきあい方 保全・利用の基本的視点

“海洋保護区”で守る

(1)海洋保護区とは

生態系や生物多様性の保全に対する意識の高まりから、海洋保護区を設定することで、生物多様性の保全を推進する動きが世界的に活発になっています。

ただ、どのような海にも一律にあてはまる海洋保護区の設定基準があるわけではありません。対象となる海やそこでの利用の特徴などを踏まえて、保護区を適材適所に設定することが重要です。

また、最近では個々の保護区が全体として生物多様性や生態系の保全を効果的に発揮していくために、海洋保護区のネットワークを形成させるべきであるという考え方も現れてきています。

そこで、このような世界の動きを踏まえつつ、今後日本が推進すべき海洋保護区を以下のように定義します。

海洋生態系の健全な構造と機能を支える生物多様性の保全および生態系サービスの持続可能な利用を目的として、利用形態を考慮し、法律又はその他の効果的な手法により管理される明確に特定された区域。

(2) 日本の海洋保護区の現状と課題

日本では、海洋保護区に該当すると思われる海域の指定を、古くから様々な方法で行ってきました。
例えば、

(1)自然公園、自然海浜保全地区(2)自然環境保全地域、鳥獣保護区、生息地等保護区、天然記念物の指定地 (3)保護水面、沿岸水産資源開発区域 

など、多数の保護区がすでに存在します。

今後、必要な海域について海洋保護区の設定を推進していく際には、制度の充実や効果的な組み合わせを検討していくことが大切です。

また、既存の保護区においても、自然再生の取組や里海の取組を行うなど、管理を充実させていくことも重要です。加えて、海の生態系は陸と比べて生物の移動等の変化が激しいことから、空間的・時間的な要素を加味し、規制や管理を季節や期間によって変えるなどの柔軟性も求められます。