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海とのつきあい方 保全・利用の基本的視点

海の生物多様性の重要性を知る

海の生物多様性を維持管理していくためには、周囲の生態系とのつながりまで含めた“総合的な視点”が不可欠です。

(1)海と陸のつながり

海と陸は、河川や地下水などを通じてつながっており、陸からは川や海の生物のいとなみを豊かにする栄養塩や、干潟・砂浜を形成する土砂が供給されます。一方、海からはサケなどの遡上を通じて、海の栄養塩類が川上の森林に運ばれます。

海と陸は互いに支え合うなかで生態系を形成しており、海の生物多様性を保全していくためには、海の生きものそれぞれの特性や生態系を形成する様々な関係者の情報を把握し、海との陸のつながり=流域全体という総合的な視点が重要です。

カラフトマス

海から産卵のために川を遡上するカラフトマスたち。産卵して力尽きたマスたちは、熊に食べられたり、土にかえったりなどして、陸上の生態系の循環に入ります。

 

(2)各国の海とのつながり

海の生物多様性は国内の問題にとどまりません。日本の海は各国の海ともつながっています。また、広大な海にはクジラなどのほ乳類や渡り鳥、ウミガメ、回遊性の魚など、様々な国々の海を行き来する生きものもいます。つまり、海の生物多様性を保全していくためには、日本の海だけでなく、各国の海とのつながりという総合的な視点から、関わりのある国々と連携・協力していくことが大切なのです。

特に日本は、先進国の中でも魚介類を最もたくさん食べている国の一つです。国際的にも重要な役割をになっているといえます。

ウミガメ

砂浜で生まれたよちよち歩きのウミガメ。海を回遊して成長し、やがて卵を産むために生まれ故郷の海に戻ってきます。