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平成14年度第1回議事要旨

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第1回環境省政策評価委員会 意見要旨 〈委員会での意見及び送付意見の要旨〉

1.日時: 平成14年6月21日(金)14:00~16:00

2.場所: 経済産業省1012会議室

3.出席者

-委員-

(委員長)

市川 惇信

東京工業大学名誉教授

 

大塚 直

早稲田大学法学部教授

 

岡島 成行

(社)日本環境教育フォーラム専務理事(中途退席)

 

河野 正男

横浜国立大学大学院教授

 

小林 珠江

株式会社西友環境推進室長

 

崎田 裕子

ジャーナリスト・環境カウンセラー

 

佐野 角夫

ソニー株式会社顧問

 

須藤 隆一

埼玉県環境科学国際センター総長

 

山本 良一

東京大学国際・産学共同研究センター教授

 

鷲谷 いづみ

東京大学大学院農学生命科学研究科教授

-環境省-

松本大臣官房長、桜井会計課長、一方井政策評価広報課長、小沢環境保健部企画課長 他

   

4.議題:

(1)環境省における政策評価の仕組みと運用について
(2)政策評価委員会等のスケジュールについて
(3)平成14年度事後評価(案)について
(4)その他


5.議事概要  


議事概要

6.送付意見  

送付意見

〔議事概要〕

(官房長挨拶)

市川委員長: 委員会のマンデートは評価をすることではない。政策評価法によると、評価は各省庁が責任を持って実施することとなっており、 その際に有識者のの知見の活用が求められていることから、政策評価委員会が開催されているという位置づけ。 従って委員会の役割は評価にあたってアドバイスを行うことにある。国民の視点にたってアドバイスをしていけばよい。

岡島委員: 役所のパブリックコメントはただやったというのが多い。実施していることをマスコミを使って示す等工夫してほしい。 国家戦略はかなり苦労して作られたと思う。今後は環境学習と自然とのふれあいに重点を置き、環境省として本腰を入れてやってほしい。 組織・予算が少ないのではないか。
(地球環境問題対策)南北の問題を踏まえた議論をそろそろやってほしい。石原慎太郎さんの時以来本質論はなされていないのではないか。 方向性を探りながら、我が国の役割を踏まえた議論をしたほうがよいのではないか。

(政策評価書について事務局説明)

佐野委員: 次の政策に活かすという意味ではplan do see のseeの部分が要だと思う。しっかり評価をしたい。

崎田委員:市民等の提言を受け入れるというシステムもあり、期待感も高いが、 ああいう取り組みは個々の政策の企画立案だけでなく、全体の政策に活かしてほしい。全体の政策の評価、企画立案の中でどのように出てくるのか。

市川委員長:15年度の政策の企画立案のほうにかかわってくるのではないか。事務局から説明を受けたい。

(事務局からの説明)

市川委員長:まず、評価書の枠組・構成についての総合的に議論をしたい。

須藤委員:この評価書は網羅的・客観的すぎるのではないか。政策の論点は正確に全部きちんと入れ込んであるが、 重点施策への評価につなげなければいけないという趣旨なのであれば、このような平板な紙を見せられてご意見を伺いたいと言われても 網羅的すぎて重点の議論は難しいのではないか。重点施策につなげる場合、重点的にまとめることが必要ではないか。

市川委員長:法律は主要な行政課題、政策が未着手 未了のものについて評価を実施することとしている。

山本委員:Ⅰの目次の「環境への負荷の少ない」という語はどの言葉にかかるのか。

河野委員:個別政策を議論してもキリがない。重点政策を抽出して並べたような資料がほしい。 質的重要性と量的重要性があるだろう。環境行政には予算はあまりかからないが、規制によって人の行動を規定するような施策が多く、 有効性・必要性という観点から重点施策の順位が決まると思う。効率性というのは環境政策において第一に議論するには問題がある。 しかし、環境省は1600億円の大きな予算があると思うがこの評価書ではそれがどこに入っているのかよくわからず、 これではどこで評価するのか。質、量で軽重をつけてもらえないか。

崎田委員:事前評価や政策提言等いろいろやろうとしている事はわかるが、実際どのように活かされてきたのか。 評価書の中にそういう要素を入れてほしい。パブリックコメントも行うということであるが、各担当部署で所管の政策について どのくらいパブリックコメントをしており、どういう反応があったのかも評価書に記入していくべきではないか。

小林委員:評価書を見てこんなにいろいろなことをやっているのねと思った。しかし共通しているのは、 民生・生活者の意識に関わるようなことと、各省庁にまたがるようなものに対して環境省がどのようにリーダーシップをとっているのか (またはとり難いのか)ということがはっきりしていないこと。そこを書き込むと政策の問題点よりがよく見えてきて、 評価をする上でも大きな意味を持つのではないか。生活者の対策が非常に遅れていると感じている。対象が不特定多数であるのために手がつけ難く、 そのためにおいて行かれているような気がする。そこに手をつけないと、政策の大きな進展は見られないのではないか。その点を整理してほしい。

鷲谷委員:国民への説明に重点を置くという観点からは、だいたい分量、形としては文句がないのではないか。 主体があいまいな文章が多々あるので、そこをしっかりかき分けることが必要ではないか。継続する施策については問題点、 改善のための課題等を書き込んでもよいのではないか。

佐野委員:現在の社会を考えると、日本だけの問題では対応できない。国際的な取り組み等にメスを入れた基本的なプロジェクトを作ってほしい。 ドメスティックな問題についても海外のサプライがどのように影響するのかという視点が大事。生産地域での環境教育等についても考慮してほしい。 こうした評価については企業ではふつう目標についてタイムスケジュールをたててプライオリティをつけ実施していくことのフォローアップという形をとる。 そういう観点から評価をしてほしい。

大塚委員:普段専門的な議論をしているせいかそれほど細かいとは思えない。しかしどこに重点を置くかということは考えた方がよい。 こうした評価書の他に重要な施策をピックアップして記述したものも必要だ。以前も指摘したことかもしれないが、目標について、 かなり定量的な目標が入っているが、そうでもないものもある。目標のところでできるだけ定量的な目標を挙げないとフォローアップが難しくなる。 崎田委員からも話しがあったが、パブリックコメントの扱い方は局や課によって微妙に違っているように感じている。 それぞれまとめて同じような意見についてコメントしてもらっているが、何件意見がきたということに重点を置きすぎていないか。 例えば特定の団体から頼まれて意見がきているようなものもあるのでそういうことにも気をつけるべきではないが。

山本委員:こういう平板な評価書では環境ビジネスで日本経済を再生させるといったような大きな環境政策のフレームワークが見えてこない。 アジアを巻き込んで環境保全と経済発展の両立ができるようにするべき。

市川委員長:委員の意見を踏まえると3つの選択肢がある。

事後評価書を抜本的に手直しし、政策評価委員会として政策に軽重をつけてパブリックコメントを行う。

評価書が網羅的になるのは仕方ないとして、今後の展開を含めて全部書いておきたいという原局課の意向を受けた姿は残しておいて、 この上に重点化の方向等を書き込んで横断的に環境省の政策を鳥瞰したしっかりした傘をかぶせる。

断固として重点的なものだけを取り上げた評価書を事務局に作成してもらう。

一方井課長:委員長の提案うちの2番目の選択肢を予定していた。今の時点では官房として省内の政策にプライオリティをつけてない。 本日の先生方のご意見も踏まえ、重点化したものを作成し、それについて議論してほしいという話だ。

委員:意義はない。

市川委員長:枠組みの議論はここでなされたことにして、個別の問題について6月30日までに事務局に連絡してほしい。 今日の議論から重点はくみ取れるという話しだったがそういう観点から話したものでもないので、各委員の考える環境政策の重点化の構成要素について は意見用紙に書き込んで送付してほしい。それを参考に次回向けの原稿を作ってほしい。舌足らず、時間足らずだったが、 次回の報告書の構成とplan do see に向けて政策にプライオリティ付けをしたものが出てくると期待している。


〔送付意見〕

(時間の制約もあり、個別の評価や今後の重点施策についての意見については、 委員会終了後に委員から意見を提出してもらった。)

(1)事後評価書について

①全般的事項

  • 予算規模の大きな施策(循環型社会の構築)の必要性、有効性、効率的使用の状況が、評価書から読みとりにくい。評価の書き方を工夫してほしい。
  • 目標未達成の理由及び達成に向けての具体的努力(計画)を記載すると内容が充実する。単に、未達成、一層努力の表現が多く平板な印象を受ける。
  • 各国と比較して日本はどのような位置にあるか、改善すべき点は何かについての記述があった方がよい。

②個別事項

  • 試験研究、監視・観測等の部分で、重要さに比して記述が小さい。
  • 環境アセスメントの部分で、各分野における取組の具体例を記載する必要がある。 
  • 自然環境保全と自然とのふれあいの部分で、エコツーリズムや離島対策については、持続可能性に寄与するようなものとして明確にする必要がある。
  • 廃棄物・リサイクル対策の部分で、循環型社会の実現に関しても、事業者のみならず市民が率先して暮らしを見直すことが強く求められている。
    <課題>の環境教育の文言の中に「市民一人ひとりのくらしの見直しとごみ減量実践にむけた普及啓発や環境教育・環境学習の推進」と明示したらどうか。
    また、一般廃棄物の更なる排出抑制と、費用負担の公平性を考え、<課題>の中に「一人ひとりの排出量に応じた費用負担のあり方の検討」などを加えたらどうか。
  • 環境教育・環境学習の推進の部分で、『環の国』の実現目指して、市民や事業者が主体的にくらしや事業活動を見直すためにも、 環境教育・環境学習や、担い手の人材育成が大いに期待されている。
    <課題>を「環境教育・環境学習の総合的な推進に向けた方策の検討や、 情報  の収集・提供」としたらどうか。
  • 環境パートナーシップの形成の部分で、「全体評価、政策提言募集、大臣との対話、パブリックコメント募集、インターネットの交流の場」 等の内容をどのように受けとめたのか。事後評価の中で具体的に感じ取れると、信頼感がいっそう増す。
  • 環境と経済の統合に向けた取り組みの部分で、環境課題の解決には省庁間の横の連携や協力も不可欠。環境と経済の統合に関しては、 特に他省庁への働きかけ  による事業効果という側面も評価してはどうか。

(2)重点的事項について

①全体的事項

  • 重点領域として、次の領域を立ててはどうか。  
     ・温暖化の抑止と制御(温暖化を中心として) 
     ・循環型社会の形成(廃棄物の資源としての見方) 
     ・生活環境の維持改善(化学物質の総合管理、自然との共生等) 
     ・企業・国民の参画協力(動機づけ、教育、ボランティア、国民からの提案等) 
     ・研究開発・監視(研究開発が国の重要政策で環境分野がその重点分野であり国際貢献の有力な途。ナノテクに限らず総合的に、国立環境研の評価結果を取入) 
    関連する内容を、「施策の立案」「法の整備と効果」「国際的活動」・・のような項目立ての下で、総括的に記述したらどうか。
  • 重点政策として、次の項目を立ててはどうか。
     ・地球温暖化対策  
     ・循環型社会構築の基本的事項
     ・化学物質の生体影響と生物多様性の保全
     ・環境保全の意識啓発と環境パートナーシップの形成
     ・環境科学技術の総合的推進
     ・自然(生態系)の修復と再生
  • 重点政策として、次の項目を立ててはどうか。 (持続可能な社会実現のための実践の仕組みづくりの年に) 
     ・地球温暖化対策に向けた市民のくらしの見直しと定着させる仕組みづくり
     ・循環型社会の実現に向けた市民生活と事業活動の見直しと実践の仕組みづくり
     ・環境と経済の両立した循環型社会経済システムの確立と環境税の検討
     ・化学物質管理のあり方とリスクコミニュケーションの推進
     ・環境教育・環境学習を担う人・場・施設をつなぐ総合的推進とNPO、NGOの活用

② 個別事項

  • 地球温暖化対策について、京都メカニズムに基づく戦略的政策を今から打ち出す必要がある。
    例えば、温室効果ガスの現状把握、将来予測の制度の向上、削減目標を国内目標と国外目標に分けて設定、CDM、JI及び排出権取引による数値目標と相手国の選定、2国間交渉というような戦略的アプローチを対策の中に加える。
  • 環境と経済の統合に関わる政策についてより詳しくしていく必要がある。アジアでのグローバルリサイクルネットワーク、グリーン購入基準等アジアにおけるエコビジネス振興を視野に入れていくべきである。
  • 大気環境の保全の部分で、浮遊粒子状物質(ナノ粒子まで含めて)の規制強化のための基本事項を早急に整備する視点が重要である。
  • 水環境の保全の部分で、閉鎖性水域の改善効果(特に湖沼)は現れていない。その原因の究明を急ぎ,効果の現れる対策を重点的に実施すべきである。このなかでは非特定汚染源対策が重視される。
  • 土壌環境の保全の部分で、土壌汚染対策が着実に実施されることを期待したいが、近々かなりの件数の対応を迫られる可能性が高いので,制度の運用と支援措置等の整備を急ぐ必要がある。
  • 廃棄物・リサイクル対策の部分で、循環資源の適正な利用を図ることはもちろん必要であるが、リサイクルすることによる負荷の発生および循環型社会構築におけるリサイクルの役割等について定量的な評価を行う必要がある。
  • 化学物質対策の部分で、化学物質対策については広範囲に進められていることは評価できるが,内分泌撹乱作用と生態影響については予防原則に則った対策を積極的に推進する必要がある(対策の遅れが懸念される)。
  • 自然環境保全と自然とのふれあいの推進の部分で、自然環境保全と併せて再生を積極的に進める必要がある。事業の推進は関係省庁が行うことは承知しているが、その基本的考え方、計画手法、環境影響等については環境省がリーダーシップをとるべきである。
  • 環境パートナーシップの形成の部分で、環境保全活動の活性化を担う専門家の養成が急務である。
  • 環境アセスメントの部分で、戦略的環境アセスメントについても、もっと積極的に推進する方向を目指した方がよいと思う。 
  • 試験研究、監視・観測等の部分で、環境省が環境科学技術を総合的に担っているという視点が重要である。その推進者の一つになっている65ある自治体の研究機関の活性化をさらに推進させるべきである。 
  • 自動車排ガス対策の部分で、自動車税のグリーン化が効果をあげたとのことであり、PMやNOxの低減に向けて、規制的手法のみでなく、経済的手法の活用を拡充してほしい。
  • 環境保健に関する調査研究の部分で、花粉症、化学物質過敏症、電磁波は、今日に残っている公害だと思われる。これらの調査を早急に進めてほしい。また、内分泌かく乱物質についても同様である。

 



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