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評価・認証・表示制度

社会的な評価」で解説しているように、近年、SDGsESG投資の考え方が広まり、これまで倫理的観点から重視されてきた環境配慮活動が経済的観点からも評価される社会に変化しつつあります。このような社会の変化の中で、エネルギー性能や建物利用者の健康・快適性等に優れたZEBへの取組は、自治体や企業などの環境配慮活動の一環としても位置付けることができます。

一方で、ZEB等の環境・エネルギー性能の高い建物に関する取組を進めていくためには、その性能を評価・認証・表示し、建築物の供給者側と利用者側との間で共有することが重要です。オーナーなどの供給者側ではこのような情報を開示することで自らの取組を周知することができるとともに、建物の価値を利用者側に訴求することができ、テナントなどの利用者側ではその情報に基づいて入居先を選定するなどといった活用方法が考えられます。

ZEBに限らず、建築物の評価・認証・表示を行う制度の代表例としては下表のようなものが挙げられます。下表を見ると分かるように、個別の建築物の環境性能を評価・認証する制度は世界各国に存在しますが、大きく分けるとBELSやENERGY STARのようにエネルギー性能に特化して評価を行うもの、CASBEEやLEEDのようにエネルギー性能に限らず総合的な環境性能を評価するものの2種類があります。なお、総合的な環境性能を評価するものは、従来、エネルギー性能を主眼に置きつつ水消費、材料、敷地計画などに関する取組を評価するものが主でしたが、近年は、働きやすさや健康性などへの注目の高まりから、快適性や健康性を主眼に置いたWELLやCASBEE-ウェルネスオフィスといった制度も出てきています。また、個別の建築物ではなく、建築物を取り扱う不動産会社やファンド等の取組を評価するGRESBという制度もあります。

世界の主な建物の環境認証制度
この図は、世界の主な建物の環境認証制度を説明したものです。

日本でよく使われている評価・認証制度について詳しくご紹介します。

BELS(ベルス) Building-Housing Energy-efficiency Labeling System

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)とは、2014年に一般社団法人住宅性能評価・表示協会により開始された、建築物の省エネルギー性能の表示制度のことです。建築物の販売・賃貸を行う事業者は、建築物省エネ法第7条により、建物の省エネ性能を表示することを求められています。国土交通省の定めるガイドラインでは、表示する性能は自己評価と第三者認証の両方が認められており、BELSは第三者認証の例として位置づけられています。

BELSはエネルギー性能のみを評価する制度ですが、上表に掲げた他の諸外国のエネルギー性能評価制度がエネルギー消費量の実績値を評価する仕組みとなっている(EPCは国によって異なる)のに対し、BELSは設計時点での性能を評価することとなっています。BELSの認証物件数は、2018/12/31現在、非住宅で1151件、住宅で70633件となっています。

ZEBの評価とBELSの評価は同じBEI(基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の割合、詳しくはZEBの定義参照)という指標が用いられています。BELSでは、BEIの値によって星の数で5段階評価が行われ、BEI1.0以下(省エネ基準)で星2、BEI0.8以下(誘導基準)で星3というように、性能が良いほど星の数が増えていきます。(星1の評価は既存建築物のみ対象)ZEBの基準を満たしている場合、BELSの星表示に加え、『ZEB』「Nearly ZEB」「ZEB Ready」の表示をすることもできます。

関連リンク(外部サイト):一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 建築物省エネルギー性能表示制度について

eマーク

eマーク(省エネ基準適合認定マーク)とは、既存建築物が省エネ基準に適合していることを示す表示制度のことです。eマークもBELSと同様に、国交省の定める省エネ性能表示のガイドラインにおいて、既存建築物の省エネ性能を表示する制度として位置づけられています。BELSは新築・既存建築物の両方を評価対象としていますが、eマークは既存建築物のみに限定されています。また、eマークはあくまでも省エネ基準に適合していることを示すものであり、より高い水準を目指すものではないため、BELSのようなランク分けもありません。

関連リンク(外部サイト) :一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 認定表示制度とは

この図は、eマークです。 出所)国土交通省, 建築物省エネ法の表示制度のページ

CASBEE(キャスビー)Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)とは、2001年に国土交通省主導のもと開発された、建築物の環境性能を評価するシステムのことです。評価対象は建築物から都市まで幅広く、評価対象に応じて分けられた各評価ツールを総称して「CASBEEファミリー」と呼んでいます。CASBEEはLEEDやBREEAMといった海外の制度と同様に、エネルギー性能だけでなく資源循環や室内環境等も含めた総合的な環境性能を評価するシステムですが、LEEDをはじめとする海外の制度が、環境負荷低減に主眼を置きつつ評価項目の一部として環境品質向上を扱っているのに対し、CASBEEは環境負荷(Load)と環境品質Q(Quality)を2つの評価軸として明確に分けて扱っている点が特徴的です。Lを分母、Qを分子に取ったBEE(環境性能効率)という指標の値の大きさに応じて、Cランク(劣っている)から、B-、B+、A、S(大変優れている)の5段階でランク分けされます。2018/4/27現在、674件の認証物件があります。(CASBEEファミリーの全認証の総計で、認証切れ物件も含む)

自治体におけるCASBEEの活用

一部の自治体では、条例に基づいて一定規模以上の建築物を建てる際に環境計画書の届出を義務付けており、この届出にCASBEEの評価書を活用しています。自治体がCASBEEを活用する際には、各自治体の地域性や政策を勘案し、評価内容や評価基準を一部修正したものとなっています。2017/3/31現在、全国24の自治体で21,241件の届出物件があります。

CASBEE-ウェルネスオフィス

近年の室内空間の快適性・健康性に対する関心の高まりに対応するため、環境品質Qの評価項目を健康重視の方向に拡張するCASBEE-ウェルネスオフィスが現在開発中です。(2019/2/1現在)従来のCASBEE-建築と合わせて使用することで、建築物の環境性能をより広範に評価することができるようになります。

関連リンク(外部サイト):一般財団法人建築環境・省エネルギー機構 CASBEEトップページ

CASBEEファミリー
この図は、CASBEEファミリーを説明したものです。
CASBEEスコアシート イメージ
この図は、CASBEEスコアシートのイメージです。 出所)CASBEE建築環境総合性能評価システム,
CASBEE-建築(新築)

LEED(リード)Leadership in Energy and Environmental Design

LEEDとは、米国の非営利団体USGBCによって開発された、建築物の総合的な環境性能を評価するシステムのことです。上述のCASBEEと同様に、評価対象は建築物から都市まで幅広く、評価対象に応じて5種類の異なる認証カテゴリーが用意されています。認証カテゴリーごとにクレジットと呼ばれる評価項目が設定されており、クレジットの評価基準を満たすことで得られるポイントの合計値によって、CERTIFIED(標準認証)、SILVER、GOLD、PLATINUMの4段階で評価が行われます。1998年のパイロット版の開発以降、何度かのバージョンアップが行われており、2019年現在はv4が最新版となっています。CASBEEは日本国内の建築物のみを評価対象としていますが、LEEDは世界中で使用することが可能です。2018年5月現在、全世界で70,891件、日本国内に111件の認証物件があります。

関連リンク(外部サイト):一般社団法人グリーンビルディングジャパン LEED

LEEDの認証カテゴリー
この図は、LEEDの認証カテゴリーを説明したものです。

WELL(ウェル)

WELLとは、公益企業であるIWBI(International WELL Building Institute)によって創設された、健康・快適性に重点を置いた環境認証制度のことです。 CASBEEやLEEDをはじめとする従来の環境認証制度は、省エネルギー性能に重きを置きつつ資源や周辺環境といった環境性能も総合的に評価するというものですが、WELLの評価項目は人の健康・快適性に焦点を当てたものになっており、環境工学だけでなく医学的観点からも検証されている点が特徴です。建築物のエネルギー消費量を削減する取組は快適で過ごしやすい室内環境の実現にも寄与するため、ZEBを考える際にもWELLのような健康・快適性の観点は欠かせません。

LEEDと同様にWELLもバージョンアップが進められており、2018年5月に新バージョンであるv2 Pilot版が公開されました。V2 Pilot版では、WELLの評価項目は空気や水といった10のコンセプトから構成されています。各コンセプトはFeatureという複数の評価項目に分かれており、必須項目をすべて満たしたうえで加点項目を一定以上満たすことで、その点数に応じてシルバー、ゴールド、プラチナの3段階で評価が行われます。点数はFeatureの具体的要件であるPartを満たした数によって計算されます。2019年2月現在、世界中で1400件以上のプロジェクトが登録されており、日本でも15件が登録済み、うち1件が認証を受けています。

関連リンク(外部サイト):一般社団法人グリーンビルディングジャパン WELL

WELLの評価項目
この図は、WELLの評価項目を説明したものです。

※イノベーションは先進的取組を評価するボーナス項目

GRESB(グレスビー)Global Real Estate Sustainability Benchmark

GRESBとは、責任投資原則(PRI)を主導した欧州の主要年金グループを中心に2009年に創設された、不動産セクターの企業のESG配慮を評価する制度のことです。このページで紹介しているBELSやCASBEE等の他の認証制度は個々の建築物や都市を評価対象としていますが、GRESBは不動産会社・ファンドを評価対象としています。評価対象となる企業・ファンドの種類によって「GRESBリアルエステイト」「GRESBインフラストラクチャー」「GRESBリアルエステイトデット」の3種類の評価システムが存在しますが、不動産会社・ファンドを対象としたGRESBリアルエステイトが最も広く使われています。

GRESBリアルエステイト

企業のESG配慮を評価する枠組みはCDPをはじめ様々なものが存在しますが、不動産セクターに特化したものとしてはこのGRESBリアルエステイトが唯一のものと言えます。GRESBリアルエステイトの評価項目は大きく「マネジメントと方針」「実行と計測」の2軸に分かれており、両軸ともに50%以上の好評価を得るとグリーンスターの称号を獲得できます。また、総合スコアのグローバル順位によって、上位20%が5スター、次の20%が4スターというような相対評価も行われます。 GRESBリアルエステイトの参加者は全世界で903団体で、国内からは61団体(2018年9月現在)が参加しています。

関連リンク(外部サイト):一般社団法人グリーンビルディングジャパン GRESBとは

この図は、GRESBを説明したものです。 出所)CSRデザイン環境投資顧問株式会社
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