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ビルは“ゼロ・エネルギー”の時代へ

事例紹介

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建物概要

新築
事例11
JESC-ZEB棟日本地下水開発株式会社

JESC-ZEB棟の写真

地下水熱エネルギーを「冷暖房・給湯・融雪」の3つの熱需要に活用するトータル熱供給システムを国内で初めて導入し、『ZEB』を実現

ZEBの分類
『ZEB』
  • 都道府県(地域区分):山形県(4)
  • 新築/既築:新築
  • 延床面積:562.5㎡
  • 建物用途:事務所等
  • 一次エネ削減率(創エネ除く/含む):58% / 100%
JESC-ZEB棟の写真

高効率帯水層蓄熱を利活用したトータル熱供給システムで『ZEB』達成

 JESC-ZEB棟はNEDO助成事業「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」の採択を受けて、2020年に日本環境科学株式会社本社の新社屋として竣工しました。1階を分析室、2階を事務室として使用しています。

 大きな特徴として、関連会社の日本地下水開発株式会社が国内で初めて※開発した『高効率帯水層蓄熱システム』を導入して地下帯水層に冷熱・温熱を蓄え、冷暖房に利用していることが挙げられます。本施設では、このシステムを更に発展させて、給湯・融雪の熱源としても地下帯水層の蓄熱で賄うトータル熱供給システムを実現しています。

 さらに、断熱等による外皮性能の向上、外付ブラインド、全熱交換型換気システム、太陽熱温水器等の導入により省エネ率は58%、太陽光発電による創エネを考慮した場合の省エネ率は100%となり、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロとなる『ZEB』を達成しています。

※参考:国内初、高効率帯水層蓄熱システムを開発 | NEDO

 

ZEB化のポイント(導入されている主要なZEB化技術等)

地下帯水層を蓄熱槽として活用したトータル熱供給システムによる3つの熱需要への対応

 NEDO助成事業で開発された『高効率帯水層蓄熱システム』とは、地中の浅層部分(10m~200m)にある地下帯水層に冷熱・温熱を蓄え、冷暖房に有効利用するシステムのことです。帯水層にある地下水は一年を通して温度が一定で、外気温と比べると夏は冷たく冬は温かいという特徴があります。その特徴を生かし、夏期には冷房排熱(温熱)を、冬期には暖房排熱(冷熱)をこの地下水に蓄熱し、それぞれ夏期の冷房熱源、冬期の暖房熱源として利用することで効率の高いエネルギー利用を可能としています。

 本施設では、熱源機として、同社とゼネラルヒートポンプ工業株式会社が共同で開発した冷暖房と同時に給湯にも対応できる専用ヒートポンプを利用することで、給湯需要もこれで賄われています。さらに、同ヒートポンプは冬期には来客用駐車場の融雪にも活用できるようになっており、「冷暖房・給湯・融雪」の3つの熱需要に対応可能なトータル熱供給システムとして、省エネを実現しています。

 なお、夏期は前冬期に冷熱蓄熱した地下水を直接ファンコイルに送って冷房として利用するフリークーリングによりヒートポンプレス冷房を実現しており、冷房期間に同量の冷熱をヒートポンプを用いて作り出した場合と比較して約85%もの省エネ効果があるという試算結果が得られています。

高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム(左:冬期稼働、右:夏期稼働)を解説した図表
高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム(左:冬期稼働、右:夏期稼働)

 

断熱による冷暖房エネルギーの削減

 通常仕様の建物の壁厚は200mm程度が一般的ですが、本施設では壁厚を300mmとしており、さらに壁への密着性が高いウレタンフォームを外壁の内側に吹き付けることで断熱性能を高めています。また、南西側の窓には外付ブラインドを設置しており、太陽輻射熱を82%遮断することで夏期の西日が厳しい時間帯の冷房負荷を軽減することができます。

外壁構造を解説した図表
外壁構造
外付ブラインドの写真
外付ブラインド

 

高効率機器による換気・照明エネルギーの削減

 高気密・高断熱の建物には必須となる換気について、熱ロスの少ない全熱交換型換気システムを導入しています。照明設備にはLED照明を採用しており、一部には人感センサー付き自動点灯・段階調光型のLEDダウンライトを導入して更なる省エネを実現しています。

 

太陽熱温水器による給湯エネルギーの削減

 屋上に設置した84本の真空管式太陽熱温水器は、外気温の影響を受けにくい不凍液を循環させることによって、貯湯タンクに太陽熱でつくられた温水を供給しています。冬期でも太陽が出ている時間帯には50℃台の温水を供給することができます。

 

太陽光発電による創エネとEVへの蓄電

 創エネルギーとして太陽光パネル30.7kWが導入されています。発電された電気は基本的に自家消費されますが、EVに充電することで災害時には動く蓄電池として活用することができます。また、余剰電力が生じた場合は系統電量へ供給されます。

太陽光発電パネル(左)と太陽熱温水器(右)の写真
太陽光発電パネル(左)と太陽熱温水器(右)
蓄電池としてのEV活用の写真
蓄電池としてのEV活用

 

BEMS・見える化による省エネの促進

 BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)を導入することによって、建物内の省エネ状況を管理・評価しています。玄関に設置された「見える化モニター」には太陽光発電量や空調・給湯による消費電力量、トータル熱供給システムの稼働状況と効率が表示され、お客様・施設利用者への省エネに対する啓蒙にもつながっています。

 

更なるZEB化推進の取り組み(他施設への展開)

 本施設のオーナーで、設備設計施工会社でもある日本地下水開発株式会社は2021年にZEBリーディング・オーナーに登録されたと共に、JESC-ZEBプロジェクトの実績を活かして山形県内企業で初めてZEBプランナーに登録されました。2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、地中熱・地下水熱のリーディングカンパニーとしてZEBの普及促進に取り組んでいます。

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