課題名

B-15 アジア太平洋地域における温暖化対策分析モデル(AIM)の構築に関する研究

課題代表者名

森田 恒幸 (環境庁国立環境研究所地球環境研究グループ)

研究期間

平成3−5年度

合計予算額

113,685千円 (うち5年度 46,464千円)

研究体制

(1) アジア太平洋地域における温室効果ガス排出・吸収モデルの構築に関する研究

(環境庁国立環境研究所)

(2) アジア太平洋地域における地球温暖化の影響評価モデルの構築に関する研究

(環境庁国立環境研究所)

(3) アジア太平洋地域における社会経済発展等の基本シナリオの設定(環境庁国立環境研究所)

(4) アジア太平洋地域における森林成長モデルの開発に関する研究

(農林水産省森林総合研究所)

研究概要

 地球温暖化はアジア太平洋地域の社会経済に著しい影響を及ぼすとともに、その対策にはこの地域に大きな経済的負担を強いるものと予想されている。このため、わが国がアジア太平洋地域において中核的な役割を果たしつつ、同地域を対象とした温室効果ガス防止対策を総合的に分析する必要がある。

 本研究は、アジア太平洋地域における温室効果ガスの排出・吸収量を推定して温暖化及び社会経済への影響を評価する「温暖化対策分析モデル(AIM)」を構築し、この地域での温暖化対策の立案及びその評価に資することを目的とした。このモデルは、温室効果ガスの排出、気候変化、温暖化影響の全プロセスを統合した大規模なものであり、温室効果ガスの排出抑制のみならず温暖化影響をも総合的に勘案して政策を評価することができる。また、温暖化に深く係わる森林成長モデルについても開発を進めた。本研究により、アジア太平洋地域において各種の温暖化防止対策がどの程度の効果をもたらすかを予測・評価する手法が開発され、この地域で温暖化関連政策を検討する際の基本的な政策分析手段が提供できるようになった。

研究成果

 本研究によって得られた成果は以下のとおりである。

1)AIMの温室効果ガス排出及び気候変化についての世界モデルを概ね完成させた。

2)国別の温室効果ガス排出モデルのプロトタイプを完成させ、日本、中国及びインドネシアに適用した。

3)森林成長モデルについても開発を進めた。

4)国別の排出モデルと世界モデルをつないでシミュレーションを行い、将来の排出シナリオや温暖化シナリオを推定するとともに、温室効果ガス排出の削減手段の効果を分析した。

5)3種類の温暖化影響モデル、即ち、空間的水収支影響モデル、エコロジカル・マッチング・モデル及びマラリア分布モデルを開発した。

6)これらの影響モデルを用いて、渇水、洪水、植生変化及びマラリアに関するリスクの増加を推定した。

 本研究は、平成6年度からアジア太平洋地域における国際共同研究プロジェクトに発展する予定であり、国別モデルの開発や改良が進められるとともに、この地域の温暖化対策の評価や国際協調政策のあり方の分析にAIMを用いることが期待されている。