国際的な取組
目次
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イニシアチブ
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組織・製品のLCA
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業界固有の方法論
世界各国においても事業者のサプライチェーン排出量の見える化(把握・管理や情報開示)の動きが活発化してきており、今後ますます、その必要性が高まるものと考えられます その動きの中で、GHGプロトコルやISO14064等様々なガイドラインや規格の作成およびCDP等からの開示要求等が進行中です。
SBT(Science Based Targets)
Science Based Targetsは、パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです。
(2021年8月10日現在)
- SBTiの参加日本企業
- 152社
- 認定取得
- 125社
- コミット
(2年以内のSBT設定を表明)
- 27社
(1)SBT 概要資料(2021年8月10日更新版)
SBTの概要や参加企業の状況等を8スライドにまとめたものです。
(2)SBT 詳細資料(2021年8月10日更新版)
SBTに関する解説をはじめ、認定要件の詳細、認定事例などを紹介しています。
分割版
(3)SBT等に取組むための手引き
環境省は、「令和2年度脱炭素経営に係る普及啓発及び中小企業等の中長期排出削減目標設定等委託業務」及び「令和2年度SBT達成に向けたCO2削減計画策定マニュアル作成事業等委託業務」の成果を踏まえ、企業が脱炭素経営に取組む際に参考となるマニュアル及びガイドブックを策定しました。
①中長期排出削減目標等設定マニュアル ~サプライチェーン排出量(Scope1,2,3)算定、SBT、RE100等への取組に向けて~
SBT・RE100などの中長期排出削減目標等の設定を検討している企業等が、どのようにそれらの取組を進めればよいのかについて、具体的に整理したマニュアルです。企業の担当者が取組の進め方を把握したい時などにご参照ください。
②SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック
企業が中長期的な成長戦略としての排出削減計画を策定するために参考とするよう、検討の手順、視点、事例、参考データ等を整理したガイドブックです。経営戦略的な側面からSBT・RE100などへの取組を検討したい時などにご参照ください。
(4)SBTi 関連資料
CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI、WWFによる共同イニシアチブが運営する「Science Based Targets」サイトには、SBT設定マニュアルなど各種資料が掲載されています。(SBTi掲載資料のVersionと事務局による仮訳のVersionが相違する場合がございますのでご留意ください。最新情報はSBTのサイトにてご確認ください。)
RE100
RE100は、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする取組のことです。
(1)RE100概要資料(2021年8月10日更新版)
RE100の認定要件や参加企業の状況等を8スライドにまとめたものです。
(2)RE100詳細資料(2021年8月10日更新版)
RE100に関する解説をはじめ、参加要件の詳細、参加事例などを紹介しています。また、RE100の参加要件を満たさない団体向けに組成した日本独自のイニシアチブである再エネ100宣言 RE Actionについても紹介しています(スライド43-45)。
WMB
We Mean Businessは、企業や投資家の温暖化対策を推進している国際機関やシンクタンク、NGO等が構成機関となって運営しているプラットフォームです。
【参考URL】
WMB関連資料(2021年8月10日更新版)
We Mean Businessの構成機関や取組概要について説明しています。構成機関として、「SBT」の他、「再エネ100%目標(RE100)」、「経済指標2倍化目標(EP100)」、「電気自動車移行目標(EV100)」など、概要や参加企業を掲載しています。
GHGプロトコル Scope3
米国の環境シンクタンクWRI(世界資源研究所)と、持続可能な発展を目指す企業連合体であるWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が共催する、マルチステークホルダー方式のパートナーシップである「GHGプロトコル」が主体となって、企業のバリューチェーンにおける排出量の算定や報告の方法を示す「GHG プロトコルScope3算定報告基準(Corporate Value Chain (Scope3) Accounting and Reporting Standard)」(以下「Scope3基準」)が策定されています。この「GHGプロトコル」自体は公的機関ではないものの、海外の政府機関等がステークホルダーとして深く関与しています。「GHG プロトコル」は2008年から運営委員会及び技術作業部会で「Scope3基準」の検討を開始し、ステークホルダーの意見聴取や、60以上の企業が参加した試行テスト、ドラフト案に対するパブリックコメントなどを経て、平成23年10月に「Scope3基準」を正式発行しました。
また、Scope3基準の付帯資料として、企業のバリューチェーンにおける排出量の算定に関する実践的ガイダンス「Scope3算定技術ガイダンス(Technical Guidance for Calculating Scope3 Emissions - Supplement to the Corporate Value Chain (Scope3) Accounting & Reporting Standard)」が発行されています。Scope3算定技術ガイダンスには、Scope3の15カテゴリそれぞれのGHG排出量算定手法や、データ源、事例など、Scope3基準には含まれていない情報が含まれています。
【参考URL】
ISOによる検討
ISO(国際標準化機構)では、ISO/TR14069「温室効果ガス-組織のGHG排出量の定量化及び報告-ISO 14064-1に対する技術的手引」が検討され、2013年4月18日にISO/TR 14069として正式発行されました。このISO/TR14069 は、組織の直接及び間接排出量の定量化、並びに報告方法に関する指針を示すものであり、上記のscope3との整合性を図るべく検討されています。
また、ISO/TS14072「ライフサイクルアセスメント―組織に対する追加要求事項及び指針」が検討され、2014年12月15日にISO/TS14072として正式発行されました。このISO/TS14072は、組織が容易且つ効率的にISO14040及びISO14044 を適用するための追加的要求事項及び指針であり、LCAの組織への適用、LCAの方法論を組織レベルで用いることによるメリット、報告や比較主張に係る限界などを詳述しています。
温室効果ガスの排出量とは直接関連性はありませんが、環境マネジメントシステム規格であるISO14001においても、2015年の改正によってライフサイクルの視点を考慮することが付け加えられました。この改正によって、製品のライフサイクル評価や組織のScope3排出量の算定が求められることはありませんが、組織自らが管理及び影響を及ぼす範囲については、調達する物品・サービスに関連する環境影響に加えて、使用及び使用後の処理に関連する環境影響についても管理することが求められます。
欧州委員会(EC) 「環境フットプリント」
欧州委員会(EC)の環境総局は2011年3月から、温室効果ガス以外の指標も考慮した「製品の環境フットプリント(PEF)」と「組織の環境フットプリント(OEF)」に関する方法論の開発に着手し、2013年4月にその最終版を発行しました。
「Commission Recommendation of 9 April 2013 on the use of common methods to measure and communicate the life cycle environmental performance of products and organisations」(外部リンク)
- 製品の環境フットプリントに関する方法論
Product Environmental Footprint (PEF) Guide:上記リンク先のANNEXⅡ
- 組織の環境フットプリントに関する方法論
Organisation Environmental Footprint (OEF) Guide:上記リンク先のANNEXⅢ
(和訳は下記<参考>をご参照ください。)
このガイダンス文書では、「算定結果の比較」を重視しています。従来の LCAの方法論では、算定条件の選択に際して複数の選択肢を提供するのに対し、本ガイダンス文書では算定結果の比較可能性を担保するため、製品カテゴリ/産業セクターごとの詳細な算定ルール(PEFCR/OEFSR)を作成し、算定条件を揃えることを求めています。
また、評価が必要となる環境影響領域は気候変動だけでなく、オゾン層破壊、毒性、酸性化、資源枯渇等14領域にも及ぶ他、データの品質は一定基準以上であることが求められています。フットプリント情報の表示義務化等が行われた場合には、製品間・組織間比較が可能になるなど、企業活動における影響が非常に大きいガイダンス文書となっています。
2013年11月よりPEFCR/OEFSRの開発へ向けたパイロットが行われています。2016年末にはパイロットの終了が予定されており、2017年からはパイロットの成果を基に政策への適用に関する議論が予定されています。
【参考URL】
(和訳)
製品の環境フットプリント(PEF)ガイド:上記文書の付属書Ⅱ
組織の環境フットプリント(OEF)ガイド:上記文書の付属書Ⅲ
「環境フットプリント」のパイロットへの参加募集について(第1次パイロットの募集は2013年7月26日に締め切られております)
(和訳)
サステナビリティ・コンソーシアム
製品ライフサイクルに関する全世界の膨大な持続可能性情報の収集・分析を可能にすることを目指し、サプライヤーや小売、NGO、政府等が共同して2009年7月に立ち上げられた組織です。
当初、ウォルマートによる「サステナビリティ・インデックス」という商品の環境負荷レーティングの導入活動から始まったもので、現在はアリゾナ州立大学、アーカンソー大学を中心に運営されており、現在、約100のグローバル企業・組織が参加、各製品セクターにおけるWG等を通じて、持続可能性の測定などに関する検討を行っています。
Category Sustainable Profile(CSP;製品種別地蔵可能性プロファイル)、Key Performance Indicator(KPI;重要評価指標)、Sustainability Snapshot(持続可能性スナップショット)という製品の持続可能性に関する情報を有料で提供しています。2015年12月現在、CSPなどが整理されている製品群は110種であり、これらについてSustainable Insightsと呼ばれる情報が公開されています。
The Sustainability Consortium(外部リンク)
WBCSD chemicalsによる化学セクターガイダンス
WBCSDに加盟するグローバルの化学メーカー10社が集まり、WBCSDと共同でScope3基準の化学セクターガイダンス「Guidance for Accounting & Reporting Corporate GHG Emissions in the Chemical Sector Value Chain」を作成し、2013年2月26日に公開しました。
このガイドは、Scope3基準の付帯資料として、共同取決め、エネルギー再販、バリューチェーン(Scope3)活動の特定、コージェネレーション設備、スワップ協定など、化学業界に関連する領域を含めた、算定・報告のガイドを示しています。また、企業全体の気候変動リスクのより透明かつ一貫した報告のためのフォーマットも提供しています。
【参考URL】
ITU-Tによる組織における環境影響評価の方法
国際電気通信連合(ITU)の部門の一つで、電気通信分野の国際標準策定を担当するITU-Tにおいて、組織がエネルギー消費量及び/又はGHG排出量に関係する情報通信テクノロジーの評価を実施する際に従うべき方法論の検討を行いました。検討を通じて、組織における環境影響評価の方法論として、ITU-T L.1420勧告「Methodology for energy consumption and greenhouse gas emissions impact assessment of information and communication technologies in organizations」が2012年2月6日に承認されました。
【参考URL】
世界各国においても事業者のサプライチェーン排出量の見える化(把握・管理や情報開示)の動きが活発化してきており、今後ますます、その必要性が高まるものと考えられます。その動きの中で、GHGプロトコルやISO14064等様々なガイドラインや規格の作成およびCDP等からの開示要求等が進行中です。
これらの国際動向についてはサプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等に関する調査・研究会グローバル対応分科会(経済産業省)で紹介及び検討してまいりました。
また、これらの動向に詳しい有識者にお越しいただき、「国際ワークショップ“Scope3と組織のLCA”」(2013年11月21日)においてご講演いただきました。その際の講演者資料について、日本語に訳したものを以下に掲載いたします。
セッション1:組織(企業)活動の環境側面の評価の現状
セッション2:組織へのLCA適用のケーススタディ