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環境省地球環境・国際環境協力地球環境研究地球環境保全試験研究費(地球一括計上)の概要について>主な研究成果

6.主な研究成果

最近の主な成果

●2013年10月25日 【受賞・表彰】 
 CONTRAILプロジェクトが、第19回日韓国際環境賞を受賞しました。

●2013年9月5日 【掲載新聞・雑誌】 毎日新聞朝刊 第16面
 CO2の精密観測に挑む ●装置の小型化に成功

●2013年1月21日 【報道発表】 (独)国立環境研究所記者発表
 民間航空機を利用した観測で上空の二酸化炭素濃度の短周期変動が明らかに

【報道発表】

地球環境保全試験研究費(地球一括計上)の研究成果について参画した研究機関が記者発表を行った記事をご紹介します。

2013年1月21日 民間航空機を利用した観測で上空の二酸化炭素濃度の短周期変動が明らかに (独)国立環境研究所  記者発表

1.概要
 (独)国立環境研究所、気象庁気象研究所、カナダ・ヨーク大学の研究グループは、「環1151 民間航空機によるグローバル観測ネットワークを活用した温室効果ガスの長期変動観測」で実施しているCONTRAIL(民間航空機による大気観測プロジェクト)により得られた二酸化炭素(CO2)濃度の高頻度観測値から、成田上空(地表付近から高度約10kmまで)におけるCO2濃度の総観規模の変動の季節ごとの特徴や高度変化を明らかにしました。
さらに、上空におけるCO2濃度の総観規模の変動は、高度や季節によって、日本や東アジアに由来する地上からのCO2放出やCO2吸収の影響を強く受けていることがわかりました。
この結果は、CO2の放出・吸収源の分布や放出量・吸収量を見積もる際、大気中CO2濃度の総観規模の変動が一つの指標として役に立つことを示しています。

2.データ解析の方法
得られた高度ごとのCO2濃度の時間変化から、長周期の変動(経年変化・季節変化)を取り除くことにより、残った短周期の変動を総観規模の変動に相当するとみなし、その平均的な変動幅(標準偏差をその指標としました)を季節ごとに解析しました。

3.大気輸送モデルを用いた発生源・吸収源の推定
成田上空におけるCO2濃度の変動の由来を調べるために、まず、全球大気輸送モデルを用いて算出したCO2濃度のデータと、CONTRAILによって観測により得られた季節・高度分布がよく再現できることを確認し、次いで、この輸送モデルを用いて、発生源・吸収源を推定するため、地域を日本(Jpn)、東アジア(CKT)、東南アジア(SEA)、ロシア東部(Eru)、ヒマラヤ(Him)、インド(Ind)の6つの領域に分け、CO2放出・吸収を化石燃料および陸域生態系由来にの区別して、合計12個のタグを設定し輸送モデルシミュレーションを行いました。(図.1凡例参照)。


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図.1 タグ付きシミュレーションにより計算された成田上空のCO2濃度の総観規模の変動幅。
成田上空の、全球の全ての放出・吸収源由来のCO2による変動幅(Χ

成田上空のCO2濃度の総観規模の変動(Χ)のうち、大気境界層内では日本のCO2放出・吸収(●と■)の影響が大きいものの、自由対流圏では一年を通じて、東アジアに由来するCO2の放出や吸収()に最も影響を受けていることがわかりました。春季に上部対流圏(高度およそ8~10 km)で見られた総観規模の変動幅の増加は、春季に卓越する東アジアからの汚染大気の吹き出し(アウトフロー)により上部対流圏に運ばれたCO2が偏西風に乗って日本上空を通過する様子を捉えたと考えられます。

3.結果
 CO2濃度の総観規模の変動が高・低気圧の通過と連動していることを見るため、2007年6月13日~16日の高度約3 kmにおける大気中CO2濃度の輸送モデルによるシミュレーション結果を、天気図と共に図2に示します。
CO2濃度の高い気塊が寒冷前線の背後に分布しており、低気圧が本州の南岸を東進するのに伴い、成田上空のCO2濃度の上昇をもたらしたことがわかります。

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図5. 2007年6月13日~16日の、(a)高度約3kmにおける大気中CO2濃度のモデル計算値
および(b)地上天気図。((a)のCO2濃度は中央値を基準とした相対濃度(ppm)で表した。)

■本研究は、環境省地球環境保全試験研究費(地球一括計上)により実施されました。
環1151 民間航空機によるグローバル観測ネットワークを活用した温室効果ガスの長期変動観測 (23年度~27年度)
環境省(独)国立環境研究所 国土交通省気象研究所 研究代表者 町田 敏暢

■この内容をまとめた論文は、平成24年12月26日発行のTellus Series B誌から学術論文(Shirai et al., 2012)として発表されました。
"Relative contribution of transport/surface flux to the seasonal vertical synoptic CO2 variability in the troposphere over Narita"

2012年2月13日 大気中酸素濃度分布の定期貨物船上での長期継続観測に成功
-オーストラリア/ニュージーランド沖で観測される高濃度CO2の起源推定が可能に-
(独)国立環境研究所  記者発表

1.概要
国立環境研究所は、船上において酸素濃度の精密測定を行う計測システムを開発し、グローバルスケールで大気中酸素濃度の空間分布や時間変化を長期間(複数年)観測することに世界で初めて成功しました。この観測により、オーストラリア/ニュージーランド沖で観測される二酸化炭素(CO2)濃度の高い大気塊のうち2/3以上は化石燃料起源ではなく陸域生態系起源(呼吸、森林火災)であることが分かりました。

2.酸化比によるCO2起源推定
化石燃料や有機物の酸化反応におけるCO2の放出量と酸素の消費量の比(酸化比=O2消費量(モル)/CO2生成量(モル))は、酸化される物質の元素組成(炭素:水素:酸素:硫黄:窒素)に依存して1~2の間のさまざまな値を取る。陸域生態系や化石燃料の平均的な酸化比、さらに、代表的な化石燃料の酸化比をまとめると次のようになる(表1参照)。
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大気中CO2濃度および酸素濃度の現場観測を行うと、数時間~数日スケールの変動の観測が可能になり、CO2濃度の上昇に伴い酸素濃度の減少が見られる。このCO2および酸素濃度の変動比は、CO2発生源の組成比と関連付けられると考えられるため、大気中CO2および酸素濃度の観測に基づきCO2の起源の推定が試みられている。

3.結果
2007年9月から2009年7月までのデータを解析したところ、オーストラリア/ニュージーランド沿岸を航行時に5~40ppm程度CO2濃度が一時的に上昇する現象が観測された。その各々の事例についてCO2とO2濃度の相関を調べた結果、O2減少量/CO2増加量比(-ΔO2/ΔCO2比)は、1.15以下のものが全体(23例)のうちの2/3を占め(図)、主に陸域生態系(呼吸と森林火災)のシグナルであると推測された。

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図.オーストラリア/ニュージーランド沿岸で観測された高CO2濃度大気塊
におけるO2減少量/CO2増加量比(-ΔO2/ΔCO2比)のヒストグラム

■本研究は、環境省地球環境保全試験研究費(地球一括計上)
環0450「陸域・海洋による二酸化炭素吸収の長期トレンド検出のための酸素および二酸化炭素同位体比に関する観測研究」(16年度~20年度)
  環境省(独)国立環境研究所 研究代表者 向井 人史 1,902KB[PDF]
環0955「二酸化炭素の全球収支解明のための大気中酸素および炭素同位体の長期観測 研究(21年度~25年度)
  環境省(独)国立環境研究所 研究代表者 遠嶋 康徳
により実施されました。

■この内容をまとめた論文は、平成24年2月発行予定の米国地球物理学会誌「Journal of Geophysical Research-Atmospheres」に掲載されます。

 
2010年5月17日 東アジアにおけるフッ素系温室効果気体(HCFC類、HFC類、PFC類)の排出実態を解明 (独)国立環境研究所  記者発表

1.概要
国立環境研究所は、沖縄県波照間島と北海道落石岬において代替フロンを含むフッ素系温室効果気体の高精度・高頻度モニタリングを実施しています。このたびこれらの観測を活用した国際共同研究を行い、大気観測から排出量を推定するトップダウンアプローチにより、東アジアにおけるフッ素系温室効果気体の詳細な排出分布を初めて明らかにしました。

2.結果
波照間島・落石岬と、韓国のGosan、中国のShangdianziの各ステーションにおける観測と輸送モデルを組み合わせた解析により、2008年の東アジアにおける地域別排出量(中国、北朝鮮、韓国、日本、台湾)を求めました。計算結果は、いずれのガスも中国からの排出量が群を抜いて大きく、世界的に見ても相当の割合を占めることを示しました。また、HFC-23排出分布の計算結果には、この化合物の主要な排出源であるHCFC-22生産工場の所在地との対応も見られました。


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図1.2008年のHFC-23排出量分布の最適見積もり

黒丸は観測ステーション、米印は中国と日本国内におけるHCFC-22の生産工場の位置を示す。 なお、Shangdianziでは, HFC-23が測定されていないため、この解析は波照間、落石、Gosanの3ステーションのデータを用いて行った。

■本研究は、環境省地球環境保全試験研究費(地球一括計上)
環0541「東アジアにおけるハロゲン系温室効果気体の排出に関する観測研究」(17年度~20年度) 環境省(独)国立環境研究所 研究代表者 横内 陽子 1,081KB[PDF]
により実施されました。

■本研究をまとめた論文は、4月16日発行の国際学術誌「Atmospheric Chemistry and Physics」および5月4日発行の「Environmental Science & Technology(web版)」に掲載されました。


【掲載新聞・雑誌】

地球環境保全試験研究費(地球一括計上)の研究成果として新聞・雑誌に掲載された記事をご紹介します。

●「環1151 民間航空機によるグローバル観測ネットワークを活用した温室効果ガスの長期変動観測(23年度~27年度)」環境省(独)国立環境研究所 国土交通省気象研究所 研究代表者 町田 敏暢」について、掲載された新聞・雑誌は、次のとおりです。

2013年9月5日 CO2の精密観測に挑む ●装置の小型化に成功 毎日新聞朝刊 第16面
2011年2月12日 北半球のCO2南に大量流入 気象研など初めて確認
「温暖化対策 地球規模で」
毎日新聞朝刊 第1面
17 November 2005 Scheme to track greenhouse gases takes to the air
NATURE Vol 438
e0653 研究課題
「環0653 民間航空機を活用したアジア太平洋域上空における温室効果気体の観測」
環境省(独)国立環境研究所

【受賞・表彰】

地球環境保全試験研究費(地球一括計上)の研究成果に関連して受けた受賞・表彰された記事をご紹介します。

2013年10月25日 『CONTRAILプロジェクト』 第19回日韓(韓日)国際環境賞
東アジア地域の環境保全に貢献した団体・個人を表彰する『第19回日韓(韓日)国際環境賞』は、『CONTRAILプロジェクト』が受賞しました。
『CONTRAILプロジェクト』には、地球環境保全試験研究費(地球一括計上)「環1151 民間航空機によるグローバル観測ネットワークを活用した温室効果ガスの長期変動観測 (23年度~27年度)環境省(独)国立環境研究所 国土交通省気象研究所 研究代表者 町田 敏暢 」が参画しています。
2013年5月17日 『CONTRAILプロジェクト』 平成25年度(第40回)「環境賞」
環境大臣賞・優秀賞
平成25年度(第40回)「環境賞」環境大臣賞・優秀賞 (公益財団法人日立環境財団)は、『CONTRAILプロジェクト』が受賞しました。
『CONTRAILプロジェクト』には、地球環境保全試験研究費(地球一括計上)「環1151 民間航空機によるグローバル観測ネットワークを活用した温室効果ガスの長期変動観測 (23年度~27年度)環境省(独)国立環境研究所 国土交通省気象研究所 研究代表者 町田 敏暢 」が参画しています。

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