環境影響評価法(平成9年法律第81号)は、前回の法改正から10年が経過したことから、前回の改正法の附則に定める施行状況の検討を行いました。
2024年10月、今後の環境影響評価制度全体の在り方に対する結論を得るため、中央環境審議会に諮問がなされました。「風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会」及び「環境影響評価制度小委員会」における審議を経て、2025年3月、「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)」と「今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)」が取りまとめられ、工作物の建替事業に係る配慮書手続の見直しや、環境影響評価図書の制度的な継続公開などの必要性が示されました。この結論を踏まえ、「環境影響評価法の一部を改正する法律案」を第217回国会に提出し、2025年6月に成立・公布されました。
再生可能エネルギーのうち、風力発電については、今後も更なる導入拡大が期待されている一方で、地域によっては、環境影響等への懸念が高まっている状況にあります。こうした状況に鑑み、2023年9月、環境大臣から中央環境審議会に対し、風力発電に係る環境影響評価の在り方について諮問がなされました。
その後、「中央環境審議会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会」における審議を経て、2024年3月、「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)」が取りまとめられ、まずは、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成30年法律第89号)に基づき実施される洋上風力発電事業に関し、より適正に環境配慮を確保する観点から、国が海洋環境等に関する調査を行った上で促進区域等を指定するとともに、これに相当する事業者の環境影響評価手続の一部を適用除外とする仕組みの必要性などが示されました。この結論を踏まえ、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を第217回国会に提出し、2025年6月に成立・公布されました。加えて、国が行うこととなった海洋環境等に関する調査の実施に向け、同年7月に大臣官房地域政策課洋上風力環境調査室を設置し、新制度に関する具体的な運用等の検討を進めました。
環境影響評価法では、道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所、埋立て・干拓、土地区画整理事業等の開発事業のうち、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価の手続の実施を義務付けています。環境影響評価法に基づき、2026年3月末までに計922件の事業について手続が実施されました。このうち、2025年度においては、新たに24件の手続が開始され、また、19件の評価書手続が完了し、環境配慮の確保が図られました。
近年、特に審査件数の多い風力発電所については、環境影響の程度は事業規模よりも立地に依拠する特徴があり、陸上の風力発電所に係る立地選定において適正な配慮がなされていないと判断される事業に対しては、事業計画の見直し等の厳しい環境大臣意見を述べました。洋上の風力発電所については、これまで国内における導入実績が少なく、運転開始後の環境影響に係る知見が十分に得られていないことから、最新の知見、専門家の助言等を踏まえ、適切に事後調査を実施し、必要に応じて追加的な環境保全措置を適切に講ずることなどを求める環境大臣意見を述べました。太陽光発電所については、ゴルフ場跡地等の既に開発済みの土地で行われる事業に対して、水生生物への影響を回避又は低減することや廃棄物等の適正な処理を求めた環境大臣意見を述べました。
火力発電所については、国内外の情勢を踏まえ、温室効果ガス排出削減の取組の道筋が1.5℃目標と整合する形で描けない場合には、事業の休廃止も含めあらゆる選択肢を勘案して検討するよう求めるなど、厳しい環境大臣意見を述べました。
洋上風力発電事業の環境影響に係る不確実性に対応する観点から、経済産業省と環境省が共同事務局となり、事業者が実施するモニタリングの具体的な手法等について取りまとめた「洋上風力発電所の環境影響に係るモニタリングガイドライン」を2025年9月に公表しました。また、環境影響評価に活用できる地域の環境基礎情報を収録した「環境アセスメントデータベース“EADAS(イーダス)”」において、情報の拡充や更新を行い公開しました。