環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第6節 原子力災害からの環境再生の推進

第6節 原子力災害からの環境再生の推進

1 放射性物質に汚染された土壌等の除染等の措置等

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質によって汚染された廃棄物及び除染等の措置に伴い発生した土壌等については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)及び同法に基づく基本方針等に基づき、引き続き、適正かつ安全に処理を進めていきます。

福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物等を福島県外で最終処分するまでの間、安全かつ集中的に管理・保管するための中間貯蔵施設の整備や、中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入を推進します。

福島県外において除染等の措置に伴い発生した土壌等については、適正かつ安全な処分の実施とそれまでの適切な保管の継続が確保されるよう市町村等に対する技術的、財政的支援を行い、着実に処理を進めていきます。

2 福島県外最終処分に向けた取組

中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成15年法律第44号)において、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることが明記されており、国として責任を持って取り組んでいきます。2025年3月に示した「県外最終処分に向けたこれまでの取組の成果と2025年度以降の進め方」を踏まえ、着実に取組を進めていきます。

復興再生利用先の創出等については、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議において、2025年春頃までに「再生利用の推進」「再生利用等の実施に向けた理解醸成・リスクコミュニケーション」「県外最終処分に向けた取組の推進」に係る基本方針を取りまとめるとともに、2025年夏頃までにロードマップを取りまとめ、各府省庁が一丸となって再生利用の案件を創出するべく、取組を進めていきます。

3 放射性物質に汚染された廃棄物の処理

福島県においては、引き続き、特定廃棄物の減容化や埋立処分事業を進めていきます。福島県外の指定廃棄物については、引き続き、技術的、財政的支援も行い適正な保管を確保するとともに、各県の実情に応じて指定廃棄物の指定解除の仕組みも活用して処理を進めていきます。

4 帰還困難区域の復興・再生に向けた取組

特定復興再生拠点区域外については、まずは2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう創設された「特定帰還居住区域」制度に基づき、除染やインフラ整備などの避難指示解除に向けた取組を進めていきます。

5 放射性物質による環境汚染対策についての検討

放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律(平成25年法律第60号)において放射性物質に係る適用除外規定の削除が行われなかった廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等の取扱いについて、放射性物質汚染対処特措法の施行状況の点検結果も踏まえて検討します。