環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第8節 環境保健対策

第8節 環境保健対策

1 リスクコミュニケーションを通じた放射線に係る住民の健康管理・健康不安対策

原子力災害に起因した放射線に関する健康管理・健康上の不安のケアについては、被ばく線量の把握・評価、放射線の健康影響調査研究、福島県の県民健康調査とその対象者の支援及び放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターによる支援等の取組を継続して実施するとともに、放射線の健康影響に関する誤解から生じる差別を無くすための情報発信を積極的に行います。特に、特定復興再生拠点区域の避難指示解除により帰還者等が増加する中、帰還者等が地域で主体的に行う取組との連携を進め、対話を通じて得られる参加者の意見を今後の放射線健康不安対策に活かす取組を進めます。

2 健康被害の救済及び予防

(1)被害者の救済
ア 公害健康被害補償

公害健康被害の補償等に関する法律(昭和48年法律第111号)に基づき、汚染者負担の原則を踏まえつつ、認定患者に対する補償給付や公害保健福祉事業を安定的に行い、その迅速かつ公正な救済を図ります。

イ 水俣病対策の推進

水俣病対策については、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法(平成21年法律第81号)等を踏まえ、全ての被害者の方々や地域の方々が安心して暮らしていけるよう、関係地方公共団体等と協力して、補償や医療・福祉対策、地域の再生・融和等を進めていきます。

ウ 石綿健康被害の救済

石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)に基づき、石綿による健康被害に係る被害者等の迅速な救済を図ります。また、2023年6月に取りまとめられた中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会の報告書を踏まえ、石綿健康被害救済制度の運用に必要な調査や更なる制度周知等の措置を講じていきます。

(2)被害等の予防

大気汚染による健康被害の未然防止を図るため、環境保健サーベイランス調査を実施します。また、独立行政法人環境再生保全機構に設けられた基金により、調査研究等の公害健康被害予防事業を実施します。

環境を経由した健康影響を防止・軽減するため、花粉症、熱中症、黄砂、電磁界、紫外線等について、予防方法等の情報提供及び普及啓発を実施します。

熱中症対策については、「熱中症環境保健マニュアル」等、熱中症対策に関する各種ガイドライン、普及啓発資料の作成・周知、熱中症予防情報サイト等による各種情報発信を通じて、地方公共団体、事業者、国民の熱中症予防行動の促進・強化に取り組みます。

花粉症については、令和5年5月の花粉症に関する関係閣僚会議で決定された「花粉症対策の全体像」に基づき、政府一体で取組を進めます。