グリーンな経済システムを構築していくためには、企業戦略における環境配慮の主流化を後押ししていくことが必要です。具体的には、環境経営の促進、サービサイジング、シェアリングエコノミー等新たなビジネス形態の把握・促進、環境デュー・ディリジェンスの推進、グリーン購入・環境配慮契約の推進、グリーン製品・サービスの輸出の促進等を行います。
環境・経済・社会が共に発展し、持続可能な経済成長を遂げるためには、長期的な投資環境を整備し、ESG金融を含むサステナブルファイナンスを促進していくことが重要です。このため、投資家を始めとする関係者に対しESG情報等の理解を促すとともに、企業価値の向上に向けて環境情報の開示に取り組む企業の拡大及び企業が開示する情報の質の向上を図ります。
具体的には、環境情報と企業価値に関する関連性に対する投資家の理解の向上や、金融機関が本業を通して環境等に配慮する旨をうたう「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」に対する支援等に取り組みます。
また、産業と金融の建設的な対話を促進するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同する企業等により設立された「TCFDコンソーシアム」の活動の支援やシナリオ分析等を含めたTCFD報告書に基づく開示支援等を通じて、企業や金融機関の積極的な情報開示や投資家等による開示情報の適切な利活用を推進していくとともに、産業界と金融界のトップを集めた国際的な会合の継続的な開催を通じて我が国の取組を世界に発信していきます。
また、金融・投資分野の各業界トップと国が連携し、ESG金融に関する意識と取組を高めていくための議論を行い、行動する場として「ESG金融ハイレベル・パネル」を定期的に開催するとともに、ESG金融に関する幅広い関係者を表彰する我が国初の大臣賞である「ESGファイナンス・アワード」を引き続き開催します。
さらに、株式会社脱炭素化支援機構によるリスクマネーの供給を通じて民間投資の拡大を図るとともに、脱炭素機器のリース料の補助によるESGリースの促進、バリューチェーンの脱炭素化に資する融資に対する利子補給等により、再生可能エネルギー事業創出や省エネ設備導入に向けた取組を支援します。
あわせて、グリーンボンド等の調達に要する費用に対する補助及び発行促進に向けたプッシュ型の支援の実施や、国内におけるグリーンファイナンスの実施状況等のESG金融に関する情報の一元的な発信(グリーンファイナンスポータル)、ガイドラインの内容充実化等の市場基盤整備等による資金調達・投資の促進、地域金融機関のESG金融への取組支援等を引き続き実施していきます。加えて、GX・金融コンソーシアム「Team Sapporo-Hokkaido」の枠組みに基づく取組を推進します。
以上により、金融を通じて環境への配慮や環境プロジェクトの推進に適切なインセンティブを与え、金融のグリーン化を進めます。
脱炭素や循環経済、自然再興に資する環境関連税制等のグリーン化を推進することは、企業や国民一人一人を含む多様な主体の行動に環境配慮を織り込み、環境保全のための行動を一層促進することにつながることをもって、グリーンな経済システムの基盤を構築する重要な施策です。こうした環境関連税制等による環境効果等について、諸外国の状況を含め、総合的・体系的に調査・分析を行い、引き続き税制全体のグリーン化を推進します。
地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例については、その税収を活用して、エネルギー起源CO2排出抑制の諸施策を着実に実施します。