ライフサイクル全体での徹底した資源循環を図るために、使用済製品等の解体・破砕・選別等のリサイクルの高度化、バイオマス化・再生材利用促進、急速に普及が進む新製品・新素材についての3R確立、環境負荷の見える化など、地域及び社会全体への循環経済関連の新たなビジネスモデル普及等に向けて必要な技術開発、トレーサビリティ確保や効率性向上の観点からのデジタル技術やロボティクス等の最新技術の徹底活用を行うことにより資源循環・廃棄物管理基盤の強靱化と資源循環分野の脱炭素化を両立する施策を進めます。
具体的には、地域において資源循環を担う幅広い分野の総合的な人材の育成・確保、様々な場での教育や主体間の連携を促進するための施策を進めます。
個々人の意識を高め、さらに、様々な問題意識を有するあらゆる立場の者が実際の行動に結びつくような情報発信や仕組みづくりを進めるための施策を進め、とりわけ、新たな技術やサービスを活用し新たなライフスタイルで生きる若者世代について、そのライフスタイルや意識の変化を踏まえつつ、より効果的な施策を進めます。
さらに、ESG投資が拡大する中で、我が国の資源循環に率先して取り組む企業が投資家等から適切に評価され、企業価値の向上と産業競争力の強化につながることが重要であることから、循環経済に関する積極的な情報開示や投資家等との建設的な対話に関する取組を後押しする施策を進めます。
加えて、マイクロプラスチックを含む海洋等環境中に流出したごみに関して、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)等の国際的な動向を踏まえ、国際連携を推進するとともに、モニタリング手法の調和や影響評価等の科学的知見の集積を進めるための施策を進めます。
平時から災害時における生活ごみやし尿に加え、災害廃棄物の処理を適正かつ迅速に実施するため、国、地方公共団体、研究・専門機関、民間事業者等の人的支援や広域処理の連携を促進するなど、地方公共団体レベル、地域ブロックレベル、全国レベルで重層的に廃棄物処理システムの強靱化を進めるための施策を進めます。
その際、風水害等については温暖化対策における適応策との統合、災害時のアスベスト・化学物質等への対応との統合、住民等との災害時の廃棄物対策に関する情報共有について考慮して検討を進めます。また、災害廃棄物の適正処理のため、関係省庁と連携します。
さらに、継続的に災害廃棄物の仮置場として適用可能な土地をリストアップするとともに、災害発生時に確実に運用できるよう準備を進めるなど、実効性のある災害廃棄物処理計画の策定及び改定を促進するための施策を進めます。
有害廃棄物対策や化学物質管理も含め、廃棄物の適正処理は、生活環境の保全及び公衆衛生の向上の観点から厳然として不可欠であり、今後も循環経済への移行に向けた取組を進めるに当たって大前提となるものです。資源循環及び廃棄物処理の原則としては、まずは3R+Renewable(バイオマス化・再生材利用等)を徹底し、これを徹底した後になお残る廃棄物の適正な処理を確保するという優先順位で取り組みます。また、これらの資源循環の促進に当たっては、製品の安全性の確保、有害物質のリスク管理、不法投棄・不適正処理の防止等の観点にも留意し、各主体による適正な取組を推進します。
さらに、廃棄物の不適正処理への対応強化、不法投棄の撲滅に向けた施策、アスベスト、POPs廃棄物、水銀廃棄物等の有害廃棄物対策を着実に進めるための施策を進め、ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物については、期限内の確実かつ適正な処理を推進するための施策を進めます。
東日本大震災の被災地の環境再生のため、特定帰還居住区域については、帰還意向のある住民が帰還できるよう、2020年代をかけて、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を進めます。また、放射性物質により汚染された廃棄物の適正処理に向けた取組を着実に進めるとともに、除去土壌等の最終処分に向けた減容・再生利用については、地方公共団体等の関係者と連携しつつ、関係省庁等の連携強化等により、政府一体となった体制整備に向けた取組を進めます。
また、福島の復興に、脱炭素、資源循環、自然共生等の環境施策でも貢献し、産業創成や地域創生など地元ニーズに応えながら未来志向の取組を推進します。