国内のあらゆる主体の参画と連携を促進し、生物多様性の保全とその持続可能な利用の確保に取り組むため、多様な主体で構成される「2030生物多様性枠組実現日本会議」(J-GBF)を通じた各主体間のパートナーシップによる取組や、地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律(平成22年法律第72号)に基づく地域連携保全活動に対する各種支援を行います。
生物多様性基本法(平成22年法律第58号)に基づく生物多様性地域戦略について、地域の実情に即した適切な目標や指標や地域の各主体が連携した具体的な施策等を盛り込みつつ、多くの地方公共団体で策定されるよう、技術的支援等の方策を講じます。
2024年3月に関係省庁連名で策定した「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」に基づき、企業活動における生物多様性との接点・影響の把握と、そのリスク・機会への対応に関する情報開示や目標設定が進むようワークショップの開催等を通じて支援するとともに、経済団体と協力し生物多様性に関するビジネスマッチングの場の創出や、企業間の互助・協業を目的としたプラットフォームの形成、G7ネイチャーポジティブ経済アライアンスを活用した国内企業の生物多様性の取組の国際発信等により、企業のネイチャーポジティブ経営への移行を推進します。また、事業活動による生物多様性への負荷を可能な限り減らしてもなお残る負荷に関するオフセットや、生物多様性クレジット等の経済的手法も含め、生物多様性を主流化するための方策について検討を進めます。さらに、生物多様性に配慮した製品の消費・購買活動に関する行動変容に向け、マーケットにおける検証やネイチャーポジティブな消費行動の促進策の検討と情報発信を図ります。
子供の自然体験活動の推進、「みどりの月間」等における自然とのふれあい関連行事の全国的な実施や各種表彰の実施、情報の提供、自然公園指導員及びパークボランティアの人材の活用、由緒ある沿革と都市の貴重な自然環境を有する国民公園等の庭園としての質や施設の利便性を高めるための整備運営、都市公園・海辺等の身近な場所における環境教育・自然体験活動等に取り組みます。
インバウンドの急速な回復を踏まえ、国立公園満喫プロジェクトの取組を更に進め、美しい自然の中での感動体験を柱とした滞在型・高付加価値観光や、サステナブルツーリズム、アドベンチャーツーリズムの推進を図ります。これまで、8つの国立公園を中心に進めてきた各種受入環境整備(利用拠点の滞在環境の上質化や多言語解説の充実、ビジターセンター等の再整備や機能充実、質の高いツアー・プログラムの充実やガイド等の人材育成支援、利用者負担による公園管理の仕組みの導入等)の成果を踏まえ、公園の特性や体制に応じて、自然体験活動促進計画・利用拠点整備改善計画制度も活用し、34国立公園全体で取組を推進します。
また、国立公園における滞在体験の魅力向上に向けて、「国立公園における滞在体験の魅力向上のための先端モデル事業」の対象公園とする、十和田八幡平国立公園(十和田湖地域)、中部山岳国立公園(南部地域)、大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)、やんばる国立公園の4つの国立公園において、引き続き自治体と連携し、民間提案を取り入れて、国立公園の利用の高付加価値化に向けた基本構想の策定や、選定された利用拠点におけるマスタープランの策定等の取組を進めます。
さらに、ビジターセンターや歩道等の整備、多言語解説やツアー・プログラムの充実、その質の確保・向上に向けた検討、ガイド人材等の育成支援、利用者負担による公園管理の仕組みの調査検討、国立公園オフィシャルパートナー等の企業との連携の強化、国内外へのプロモーション等を行います。
このように、国立公園の優れた自然を守ることに加え、適正な利用を推進することにより、地域を活性化し、更なる保全につなげていく「保護と利用の好循環」を実現するため、関係省庁や地方公共団体、観光関係者を始めとする企業、団体など、幅広い関係者との協働の下、取組を進めていきます。
また、貴重な自然資源である温泉の保護管理、適正利用及び温泉地の活性化を図ります。