2002年9月以降、神奈川県寒川町及び平塚市内の道路建設現場等において、作業従事者が毒ガス入りの不審びんにより被災する事案が発生しました。また、2003年3月には、茨城県神栖市の住民から、ふらつき、手足の震え等の訴えがあり、飲用井戸を検査した結果、旧軍の化学剤の原料に使用された歴史的経緯があるジフェニルアルシン酸(有機ヒ素化合物)が検出されました。こうした問題が相次いで発生したことを受けて、同年6月に閣議了解、さらに12月には閣議決定を行い、政府が一体となって、以下の取組を進めています。
神栖市の事案については、ジフェニルアルシン酸による地下水汚染と健康影響が発生したことを受け、2003年6月の閣議了解に基づき、これにばく露したと認められる住民に対して、医療費等の給付や健康管理調査、小児精神発達調査(2011年6月開始)、調査研究等の緊急措置事業を実施し、その症候や病態の解明を図ってきました。また、地下水モニタリングを実施するとともに、2004年度には地下水汚染源の掘削・除去を行い、2009年から2011年度にかけては高濃度汚染地下水対策を実施しました。地下水モニタリングについては、現在も継続的に実施しており、汚染状況を監視しています。さらに、平塚市の事案においても、地下水から有機ヒ素化合物が検出されたことから、地下水モニタリングを継続して汚染状況を監視するとともに、汚染土壌処理等を実施しています。
そのほか、平塚市・寒川町、千葉県習志野市におけるA事案(毒ガス弾等の存在に関する確実性が高く、かつ地域も特定されている事案)区域においては、毒ガス弾等による被害を未然に防止するため、土地改変時における所要の環境調査等を実施しています。
2003年12月から毒ガス弾等に関する情報を一元的に扱う情報センターで情報を受け付けるとともに、ウェブサイトやパンフレット等を通じて被害の未然防止について周知を図っています。