環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第9節 公害紛争処理等及び環境犯罪対策

第9節 公害紛争処理等及び環境犯罪対策

1 公害紛争処理等

(1)公害紛争処理

公害紛争については、公害等調整委員会及び都道府県に置かれている都道府県公害審査会等が公害紛争処理法(昭和45年法律第108号)の定めるところにより処理することとされています。公害紛争処理手続には、あっせん、調停、仲裁及び裁定の4つがあります。

公害等調整委員会は、裁定を専属的に行うほか、重大事件(水俣病やイタイイタイ病のような事件)、広域処理事件(航空機騒音や新幹線騒音)等について、あっせん、調停及び仲裁を行い、都道府県公害審査会等は、それ以外の紛争について、あっせん、調停及び仲裁を行っています。

ア 公害等調整委員会に係属した事件

2020年中に公害等調整委員会が受け付けた公害紛争事件は12件で、これに前年から繰り越された38件を加えた計50件(責任裁定事件29件、原因裁定事件18件、調停事件3件)が2020年中に係属しました。その内訳は、表6-9-1のとおりです。このうち2020年中に終結した事件は15件で、残り35件が2021年に繰り越されました。

表6-9-1 2020年中に公害等調整委員会に係属した公害紛争事件

終結した主な事件としては、「東京国際空港航空機騒音調停申請事件」があります。この事件は、東京国際空港(羽田空港)近隣において事業を営む法人5名(申請人)から、国土交通大臣を相手方(被申請人)として、本件空港を離着陸する航空機を増便する旨の計画案が実現すると、受忍限度をはるかに超える甚大な被害が生じることが明白であるとして、本件空港A滑走路を一切の航空機の北側からの着陸に供用しないこと及び損害賠償金合計5億円を申請人らに支払うこと、予備的に、一切の航空機に対して、本件空港A滑走路の北側から着陸することを許可又は指示しないことを求めたものです。公害等調整委員会は、本件について、調停委員会を設け、現地調査を実施するなど、手続を進めた結果、2020年1月、第18回調停期日において、被申請人は、今般の本件空港における飛行経路の見直しに当たり、[1]周辺地域への影響を抑制するために被申請人が行う取組、[2]A滑走路における航空機の運航の見通し、[3]申請人ら周辺地域の航空機高度及び騒音レベルの見通しに関して確認するとともに、本件見直しによる航空機の運航の開始後に、航空機による騒音の測定を行い、その結果を情報提供することなどを内容とする調停が成立し、本事件は終結しました。

イ 都道府県公害審査会等に係属した事件

2020年中に都道府県の公害審査会等が受け付けた公害紛争事件は35件で、これに前年から繰り越された45件を加えた計80件(調停事件79件、義務履行勧告事件1件)が2020年中に係属しました。このうち2020年中に終結した事件は38件で、残り42件が2021年に繰り越されました。

ウ 公害紛争処理に関する連絡協議

公害紛争処理制度の利用の促進を図るため、都道府県・市区町村、裁判所、弁護士会、法テラス及び総務省行政相談センターに向けて制度周知のための広報を行いました。また、公害紛争処理連絡協議会等を開催し、都道府県公害審査会等との相互の情報交換、連絡協議に努めました。

(2)公害苦情処理
ア 公害苦情処理制度

公害紛争処理法においては、地方公共団体は、関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるものと規定され、公害等調整委員会は、地方公共団体の長に対し、公害に関する苦情の処理状況について報告を求めるとともに、地方公共団体が行う公害苦情の適切な処理のための指導及び情報の提供を行っています。

イ 公害苦情の受付状況

2019年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で受け付けた苦情件数は7万458件で、前年度に比べ3,655件増加しました(対前年度比5.5%増)。

このうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭のいわゆる典型7公害の苦情件数は4万6,555件で、前年度に比べ1,101件減少しました(対前年度比2.3%減)。

一方、廃棄物投棄など典型7公害以外の苦情件数は2万3,903件で、前年度に比べて4,756件増加しました(対前年度比24.8%増)。種類別にみると、廃棄物投棄が1万421件(典型7公害以外の苦情件数の43.6%)で、前年度に比べて1,819件増加(対前年度比21.1%増)、その他(日照不足、通風妨害、夜間照明等)が1万3,482件で、前年度に比べて2,937件増加しました(対前年度比27.9%増)。

ウ 公害苦情の処理状況

2019年度の典型7公害の直接処理件数(苦情が解消したと認められる状況に至るまで地方公共団体において措置を講じた件数)4万2,121件のうち、2万7,987件(66.4%)が、苦情を受け付けた地方公共団体により、1週間以内に処理されました。

エ 公害苦情処理に関する指導等

地方公共団体が行う公害苦情の処理に関する指導等を行うため、公害苦情の処理に当たる地方公共団体の担当者を対象としたウェブセミナー等を実施しました。

2 環境犯罪対策

(1)環境犯罪対策の推進

環境犯罪について、特に産業廃棄物の不法投棄事犯、暴力団が関与する悪質な事犯等に重点を置いた取締りを推進しました。2020年中に検挙した環境犯罪の検挙事件数は6,649事件(2019年中は6,189事件)で、過去5年間における環境犯罪の法令別検挙事件数の推移は、表6-9-2のとおりです。

表6-9-2 環境犯罪の法令別検挙件数の推移(2016年~2020年)
(2)廃棄物事犯の取締り

2020年中に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)違反で検挙された5,759事件(2019年中は5,375事件)の態様別検挙件数は、表6-9-3のとおりです。このうち不法投棄事犯が50.7%(2019年中は50.9%)、また、産業廃棄物事犯が13.9%(2019年中は13.1%)を占めています。

表6-9-3 廃棄物処理法違反の態様別検挙件数(2020年)
(3)水質汚濁事犯の取締り

2020年中の水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)違反に係る水質汚濁事犯の検挙事件数は1事件(2019年中は3事件)でした。

(4)検察庁における環境関係法令違反事件の受理・処理状況

2020年中における罪名別環境関係法令違反事件の通常受理・処理人員は、表6-9-4のとおりです。受理人員は、廃棄物処理法違反の7,606人が最も多く、全体の約80.9%を占め、次いで、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)違反(448人)となっています。処理人員は、起訴が4,298人、不起訴が4,658人となっており、起訴率は約48%となっています。起訴人員のうち公判請求は257人、略式命令請求は4,041人となっています。

表6-9-4 罪名別環境関係法令違反事件通常受理・処理人員(2020年)

最近5年間に検察庁で取り扱った環境関係法令違反事件の通常受理・処理人員の推移は、表6-9-5のとおりです。2020年中の通常受理人員は9,401人で、前年より602人増加しています。

表6-9-5 環境関係法令違反事件通常受理・処理人員の推移