環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策>第3章 循環型社会の形成>第1節 国内における取組

第3章 循環型社会の形成

第1節 国内における取組

循環型社会形成推進基本計画(以下、「循環基本計画」という。)については、2018年度に第三次循環基本計画の制定後5年目を迎えることから、これまでの計画の進捗状況の点検結果等を踏まえつつ、同計画の見直しに向けて検討を行います。

1 「質」にも着目した循環型社会の形成

(1)2Rの取組がより進む社会経済システムの構築

環境保全を前提とした循環型社会の形成を推進すべく、リサイクルより優先順位の高い、2Rの取組がより進む社会経済システムの構築を目指し、国民・事業者が行うべき具体的な2Rの取組を制度的に位置付けるため、これまでの2Rに関する施策の成果を踏まえつつ、将来の制度化に向けた検討を行います。市町村等による一般廃棄物の適正処理・3Rの推進に向けた取組を支援するため、市町村の処理責任や一般廃棄物処理計画の適正な策定及び運用等について引き続き周知徹底を図るとともに、一般廃棄物処理に関するコスト分析方法、標準的な分別収集区分等を示す「一般廃棄物処理有料化の手引き」、「一般廃棄物会計基準」、「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」の三つのガイドラインについて、更なる普及促進に努めます。

また、研究・開発支援として環境研究総合推進費において、3Rを推進する技術・社会システムの構築に関する研究等を2017年度における採択の対象とします。

容器包装の2Rの推進を図るため、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において取りまとめられた容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書や、過年度までの事業の成果等を踏まえ、必要な措置を講じていきます。また、リユース容器の導入可能性や規格統一化の可能性、通い容器の活用等の取組の導入可能性について検討し、調査結果の地方公共団体等への提供を通じ、企業等による取組を促していきます。また、使用済製品等のリユース促進事業研究会のモデル事業を引き続き実施します。

さらに、容器包装の3Rについても、3R推進団体連絡会による自主行動計画のフォローアップを定期的に中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合の場で実施します。また、事業者による環境配慮設計や消費者による環境配慮商品の選択を進めるため、包装の環境配慮設計について共通の考え方として公示されている包装の環境配慮設計に関する規格(JIS Z 0130群)の活用を推進していきます。

加えて、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)に基づき、食品廃棄物等の発生抑制目標値が設定されていない業種については、目標値の設定、その他の発生抑制の促進のための方策を引き続き検討していきます。

また、長期にわたって使用可能な質の高い住宅ストックを形成するため、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)に基づき、長期優良住宅の建築・維持保全に関する計画を所管行政庁が認定する制度を2016年度も引き続き運用します。なお、認定を受けた住宅については、税制上の特例措置を実施しています。

国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号。以下「グリーン購入法」という。)については、第1節5(1)を参照。

無許可の廃棄物回収の違法性に関する普及啓発については、第1節6(1)を参照。

循環型社会の形成に関する最新データ等を発信するウェブサイト「Re-Style」については、第1節8(2)を参照。

(2)使用済製品からの有用金属の回収

2013年4月から施行された、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(平成24年法律第57号。以下「小型家電リサイクル法」という。)において、回収され再資源化を実施する量の目標を、2018年度までに一年当たり14万トン(人口一人当たり約1kg)としています。

また、低炭素製品普及に向けた3R体制構築支援事業を活用して、製品横断的に、レアメタル等の有用金属の回収、2Rの取組、水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進等、低炭素社会の実現にも資する取組を支援していきます。また、使用済製品のより広域でのリサイクルを行うため、広域的な実施によって、廃棄物の減量化や適正処理の確保に資するとして、環境大臣の認定を受けた者については、地方公共団体ごとに要求される廃棄物処理業の許可を不要とする制度(以下「広域認定制度」という。)の適切な運用を今後も図り、情報処理機器や各種電池等の製造事業者等が行う高度な再生処理によって、有用金属の分別回収を推進していきます。

加えて、我が国で大量に廃棄される家電類等に含まれる有用金属について、情報技術等を活用した動静脈産業の連携等により、レアメタル等の金属資源を効率的にリサイクルする高効率かつ省エネルギー効果の高い資源循環システムを構築するための研究開発事業を行います。

環境研究総合推進費における、レアメタル等の有用金属資源の効率的な再資源化等の3Rを推進する技術・社会システムの構築に関する研究・開発支援については、第1節1(1)を参照。

(3)水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進

スーパーの店舗等の事業系ルートにおいて回収された、ペットボトルの高度なリサイクルについては、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において取りまとめられた、容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書や、過年度までの事業の成果等を踏まえながら、関係法令の運用の整理等の必要な措置を講じていきます。

食品リサイクルに関しては、食品リサイクル法に基づく、食品廃棄物等の発生抑制・再生利用が地域の実情に応じて推進されるよう、市町村や民間事業者の活用・育成による再生利用の実施を含めて、市町村の定める一般廃棄物処理計画において、食品廃棄物等の発生抑制・再生利用の促進が適切に位置付けられることを促します。また、同法に定められた再生利用事業計画(食品関連事業者から排出される食品廃棄物等を用いて製造された、肥料・飼料等を利用して作られた農畜水産物を食品関連事業者が利用する仕組み。以下「食品リサイクルループ」という。)に基づく取組により生産された農畜水産物の量等、認定を受けた計画の実施状況の把握や食品リサイクルループに関する説明会を通じ、引き続き食品リサイクルループの形成支援を行っていきます。

自動車リサイクル分野においても、再生材の利用の拡大を図るため、使用済自動車由来のプラスチックを用いた、再生材供給の可能性の検証や再生材を用いた自動車のユーザー選択を促す方策の検討等、水平リサイクル等の高度なリサイクルを推進します。

環境研究総合推進費における、リサイクル技術等の3Rを推進する技術・社会システムの構築に関する研究・開発支援については、第1節1(1)を参照。

「資源循環ハンドブック」等の3R普及啓発、3R推進月間の取組については、第1節8(2)を参照。

(4)有害物質を含む廃棄物等の適正処理システムの推進

石綿(アスベスト)の適正な処理体制を確保するため、石綿含有廃棄物の無害化処理認定に係る相談、審査を引き続き行います。既に認定を受けている事業者に対しては、立入検査を実施し、適正な処理が行われているか確認します。

ポリ塩化ビフェニル(PCB)について、2016年8月にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成28年法律第34号)が施行されました。この改正を踏まえ、環境省としては、安全かつ確実に一日でも早く処理期限内にPCB廃棄物の処理の完了に向けて政府一丸となって取組を推進していくこととしています。経産省、環境省及びJESCOはJESCOの北九州事業エリア全県を含む全国30か所程度でPCB廃棄物の早期処理を促すための説明会を開催します。加えて、株式会社日本政策金融公庫によるPCB廃棄物対策に係る融資制度を新たに実施します。

その他の残留性有機汚染物質(POPs)を含む廃棄物については、2016年9月より「POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開催して、その処理の制度的な在り方について検討しており、その検討結果を踏まえて必要な制度的措置等を講じていくこととしています。

さらに、水銀廃棄物については、水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」という。)を踏まえ、2015年度に改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)施行令において2017年10月より施行される内容に関連する同法施行規則を改正するとともに、廃水銀等の長期的な管理の在り方について検討を進めます。

また、研究・開発支援として、環境研究総合推進費において、アスベスト・水銀等の有害廃棄物の適正管理・処理に関する研究開発を2017年度における採択の対象とします。

埋設農薬に関しては、計画的かつ着実に処理するため、農薬が埋設されている県における、処理計画の策定等や環境調査に対する支援を引き続き実施します。

リスクコミュニケーションの的確な実施に向けて、PRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)対象物質の毒性等の情報を分かりやすく簡潔にまとめた「化学物質ファクトシート」の作成に必要な情報の収集を引き続き実施します。また、市民、労働者、事業者、行政、学識経験者等の様々な主体が、化学物質と環境に関して意見交換を行い、政策提言を目指す場である「化学物質と環境に関する政策対話」を引き続き開催し、化学物質に関する国民の安全・安心の確保に向けた、リスクコミュニケーションの取組を推進します。さらに、化学物質アドバイザー制度を運営し、自治体や事業者が実施する化学物質に係るリスクコミュニケーションの活動を支援します。

(5)災害時の廃棄物処理システムの強化

大規模な災害は、その被災地域が一都道府県内ではとどまらず、また隣接する都道府県間のみでは必要な対応が行えないなどにより、通常災害とは次元の異なる対応が必要となります。このため、国、都道府県、市町村、民間事業者等の各主体が平時から備えておくべき大規模災害特有の事項を整理し、一丸となって対策を推進していく必要があります。

2015年8月に施行された、廃棄物処理法及び災害対策基本法(昭和37年法律第223号)の一部改正法の運用を通じて、災害時における廃棄物の処理を適正かつ迅速に実施してまいります。

そのため、毎年のように非常災害が発生している状況を鑑み、全国各地で発生した非常災害における災害廃棄物処理に関する実績や取組事例、得られた教訓等について整理し、関係者への情報共有を行います。また、「災害廃棄物対策推進検討会」において、継続的な災害廃棄物処理の実績の蓄積及び検証、災害廃棄物対策の在り方に関する検討、関係者(自治体,民間等)との協働による災害廃棄物対応に関する検討等を実施します。さらに、地域ブロック協議会等を活用し、自治体が策定する処理計画の策定等に向けたモデル事業、各自治体が行う訓練への協力を実施します。

また、災害時においても自区域内の一般廃棄物処理が確実に行われるとともに、災害廃棄物の円滑な処理が行われるよう、地域の実情に応じて、災害廃棄物処理計画に基づき必要となる設備・機能を備えた施設の整備を推進します。

2 低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組

化石系資源の使用量の抑制を図るため、高効率な廃棄物エネルギー利用施設等の整備を補助する低炭素型廃棄物処理支援事業により、廃棄物処理に伴う廃熱を有効利用する施設や廃棄物由来燃料製造施設の整備及び廃棄物由来エネルギー等の利用先を含めた計画策定に対する支援を行うなど、燃やさざるを得ない廃棄物から得られるエネルギーの有効活用や、廃棄物処理施設の省エネ化及び廃棄物収集運搬車の低燃費化を推進します。また、同事業において地域資源循環の高度化及び低炭素化に資する自治体や、民間団体(自治体と連携し、廃棄物の3Rを検討する者)の実現可能性(FS)調査及び事業計画策定を支援します。

一般廃棄物処理に関しては、循環型社会形成の推進に加え、災害時における廃棄物処理システムの強靱化、地球温暖化対策の強化という観点から、循環型社会形成推進交付金等により、市町村等が行う一般廃棄物処理施設の整備等に対する支援を実施します。また、「廃棄物焼却施設の余熱等を利用した地域低炭素化モデル事業」を実施し、廃棄物焼却施設から排出される余熱等の地域での利活用を推進します。さらに、中小規模の廃棄物処理施設における廃棄物エネルギーの有効利用を促進するために、「中小廃棄物処理施設における先導的廃棄物処理システム化等評価・検証事業」を実施し、先導的廃棄物処理システム化等について導入コストの低減やCO2排出量削減に関する評価検証を行います。加えて、2016年度に策定した「廃棄物エネルギー利用高度化マニュアル」等の各種マニュアルについて広く周知し、市町村等における積極的な取組を促進します。更に、気候変動が廃棄物・リサイクル分野に与える影響を適正処理、3R、災害対策等の観点から分析するとともに、廃棄物・リサイクル分野における予防的かつ効果的な適応策の検討を行います。

また、農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした地域づくりに向けた取組については、今後とも推進していくと同時に、「森林・林業基本計画」等に基づき、森林の適切な整備・保全や木材利用の推進に取り組みます。

さらに、「生物多様性国家戦略2012-2020」及び「農林水産省生物多様性戦略」に基づき、田園地域・里地里山の整備・保全(環境保全型農業直接支払による生物多様性保全に効果の高い営農活動に対する直接支援等)、森林の整備・保全(適切な間伐等)、里海・海洋の保全(生態系全体の生産力の底上げを目指した漁場の整備等)等により、農林水産分野における生物多様性の保全や持続可能な利用を引き続き推進します。加えて、企業等による生物多様性保全活動への支援等について取りまとめた、農林漁業者及び企業等向け手引及びパンフレット等を活用し、農林水産分野における生物多様性保全活動を推進します。

化学肥料・化学合成農薬の使用低減や、地球温暖化防止・生物多様性の保全に効果の高い農業生産活動に対する環境保全型農業直接支払については、2015年4月に施行された、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律(平成26年法律第78号)に基づき実施し、農業者の連携による地域でまとまりを持った取組等、有機農業を含めた環境保全型農業を引き続き推進します。

加えて、海洋環境等については、その負荷を低減させるため、今後も循環型社会を支えるための水産廃棄物等処理施設の整備を推進する必要があります。

一方で、太陽光発電施設を始めとする再生可能エネルギーに関連する製品・設備については、将来的な排出量の増加や、それに伴う処理への影響について留意が必要であるため、使用済再生可能エネルギー設備を廃棄する時に環境へ悪影響が及ばないよう、廃棄物処理の不安解消に取り組み、再生可能エネルギー設備の導入を促進します。

さらに、引き続き港湾整備により発生する浚渫(しゅんせつ)土砂等を有効活用し、干潟等の保全や深掘り跡の埋戻しなどを行うことにより、水質改善や生物多様性の確保等、良好な海域環境の保全・再生・創出を推進します。

エコタウン等については、第1節3を参照。

焼却ごみからの熱回収等、下水汚泥再生利用・エネルギー利用に係る技術実証、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業については、第1節4を参照。

モーダルシフト・輸送効率化による低炭素型静脈物流促進事業については、第1節5(2)を参照。

3 地域循環圏の高度化

地域循環圏の形成に向けては、地方の実情や循環資源の性質に応じた複層的な望ましい循環の構築に向けて、地域の抱える課題や地域の循環資源を利活用した独自の取組に関する調査や、過去のモデル事業の進捗状況の確認を通じて、引き続き「地域循環圏」の考え方の浸透や行政への反映を図ります。

地方公共団体が作成し、経済産業省と環境省が共同承認した、エコタウンプラン等に基づき実施される事業については、地方公共団体及び民間団体に対して、総合的・多面的な支援を引き続き行っていきます。

また、地域循環圏の形成に取り組む自治体・民間団体や、エコタウン等において3R事業に取り組む自治体・民間団体を対象に、地域資源の循環利用及び低炭素化に資するモデル的な取組を進めるための実現可能性調査及び同調査を踏まえた事業化計画策定に対する補助事業を実施します。

浄化槽に関する取組としては、生活排水処理施設の未普及人口約1,300万人(2015年度末時点)の解消に向け、人口減少等の社会情勢の変化を踏まえ、浄化槽の効率的な整備推進に向けた取組を実施します。

同時に、地方公共団体が実施する地球温暖化防止対策、自然と共生可能な地域づくりの取組を支援するため、引き続き地方財政措置を講じます。

下水道の分野では、下水汚泥再生利用・エネルギー利用に係る技術の促進・普及啓発のため、2016年度に下水道革新的技術実証事業において、中小規模処理場における下水汚泥有効利用技術の実証を行います。また、下水汚泥と他のバイオマスの混合利用の推進のため、下水処理場における総合バイオマス利活用検討を行います。

バイオマスエネルギーの普及に向けた実装については、再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業等を通じて、地方公共団体等に対して、バイオマスを含む再生可能エネルギーの設備導入等を支援します。

また、今後とも、農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした地域づくりに向けた取組を推進します。

さらに、地域で自立したバイオマスエネルギーの活用モデルを確立するための実証事業においては、2014年度に策定されたバイオマスエネルギー導入に係る技術指針・導入要件に基づき、選定された事業について、木質系、湿潤系、都市型系といった、それぞれの地域自立システム化実証へ向けた事業性評価を行います。あわせて、事業性評価結果について多段階競争選抜方式(ステージゲート)審査を行い、通過した事業については、地域自立システム化実証事業を行い、その成果を反映させたバイオマスエネルギー導入に係る技術指針・導入要件を公表することで、更なる導入促進に貢献します。

食品リサイクルループについては、第1節1(3)を参照。

地域の実情に応じた廃棄物処理システムの省エネルギー・創エネルギー化及び廃棄物発電施設による電気・熱供給の導入・高度化の推進、循環型社会形成推進交付金等による市町村等の一般廃棄物処理施設の整備等への支援については、第1節2を参照。

ごみからの熱回収等、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業については、第1節4を参照。

4 循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用

循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)に基づくごみの循環的利用及び処分の基本原則に基づいて処理を行った上で、焼却せざるを得ない廃棄物については、最近の熱回収技術の進展を踏まえ、一定以上の熱回収率を確保した熱交換器等で熱回収を行い、地域の実情に応じた廃棄物処理システムの省エネルギー・創エネルギー化を推進します。さらに、廃棄物発電施設が、災害時も含めた地域のエネルギーセンターとしての機能を発揮できるよう、廃棄物発電施設による電気・熱供給の導入・高度化を促進します。なお、循環型社会形成推進交付金等による、市町村等への一般廃棄物処理施設の整備等の支援を継続するとともに、必要に応じて、交付対象事業の見直し等を検討します。

循環資源・バイオマスのエネルギー源への利用に向けて、主に民間の廃棄物処理事業者が行う地球温暖化対策を推し進めるため、廃棄物処理法の2010年の改正により創設された、廃棄物熱回収施設設置者認定制度を活用するとともに、低炭素型廃棄物処理支援事業により、廃棄物処理に伴う廃熱を有効利用する施設や廃棄物由来燃料製造施設の整備を支援していきます。

また、研究・開発支援として、環境研究総合推進費において、バイオマス等の廃棄物からのエネルギー回収を推進する技術・システムの構築に関する研究等を2017年度における採択の対象とします。

農山漁村において豊富なポテンシャルを有する食品廃棄物や家畜排せつ物等に由来するバイオガスを活用し、自家使用だけでなく広く地域で利用する資源循環利用モデルを構築していくため、バイオガス製造・供給技術等につき、二酸化炭素削減効果や事業性等についての実証を行う「地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業」は2016年度に終了しましたが、事業成果(CO2削減効果を始め、地域資源から効率的にメタンを回収するための適正な原料組成割合に係る知見、副産物の量の把握と活用の方法・事業性等)については、取りまとめ、発信することにより、地域におけるバイオガス活用のモデルの横展開を図ります。

また、未利用間伐材等の木質バイオマスの供給・利用を促進するため、木材の供給等に関する情報提供や、都道府県と連携した発電施設の原料調達の円滑化を進めるとともに、木質燃料製造施設、木質バイオマスボイラー等の整備を引き続き支援します。木質バイオマスを利用した発電、熱利用等の推進のために必要な調査を行うとともに、全国各地の木質バイオマス関連施設の円滑な導入に向けた相談窓口の設置、小規模発電の取組への助言等のサポートを行う体制の確立、燃料の安定供給体制の強化に向けた支援を実施します。このほか、木質バイオマスの高付加価値製品、発電効率の高い木質バイオマス発電システム等の開発及び改良等に対する支援も引き続き実施します。

加えて、農山漁村で豊富に得られる林地残材や農作物の非可食部等の未利用資源を利用した高付加価値マテリアル等の製造技術の開発を引き続き実施し、今後とも、農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした、地域づくりに向けた取組を推進します。

バイオ燃料については、食糧と競合しないバイオエタノール、バイオジェット燃料の実用化に向けた製造技術開発の取組として、バイオ燃料の生産システム構築のための技術開発事業を実施します。セルロース系バイオエタノールの生産においては、パイロット規模で運転実証とコスト低減可能性の検証を基に、商用化時の事業性評価を行います。バイオジェット燃料の生産においては、バイオマスのガス化・液化や微細藻類の培養技術等優れた要素技術を基にした一貫製造プロセス構築のためのパイロット規模の検証に着手するとともに、技術動向及び導入普及に関する調査を行います。

このほか、下水汚泥資源化施設の整備の支援、下水道資源の循環利用に係る計画策定の推進(社会資本整備総合交付金)、下水汚泥再生利用・エネルギー利用に係る技術実証(下水道革新的技術実証事業における中小規模処理場における下水汚泥有効利用技術の実証)、下水汚泥と他のバイオマスの混合利用の推進(下水処理場における総合バイオマス利活用の検討)を実施していきます。

廃棄物焼却施設の余熱等を利用した地域低炭素化モデル事業については、第1節2を参照。

5 循環産業の育成

(1)廃棄物等の有効活用を図る優良産廃処理業者の育成

優良産廃処理業者の育成を目指し、産業廃棄物処理業者が、廃棄物の適正処理等を行うだけでなく、地域経済の活性化・雇用の創出に貢献することとなるよう、産業廃棄物処理業を我が国の有望な成長産業の一つとして位置付け、その振興を図るための施策を展開します。同時に、産業廃棄物の優良処理業者が社会的に評価され、優位に立てる環境づくりを継続して進めることとしており、優良産廃処理業者の育成につながる電子マニフェストについては、システムの改修による利便性の向上や普及啓発に努め、その使用を強力に推進します。また、廃棄物処理業者が広く社会からの信頼を得て、健全な発展を遂げる観点から、廃棄物処理に関する優良な人材育成に向けた取組をより推進することが必要であるため、特に、産業廃棄物処理業において、業界団体による実効的な研修や講習の実施等を通じて、職員の能力・知識の向上に関する取組を一層推進していきます。2013年に国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(平成19年法律第56号。以下「環境配慮契約法」という。)に類型追加された「産業廃棄物の処理に係る契約」では、優良産廃処理業者が産廃処理委託契約で有利になる仕組みとなっているため、環境配慮契約を推進するために、各行政機関や地方公共団体等に向けて、引き続き制度を周知していきます。今後発生量の増大が見込まれている建設汚泥等の再生利用をより一層推進するため、関係都道府県等間での連携を図るとともに、再生利用に係る要件や再生品の扱いについて認識を共有するため、建設汚泥等の再生利用に係るモデル事業の実施等の必要な措置を講じます。

また、リユース市場の拡大に向けては、使用済製品等のリユース促進事業研究会の事業として、リユース業界団体との意見交換会を引き続き開催し、リユース業界の優良化について検討します。また、リユース製品やリサイクル製品等の品質・安全性・環境負荷低減効果についての分かりやすい表示のため、環境ラベルに関する情報を提供する「環境ラベル等データベース」(http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/(別ウィンドウ))の掲載情報を随時更新します。

さらに、国自らが率先して3R製品等の調達を行うことも必要です。グリーン購入法及び環境配慮契約法に基づく基本方針については、有識者等による検討会を開催し、基本方針の改定検討を実施します。各省庁等は、グリーン購入法及び環境配慮契約法に基づき、調達方針の策定や契約締結実績の概要公表を実施するとともに、率先してグリーン購入及び環境配慮契約を推進する予定です。

また、各事業者における、環境マネジメントシステムの導入、環境報告書や環境会計の作成・公表等の取組の促進のため、引き続き中小企業向け環境マネジメントシステムである「エコアクション21」のガイドライン改訂検討を実施するとともに、エコアクション21の普及促進をバリューチェンやサプライチェーンの視点を加え行っていきます。加えて、環境報告書の更なる利用促進を図り、企業と投資家等の対話を支援するため、環境情報開示基盤の整備事業を推進するとともに、情報開示の世界的潮流や企業を取り巻くガバナンスの在り方の変容を踏まえ、「環境報告ガイドライン2012年版」や「環境会計ガイドライン2005年版」の一括改訂に向けた検討を行います。これにより、事業者と利害関係者間の環境コミュニケーション促進を図ります。

さらに、特定廃棄物最終処分場における特定災害防止準備金の損金又は必要経費算入の特例や廃棄物処理施設に係る課税標準の特例といった税制措置を活用することにより、廃棄物処理施設の整備及び維持管理を引き続き推進します。

ペットボトルに関する高度なリサイクルについては、第1節1(3)を参照。

(2)静脈物流システムの構築

静脈物流については、輸送手段を道路輸送から相対的に環境負荷が小さい船舶へと転換するモーダルシフト及び輸送効率化を推進するため、モーダルシフト・輸送効率化による低炭素型静脈物流促進事業により、海上輸送による低炭素型静脈物流システムを構築する事業を引き続き支援していきます。

また、静脈物流の拠点となる港湾をリサイクルポートに指定し、広域的なリサイクル関連施設の臨海部への立地を引き続き推進します。あわせて、官民連携の推進、港湾施設の整備等の総合的な支援を講じることにより、国内外の資源循環を促進します。そのほか、首都圏の建設発生土を全国の港湾の用地造成等に用いる、港湾建設資源の広域利用促進システム(スーパーフェニックス)についても引き続き推進します。

6 廃棄物の適正な処理

(1)不法投棄・不適正処理対策

不法投棄等の未然防止・拡大防止対策としては、不法投棄等に関する情報を国民から直接受け付ける、不法投棄ホットラインを運用するとともに、産業廃棄物の実務や関係法令等に精通した専門家を不法投棄等の現場へ派遣し、不法投棄等に関与した者の究明や責任追及方法、支障除去の手法の検討等について助言等を行うことにより、都道府県等の取組を支援します。さらに、今後も引き続き5月30日から6月5日までを全国ごみ不法投棄監視ウィークとして設定し、国と都道府県等が連携して、不法投棄等の撲滅に向けた普及啓発活動等の取組を一斉に実施し、不法投棄等の未然防止・拡大防止を推進していきます。

また、不法投棄等の残存事案対策としては、1997年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成9年法律第85号。以下「廃棄物処理法平成9年改正法」という。)の施行(1998年6月17日)以降の産業廃棄物の不法投棄等について、同法に基づく基金からの財政支援を行い、不法投棄等による支障の除去等を推進していきます。

また、産業廃棄物が適正に運搬され、処理されたことを確認するための管理票システムである、電子マニフェストに関しては、スマートフォンやタブレットにより、現場で登録できるシステムの開発など、システムの改修による利便性の向上を図るとともに、排出事業者、行政機関への利用促進等を図り、その使用を強力に推進します。

一般廃棄物の適正処理については、当該処理業が専ら自由競争に委ねられるべき性格のものではなく、継続性と安定性の確保が考慮されるべきとの最高裁判所判決(2014年1月)や、市町村が処理委託した一般廃棄物に関する不適正処理事案の状況を踏まえ、2014年10月8日に通知を発出しており、市町村の統括的責任の所在、市町村が策定する一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物処理法の適正な運用について、引き続き周知徹底を図ります。

さらに、食品廃棄物の不適正処理事案等を踏まえ、排出事業者が自らの事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で処理すべきことや、処理業者への委託時にその根幹的内容を自らの責任で決定すべきものであること等の排出事業者責任の重要性について、2017年3月21日に通知を発出しており、引き続き自治体等への周知徹底を図ります。

加えて、家庭等の不用品を無許可で回収し、不適正処理・輸出等を行う不用品回収業者、輸出業者等の対策として、引き続き、具体的な事例を用いた実践的な取組の手引きを作成し、自治体職員に対する知見向上を図るためのセミナーを開催します。

海洋ごみ対策については、第4章第6節を参照。

また、関係省庁や地方公共団体、各種ボランティア団体が連携協力し、「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」等を通じた不法投棄等の監視や啓発活動、海洋環境保全指導を推進します。

船舶との関係では、その航行に支障を来さないよう、閉鎖性海域において、海面の漂流木等のごみの回収を行うとともに、船舶等から流出した油や有害液体物質については、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)等に基づき、防除措置等の適切な実施を図ります。加えて、油及び有害液体物質の流出への対処能力強化を推進するため、資機材の整備、現場職員の訓練及び研修を実施し、さらには関係機関との合同訓練を実施するなど、連携強化を図り、迅速かつ的確な対処に努めていきます。

また、2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(仮称)(シップリサイクル条約)の締結に向け、国内法制化の検討を進めます。条約の発効には主要解体国の締結が必要であるため、早期発効に向けて、世界最大級の船舶解体国であるインドに対してリサイクル施設改善に向けた取組等を引き続き進めていきます。また、全国ブロックごとに地方運輸局、地方整備局、都道府県等で組織する地方廃船処理協議会を開催し、不法投棄された廃繊維強化プラスチック(FRP)船対策やFRP船リサイクルの促進を図るために情報提供及び意見交換等を実施します。

廃棄物処理法平成9年改正法施行前の産業廃棄物の不法投棄等による支障除去等については、第1節7(11)を参照。

(2)最終処分場の確保等

一般廃棄物の最終処分場に関しては、ごみのリサイクルや減量化を推進した上でなお残る廃棄物を適切に処分するため、最終処分場の設置又は改造、既埋立物の減容化等による一般廃棄物の最終処分場の整備を循環型社会形成推進交付金等の交付対象事業に引き続きするとともに、必要に応じて、交付対象事業の見直し等を検討します。

また、産業廃棄物の最終処分場等に関しても、施設整備のため、引き続き申請に応じて廃棄物処理法に基づく廃棄物処理センターの指定を行います。あわせて、民間を含め優良な処理施設の整備を更に支援するため、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成4年法律第62号)に基づく特定施設の認定を行います。港湾の整備に伴う浚渫(しゅんせつ)土砂や循環利用できない廃棄物を最終的に処分する海面処分場についても、港湾の秩序ある整備と整合を取りつつ、引き続き計画的に整備します。

加えて、国際的に見ても依然として我が国の産業廃棄物海洋投入処分量が多い状況を踏まえ、海洋投入処分の制度改正を行い、より一層の削減に向けた制度運用を行います。また、船舶等から発生する廃油についても、海洋投入処分が原則禁止されていることを踏まえ、適切に廃油を受け入れる施設を引き続き確保します。

7 各個別法の対応

(1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

優良産廃処理業者認定制度、広域認定制度等の制度を引き続き運用し、廃棄物処理法に基づいた廃棄物の適正な処理に努めます。さらに、適正処理及び健全な資源循環のための取組について、中央環境審議会において示された検討の方向性等を踏まえ、対応を進めます。

(2)資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)

最近の資源有効利用に係る取組状況等を踏まえ、今後の資源有効利用の取組の方向について検討を行います。

(3)容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)については、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において取りまとめられた容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書を踏まえ、環境負荷低減と社会全体のコストの低減、容器包装のライフサイクル全体を通じた3Rによる資源の効率的な利用を推進していきます。また、容器包装が果たすべき機能・役割(食品の腐敗防止等)を保持しながら更なるリデュースの推進、易リサイクル化を含めた、消費者に対する積極的な情報提供等を推進していきます。プラスチック製容器包装の再生材の品質の水準については、規格化・標準化により再生材の市場を創出するとともに、一定の水準の再生材を継続的に生産することを確保するため、品質管理規格の第三者認証の活用等について必要な措置を講じていきます。

(4)特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)

家電リサイクル制度の円滑な施行に向け、中央環境審議会・産業構造審議会合同会合において取りまとめられた、家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書及び2015年1月の議論を踏まえ、改正された家電リサイクル法の基本方針に定められた廃家電の回収率目標(2018年度までに56%以上)を達成するために、関係主体が取り組むべき項目を定めたアクションプラン(2016年3月策定)に基づく取組を進めます。

(5)建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)に関しては、国土交通省における建設リサイクルの推進に向けた基本的考え方、目標、具体的施策を示した「建設リサイクル推進計画2014」に基づき、引き続き各種施策を実施していきます。

(6)食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)

2016年1月に発覚した不適正な転売事案を受けて、定期報告等や地方公共団体との連携を通じた、食品関連事業者及び再生利用事業者への更なる指導監督の強化、登録再生利用事業者制度及び食品リサイクルループ認定制度を通じた、再生利用等の円滑な取組等を引き続き推進していきます。

また、食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、食品リサイクル制度の普及啓発を実施するほか、食品廃棄物の発生抑制に係る業種・業態別目標値の達成等のため、消費者等を巻き込んだフードチェーン全体での発生抑制の取組を促進していきます。

(7)使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)

使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号。以下「自動車リサイクル法」という。)については、法施行後10年が経過したことを踏まえ、産業構造審議会・中央環境審議会の合同会合にて自動車リサイクル法の評価・検討の状況の点検がなされ、2015年9月に報告書が取りまとめられ、2016年9月に合同会合において報告書で示された提言に対する進捗が示されました。

同報告書に基づき、環境配慮設計の推進や再生資源の活用拡大といった自動車における3Rの推進・質の向上や、不法投棄・不適正処理への対応の強化等を始めとした安定的かつ効率的な自動車リサイクル制度への発展に向けた施策を講じていきます。

(8)使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)

小型家電リサイクルの制度促進については、これまでの市町村や認定事業者の取組事例を踏まえ、市町村の参加を促しつつ、既に参加している市町村に対しても、更なる効果的・効率的な回収・処理方法を検討し、回収量を拡大することで制度の安定的・持続的運用を図ります。

また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会における「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」との連携を図り、国民の制度への理解を更に深める効果的な広報や、学校教育と連携した普及啓発等を進めます。

(9)国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)

環境物品等の調達の推進に関する基本方針については、環境物品等の開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜見直しを実施します。国等の各機関は、基本方針に即して、毎年度、調達方針の作成及び公表を行い、これに従って調達を実施します。また、地方公共団体のグリーン購入の取組促進のため、アンケート調査や基本方針変更に係る説明会等を行うとともに、地方公共団体向けのグリーン購入ガイドラインを用いた普及啓発を実施します。

(10)ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に関しては、2016年8月の改正を受け、一日でも早い期限内処理に向け、都道府県市や関係団体と連携しつつ政府一丸となって取り組んでいきます。経産省、環境省及びJESCOはJESCOの北九州事業エリア全県を含む全国30か所程度でPCB廃棄物の早期処理を促すための説明会を開催します。加えて、株式会社日本政策金融公庫によるPCB廃棄物対策に係る融資制度を新たに実施します。

(11)特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)

1997年の廃棄物処理法平成9年改正法の施行(1998年6月17日)前の不法投棄等が原因で生活環境に支障等が生じている事案について、都道府県等が実施する特定支障除去等事業を支援することにより、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号)の有効期限である2023年3月31日までに支障等の除去が完了するよう、引き続き事業の計画的かつ着実な推進を図っていきます。

8 環境教育等の推進と的確な情報共有・普及啓発

(1)環境教育等の推進

2011年6月に改正された環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(平成15年法律第130号)の施行及び同法に基づく基本方針(2012年6月閣議決定)により、人材認定等事業の登録を始めとする各種制度の運用を行うとともに、運用状況についてインターネットによる情報提供を行います。また、関係府省が連携して、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場における生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供していくなど、環境教育・環境学習に関する各種施策を総合的に推進していきます。詳細は、第6章第5節4を参照。

また、環境のための地球規模の学習及び観測プログラム(GLOBE)協力校への指定、環境教育の教材として活用できる、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備も引き続き支援していきます。

森林に関しては、学校教育における森林の活用に関する情報交換を推進するとともに、森林環境教育の活動に対する支援を行います。また、学校等が森林体験活動を実施するために、国有林のフィールドを提供する「遊々の森」の協定締結を推進するとともに、学校等と連携した森林教室等を実施します。

さらに、「木育」として、木のおもちゃでの遊びを通じて、木への親しみや木の文化への理解を深めるような木材や木製品との触れ合いの場づくりや、これまでに開発した木育プログラムの活用による木育指導者の養成など、効果的な木育の推進を図ります。

持続可能な開発のための教育(ESD)の推進については、第6章第5節6を参照。

(2)3Rに関する情報共有と普及啓発

3Rをめぐる国内外の最新の状況等を国民全体で共有することを目指し、第三次循環基本計画に盛り込まれた、循環型社会の形成に関する最新データ等については、引き続きその情報提供を行います。また、循環基本計画の見直しに向けて、指標の在り方の検討を行います。

情報共有の一つの手段として、恒常的に周知徹底を図るため、ウェブサイト「Re-Style」(http://www.re-style.env.go.jp(別ウィンドウ))を運営し、循環型社会の形成に関する最新データやレポート等の掲載、第三次循環基本計画の周知及び循環型社会に向けた多様な活動等の情報発信を、若い世代を始めとした多くの方々に対して行い、国民、民間団体及び事業者等における活動の促進を図ります。

さらに、経済産業省は、3Rに関係する法制度とその動向をまとめた冊子「資源循環ハンドブック」を作成し、関係機関に配布するほか、3Rに関する環境教育に活用するなどの一般の求めに応じて配布を行います。また、3R政策に関するウェブサイト(http://www.meti.go.jp/policy/recycle/(別ウィンドウ))において、取組事例や関係法令の紹介、各種調査報告書の提供を行うとともに、普及啓発用DVDの貸出等を実施します。

加えて、国民に対し、3R推進に対する理解と協力を求めるため、毎年10月に定められている「3R推進月間」においては、関係府省(財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、消費者庁)連携の下、広く国民に向けた普及啓発活動に引き続き取り組みます。

3Rの推進に貢献している個人、グループ、学校及び特に貢献の認められる事業所等を表彰する、3R表彰(主催:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会)の開催については、3R推進月間の事業の一環として引き続き後援していきます。この中で、厚生労働省では、製薬業界における3R活動の意識啓発を行い、文部科学省では、学校等の教育分野における3Rの意識の高揚と取組の一層の促進を図ります。そのほか、環境省は、3R促進ポスターコンクール及び循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰も引き続き実施していく予定です。また、経済産業省は、新たな資源循環ビジネスの創出を支援している「資源循環技術・システム表彰」(主催:一般社団法人産業環境管理協会)の後援を通じ、優れた3Rの取組の普及や新たな資源循環ビジネスの創出を支援します。さらに、農林水産省は「食品産業もったいない大賞」を通じ、引き続き農林水産業・食品関連産業における3R活動、地球温暖化・省エネルギー対策等の意識啓発に取り組みます。

これらの表彰のほかにも、経済産業省では3R推進ポスター展示、リサイクルプラント見学会や関係機関の実施するイベント等のPR、国土交通省では、各地方での建設リサイクル技術発表会や技術展示会等の各種取組、環境省では環境に配慮した商品の購入等の3R行動の実践を呼び掛ける「選ぼう!3Rキャンペーン」を通じた消費者向けの普及啓発を行います。また、環境省、沖縄県及び3R活動推進フォーラムは、2017年度に「第12回3R推進全国大会」を共催し、同イベントを通じて、3R施策の普及啓発を行う予定です。

個別分野の取組としては、容器包装リサイクルの普及啓発を担う、容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R推進マイスター)について、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合において取りまとめられた、容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書や、2016年度までの事業の成果等を踏まえながら、国民のリサイクル意識の醸成につながるよう必要な措置を講じます。