環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第2節 国際的取組の推進

第2節 国際的取組の推進

1 3R国際協力の推進と我が国循環産業の海外展開の支援

アジア太平洋諸国において3R関連の事業形成や政策立案を促進するため、我が国はアジア諸国における3Rの戦略的実施支援に加え、3Rや資源循環についての課題や進捗、データ等を情報収集し、「アジア太平洋3R白書」として整備するため、国際機関への拠出を今後も引き続き行うこととしています。また、「アジア太平洋3R推進フォーラム」等により、アジア太平洋諸国における3Rの推進に向けた政策対話を進め、更なる合意形成を目指していきます。2017年にはインドで、「アジア太平洋3R推進フォーラム第8回会合」を開催する予定です。

特にアジア各国に適合した廃棄物・リサイクル制度や有害廃棄物等の環境上適正な管理(ESM)の定着のため、独立行政法人国際協力機構(JICA)においては、アジア太平洋諸国のうち、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、スリランカ、大洋州について、技術協力等により廃棄物管理や循環型社会の形成を支援します。また政府開発援助(ODA)対象国からの研修員受入れを実施します。

また、我が国の優れたインフラ関連産業の国際展開の支援も引き続き行います。我が国の廃棄物分野の経験や技術をいかした、廃棄物発電ガイドラインの策定等アジア各国の廃棄物関連制度整備への協力や国際規格策定への参画等とともに、我が国循環産業の戦略的国際展開・育成事業等における循環産業の海外展開支援を積極的に進めます。さらに、我が国企業によるアジア等でのリサイクルビジネスの事業実施可能性調査等により、事業化を促進していきます。同時に、我が国のリサイクル関連企業が進出しやすい土壌の形成のため、我が国の自治体が持つ廃棄物処理・リサイクルに関する経験・ノウハウを活用し、相手国の自治体・政府に対する技術実証と一体となった制度設計・整備・運用の支援等を実施していきます。

アジア地域等の途上国における公衆衛生の向上、水環境の保全に向けては、JICAや日本サニテーションコンソーシアム(JSC)等と連携しながら、浄化槽等の日本発の優れたし尿処理技術の情報発信や普及促進を図り、持続可能な開発目標(SDGs)の達成への貢献を目指します。

同時に、国際的な活動への参画も引き続き行います。G7富山環境大臣会合(2016年5月)における富山物質循環フレームワーク採択の主導に引き続き、我が国の経験や取組をもとに、G7等における資源効率性・3Rの国際的な議論を主導していきます。また、今後も国連環境計画(UNEP)国際資源パネルへの支援を継続するとともに、引き続き、我が国から専門家の派遣を行い、UNEP国際資源パネルにおける議論に積極的に参加していきます。加えて、我が国が誘致したUNEP国際環境技術センター(UNEP/IETC)の活動の支援を通じ、国連を始めとする国際社会における我が国の環境政策・技術の普及に引き続き努めます。

また、経済協力開発機構(OECD)資源生産性・廃棄物作業部会には、今後も引き続き参画し、調査・研究の推進を図っていきます。

さらに、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下「バーゼル条約」という。)等に関わる取組も引き続き行います。

環境省は、2017年のバーゼル条約第13回締約国会議における採択を目指してPCN廃棄物の環境上適正な管理に関する技術ガイドラインの策定作業を主導しており、その他のPOPs廃棄物に関するガイドラインも含めて我が国の処理技術等に関する知見を適切にインプットすることで、引き続き国際的な議論の進展に積極的に貢献していきます。また、同条約第12回締約国会議において採択された電気電子機器廃棄物及び使用済電気電子機器の越境移動(特に、廃棄物と非廃棄物の識別)に関する技術ガイドラインについても、今後の国際的な議論に積極的に貢献していきます。また、水俣条約における水銀廃棄物の基準値について、引き続き貢献していきます。

また、水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」という。)における水銀廃棄物の基準値の設定について、引き続き我が国が主導して第1回締約国会議に向けた提案の検討を行います。

同時に、バーゼル条約で採択された水銀廃棄物の環境上適正な管理に関する技術ガイドラインは水俣条約の実施に活用できることから、特にこれら2条約についての連携強化に引き続き取り組みます。

ESDの推進については、第6章第5節6を参照。

2 循環資源の輸出入に係る対応

有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワーク等を通じて、アジア太平洋地域の関係国・関係国際機関との連携強化に、引き続き取り組みます。また、税関等とも協力して、廃棄物等の不法輸出の防止のための水際対策の強化を進めていきます。さらに、循環資源の越境移動をめぐり近年生じている課題に適切に対応するための取組について、中央環境審議会・産業構造審議会合同会議において示された検討の方向性等をも踏まえ、対応を進めます。

さらに、国際的な循環資源の移動に当たっては、玄関口としての港湾が果たす役割の重要性に鑑み、円滑な資源輸送に必要な港湾施設の整備や循環資源の受入体制の確保を引き続き図っていきます。

3 災害廃棄物対策に係る国際支援

2015年にネパールにおいて発生した大規模地震により、大量の災害廃棄物が発生しており、ネパールへの災害廃棄物対策支援について、関係国及び国際機関等と連携して、その迅速な処理を進めます。

また、これまでの我が国の災害廃棄物処理・対策の経験・知見を活用し、地震や風水害等が頻発・激甚化しているアジア・太平洋地域における災害廃棄物対策の強化に向けた取組を進めます。