環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第4節 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び放射性物質に汚染された廃棄物の処理

第4節 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び放射性物質に汚染された廃棄物の処理

1 災害廃棄物等の処理

 災害廃棄物等の処理は市町村が行っていますが、東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法に基づき、市町村の長から要請があった相馬市、新地町、広野町及び南相馬市の4市町の災害廃棄物(可燃物)について、国が代行処理をしています。引き続き、できるだけ早期処理完了を目指し、着実に処理を進めていきます。

2 放射性物質に汚染された廃棄物の処理

(1)福島県内

ア 対策地域内廃棄物の処理

 対策地域内の災害廃棄物等については、避難されている方々の円滑な帰還を積極的に推進する観点から、避難指示解除準備区域及び居住制限区域において、帰還の妨げとなる廃棄物を速やかに撤去し、仮置場に搬入することを優先目標として進めていきます。平成25年度末時点で、楢葉町、川内村、大熊町の3町村については帰還の妨げとなる廃棄物の仮置場への搬入を一通り完了しました。また、南相馬市についても目標通り、一部を除き搬入しました。双葉町、飯舘村、川俣町及び葛尾村の4町村については平成26年度、浪江町及び富岡町の2町については平成27年度(家の片付けごみは平成26年度)を搬入目標として進めてまいります(田村市については、仮置場を設置せずに処理)。

 また、仮置場への搬入後の処理についても、既にいくつかの市町村で設置場所を確保しており、仮設処理施設の建設を進めていきます。

 なお、帰還困難区域については、廃棄物処理に従事する作業員の方の安全確保等の点にかんがみ、当該地域における今後の線量低減の見通しを見極めつつ、処理方針について検討することとしています。

イ 指定廃棄物の処理

 福島県内の指定廃棄物については、保管が長期化すると、腐敗や臭気発生などのおそれがあることから、性状を安定させ、保管スペースを確保する観点から、現在実施中の焼却等の減容化事業を継続するとともに必要な施設の整備を進めます。

(2)福島県以外

 福島県以外の指定廃棄物については、既存の廃棄物処理施設の活用について引き続き検討を行いつつ、指定廃棄物が多量に発生し、保管がひっ迫している都道府県においては、国がそれぞれの県内に集約して、必要な最終処分場等を確保する方針です。

 平成25年2月に、自治体との意見交換を重視した候補地の選定プロセスを大幅に見直すという方針を公表し、これまで有識者会議や関係5県(宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)において市町村長会議の開催を重ね、市町村長から直接御意見を伺い、県ごとの事情に応じて、処分場の候補地を選定する手法などについて丁寧に議論してきました。

 宮城県については、確定した選定作業を実施した結果、平成26年1月に詳細調査の候補地として3か所を提示しており、地元に丁寧に説明を行って、詳細調査へのご理解が得られるよう調整していきます。

 栃木県については、昨年12月に選定方法を決定し、候補地の選定作業を進めています。今後、詳細調査の候補地を1か所提示する予定です。

 その他の3県においても、地域の実情やさまざまな御意見を踏まえて、丁寧に取り組んでいるところであり、今後とも、指定廃棄物の処理を着実に前進させることができるよう取り組んでまいります。