被災地復興のために必要不可欠である、東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理について、震災から3年後の平成26年3月末までに完了させることを目指し、平成23年度に引き続き平成24年度においては、以下の取組を実施しました。
災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を進めるため、平成24年8月7日に「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表」を策定・公表しました。
被災3県沿岸市町村の災害廃棄物等の処理について(平成25年3月末現在)は、災害廃棄物推計量約1,582万トンのうち、924万トン(約58%)、津波堆積物1,009万トンのうち、319万トン(約32%)が処理完了しております。
被災地における処理として、岩手県においては破砕・選別処理施設を計9か所、仮設焼却炉を計2基、宮城県においては、破砕・選別処理施設を12か所、仮設焼却炉計29基を設置し、本格的に処理を実施しています。また、コンクリートくずや津波堆積土砂等復興資材として再生利用可能な不燃物は、海岸防災林事業、海岸堤防等の公共工事で復興資材として活用されています。そのほか、再生利用が進んでいない瓦くずや不燃混合物(ふるい下)に由来する再生資材について、再生利用の推進を図ることを目的に、平成24年5月25日に「東日本大震災からの復旧復興のための公共工事における災害廃棄物由来の再生資材の活用について(通知)」を関係県・政令市へ発出しました。また、災害廃棄物の処理の推進に関する関係閣僚会合(第5回)において、国が実施する公共工事において、被災自治体からの要請に応じ、これら再生資材の活用を発注内容に盛り込むこととしました。
被災地のみでは処理が間に合わないことから、被災地以外の地方公共団体の協力、施設を活用した広域処理の実施が不可欠となっています。平成24年4月17日には、災害廃棄物の広域処理における安全性等についてとりまとめた「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理に関する方法等(平成24年環境省告示第76号)」を告示しました。同年5月には、災害廃棄物の搬出側、受入側の施設における処理状況、放射能測定データ等について整理した「がれき処理データサイト」を開設しました。こうした取り組みの結果、広域処理を実施済み、実施中、又は受入量決定済みの事業は、平成23年度受入れ実施した東京都、山形県、青森県に、平成24年度は、秋田県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、富山県、石川県、福井県、静岡県、大阪府及び福岡県を加え1都1府14県72件となっています。既に、広域処理済量は、約32万トンとなっており、また、処理対象量精査、県内処理の拡大により、広域処理必要量は約67万トンへ減少しました。このため、可燃物・木くずについては、現在調整中の自治体を含めた広域処理を通じて、早期に広域処理の受入を終了する予定となっています。
東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法(平成23年法律第99号)に基づき、市町村からの要請があり、その必要性が認められるときは、国が市町村に代わって災害廃棄物の処理を行うこととされています。福島県相馬市及び新地町から平成24年3月に災害廃棄物処理の要請があり、相馬市に仮設焼却炉3基(約570t/日)を建設し、平成25年2月から本格稼働を開始しました。また、広野町からも平成25年1月に要請があり、仮設処理施設の設置にむけて準備を進めています。南相馬市についても国による代行処理を前提に調整を進めています。
災害廃棄物を市町村が処理する際に要する費用について、廃棄物処理法に基づく2分の1の補助に加え、[1]東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号)に基づき国庫補助率の嵩上げを行うとともに、[2]東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法に基づきグリーンニューディール基金を通じた支援により国の実質負担額が平均95%となるよう予算措置しました。地方負担分についても、その全額について震災復興特別交付税により措置することとしており、市町村負担が実質的に生じないよう措置されます。
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)に基づき、事故由来放射性物質による汚染状態が8,000Bq/kgを超えるものであって環境大臣が指定した廃棄物(以下、指定廃棄物)と、平成23年12月28日「汚染廃棄物対策地域及び除染特別地域を指定する件」によって指定された福島県の汚染廃棄物対策地域内における災害廃棄物等(以下、対策地域内廃棄物)は国が処理することとなっています。
放射性物質汚染対処特措法の基本方針(閣議決定)では、[1]安全性を確保しつつ可能な限り減容化すること、[2]指定廃棄物の処理は当該指定廃棄物が排出された都道府県内において行うこと等が定められています。
平成24年3月30日には「指定廃棄物の今後の処理の方針」を公表し、既存の廃棄物処理施設の活用について引き続き検討を行いつつ、指定廃棄物が多量に発生し、保管がひっ迫している都道府県において、必要な処分場など(福島県において、10万Bq/kg超の指定廃棄物は中間貯蔵施設)を確保することを目指して指定廃棄物の処理を進めることとしています。
また、指定廃棄物の減容化に係る実証事業を実施しました。
下水汚泥については、福島県において、福島市堀河町終末処理場と県中浄化センター(郡山市)で減容化事業を実施し、既存の管理型処分場及び中間貯蔵施設等へ搬出しやすい形態になるよう施設工事を進めています。
農林業系副産物については、岩手県一関市において、各家庭から排出される生活ごみと放射性物質を含む牧草を一緒に焼却処理を行う実証事業を実施しています。また、福島県鮫川村においては、村内で発生し処理の滞っている放射能に汚染された農林業系副産物等を処理するため、仮設焼却施設を設置し、処理を開始しました。
汚染廃棄物対策地域内では、約47万トンの災害廃棄物が発生しました。対策地域内廃棄物の処理について、平成24年6月11日に「対策地域内廃棄物処理計画(田村市、南相馬市、川俣町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、浪江町、葛尾村、飯館村)」を策定し、この計画に基づき、各自治体の協力を得ながら、処理に必要な仮置場や仮設焼却炉等の施設整備を進めています。
また、住民の一時帰宅に伴い排出される家の片付けごみ等についても、各市町村における処理体制が復旧するまでの間は、区域見直し後も国があわせて処理することを含め、各市町村と個別に調整しています。
平成25年4月時点で、南相馬市塚原地区(平成25年2月~)、吉名地区(平成25年4月~)、楢葉町波倉地区(平成25年3月~)、前原地区(平成25年4月~)、川内村(平成25年3月~)において、現地選別を実施の上、仮置場に災害廃棄物等の搬入を開始しました。一部地域については、倒壊家屋の解体事業や被災車両の撤去事業等も実施しています。
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