環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第3章>第3節 国際的な循環型社会の構築

第3節 国際的な循環型社会の構築

ア 有害廃棄物の適正管理

 有害廃棄物の不適正な輸出入を防止するため、引き続き、地方環境事務所による立入検査等の現場対応を進め、都道府県や税関等との連携を図ることにより監視の強化に努めます。

 また、わが国からの循環資源の輸出が増加している一方、有害廃棄物を不適正に海外に輸出したり、輸出先での環境上不適正な処理に伴う健康や環境への影響が懸念されています。特に、有害物質を含んだ使用済電気電子機器については、実際には中古利用に適さないものが中古利用の名目で輸出されたり、金属スクラップに混入され輸出されている事例が指摘されていることから、使用済電気電子機器の輸出時における中古品判断基準の明確化や有害特性分析方法等について検討し、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の適切な運用等を実施します。さらに、「有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワーク」等による情報交換を引き続き行い、特にアジア各国との連携を推進します。これに加え、バーゼル条約事務局やバーゼル条約地域センターとの連携も強化し、アジア太平洋地域におけるE-waste及びコンピュータ機器廃棄物の環境上適正な管理、2011年(平成23年)10月に開催されたバーゼル条約第10回締約国会議(COP10)に基づく、有害廃棄物の環境上適正な管理に関するガイドライン策定に向けた財政的・技術的支援を行います。

イ 「アジア3R推進フォーラム」等を活用した3Rの国際的推進

 2009年(平成21年)11月に設立された「アジア3R推進フォーラム」を活用することにより、アジア各国政府、国際機関、援助機関等さまざまな主体の国際連携を促進するとともに、アジアにおける3Rの推進のための政策立案・実施等のための国際協力をより有機的に行います。また、OECDにおける資源生産性向上に係る取組や、UNEP「持続可能な資源管理に関する国際パネル」における資源利用に伴う環境影響に関する科学的知見の取りまとめ等の活動を引き続き支援していきます。

 さらに、2011年度(平成23年度)より開始したわが国静脈産業の海外展開に対する支援を引き続き行っていきます。主要な取組として、わが国静脈産業による具体的な海外展開の計画のある事業について実現可能性調査やワークショップ開催等への支援を行うほか、関係者が情報共有・意見交換を行う静脈産業海外展開促進フォーラムの開催等を行っていきます。

 また、次世代の静脈産業を支援するために企業の新たな循環ビジネスモデルの確立支援を行います。

ウ リサイクル分野におけるわが国企業のアジア展開の支援

 近年、アジアでは、各国の経済成長に伴う廃棄物発生量の増加や資源価格の高騰により資源需要が高まっており、リサイクルに関する法制度や産業インフラの整備需要が高まっています。

 一方、わが国のリサイクル産業には、資源循環制度を背景とした高い技術やオペレーションノウハウが蓄積されており、アジアにおけるこうしたインフラ需要の高まりは、わが国企業にとって大きなビジネスチャンスとなっています。

 こうした状況を踏まえ、経済産業省では2010年6月に発表した産業構造ビジョンにおいて、戦略的に推進すべきインフラ関連/システム輸出分野の一つにリサイクル分野を位置付け、わが国企業のアジア展開を積極的に支援しています。

 具体的には、アジア各国における、法制度、市場規模、収益性及び事業リスク等を調査・分析し、わが国企業によるリサイクルビジネス展開の可能性調査をおこなっており、2012年は、タイ、ベトナム、マレーシアにおいて、調査を実施します。

 また、各地域で直面している廃棄物・リサイクル問題を解決するため、わが国のリサイクル技術・システムを活用した実証事業を実施しています。2012年は、中国北京市において自動車リサイクル、アセアン・インドにおいて有用金属を含む廃棄物の高度リサイクルに関する事業を実施します。

エ し尿処理システムの国際普及の推進

 国連ミレニアム目標に掲げられた、衛生的なトイレを使用できない26億人の人口を半減させるという国際的な衛生問題の解決のために、水の安全保障研究会において示されたわが国の貢献として、浄化槽やし尿処理施設などの日本のし尿処理システムの国際普及を図ります。