都市における緑地の整備等各種の公害防止のための事業助成を引き続き推進するほか、中小企業が円滑に公害防止を実施できるよう、指導・相談、技術開発に係る助成等の充実を図ります。
税制上の措置等
平成23年度税制改正において、[1]既存住宅について一定の省エネ改修工事を行った場合の所得税額の特例措置の適用期限の延長、[2]低公害車燃料等供給設備に係る固定資産税の特例措置について、対象設備の見直しを行った上で延長、[3]環境関連投資促進税制の創設、[4]排出ガス規制新基準に適合した特定特殊自動車に係る固定資産税の課税標準の特例措置の創設、[5]PCB汚染物等無害化処理用設備、石綿含有廃棄物等無害化処理用設備に係る特別償却の延長、[6]日本環境安全事業株式会社が取得するPCB廃棄物処理事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置の延長、[7]国立公園特別保護地区等の生物の多様性の保全上重要な土地に係る相続税の特例措置の創設等の措置を行います。
環境への負荷に経済的負担を課すことを通じ、環境負荷低減へのインセンティブを与える手法については、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制、都市・生活公害対策、廃棄物の抑制などの分野に応じ、その適切な活用のあり方について検討します。
地球温暖化対策のための税については、平成23年度に導入します。具体的には、広範な分野にわたりエネルギー起源CO2排出抑制を図るため、全化石燃料を課税ベースとする現行の石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せする「地球温暖化対策のための課税の特例」を設けることとします。
グリーン購入法に基づく基本方針において、国等の機関が特に重点的に調達を推進すべき物品等として定めている特定調達品目及びその判断の基準については、環境物品等の開発・普及の状況や科学的知見の充実等に応じて適宜追加・見直しを行うこととしています。このため、平成23年度も学識経験者による検討会を設置するとともに、重点的に検討する品目ごとに分科会を設け、品目のさらなる拡充及び基準の強化を図ります。
国等の各機関では、基本方針に即して、特定調達品目ごとの具体的な調達目標などを定めた調達方針を作成・公表し、これに基づいて環境物品等の優先的調達を推進するほか、年度終了後にはその調達実績の概要を公表します。
また、環境表示の信頼性を確保するための検討を行い、グリーン購入のさらなる推進を図ります。
国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(平成19年法律第56号)に基づく基本方針(平成19年12月7日閣議決定。平成22年2月5日変更)では、電力調達、自動車調達、船舶調達、ESCO(省エネルギー改修)事業、建築設計の5分野における契約について、具体的な環境配慮の方法や手続について定めており、適宜追加・見直しを行っていきます。国及び独立行政法人等は、この基本方針にしたがって環境配慮契約に取り組む義務があり、機関ごとに契約の締結実績を公表することになります。
購入者が、製品やサービスに関連する適切な環境情報を入手できるよう、環境ラベリングその他の手法による情報提供を進めるため、国際的な動向を踏まえながら、環境ラベル制度の相互認証確立に向けた調査及び検討を行います。また、グリーン購入の取組を促進する民間団体による情報提供の取組を促進します。さらに、タイプII環境ラベルや民間団体が行う情報提供の状況を引き続き整理・分析して提供するとともに、適切な情報提供体制のあり方について検討します。
ライフサイクルアセスメントを活用した仕組みであるカーボンフットプリントについて、これまでの試行事業の成果を踏まえた制度の構築と理解促進に努めるとともに、LCA手法を導入する企業の拡大を推進します。また、ISOにおける国際標準化の議論に積極的に貢献します。
日本工業標準調査会(JISC)は、環境配慮製品の市場の創出・拡大を図るため、3R・環境配慮設計・地球温暖化対策・有害物質対策・環境汚染対策に資する規格の制定・改正に取り組むほか、環境関連法令や契約等の中で環境JISがどのように活用されているかについて調査・検討を継続して行い、環境JISの制定・改正・活用の促進に役立てます。
一定の省エネ基準を満たすエコ住宅の新築、二重サッシ化や複層ガラス化などの窓の断熱改修、外壁や天井等の断熱材の施工といったエコリフォーム、エコリフォーム等に併せて設置する省エネ性能が優れた住宅設備(太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽)等に対して、多様な商品等と交換できるポイントを付与する住宅エコポイント事業を、引き続き実施します。
環境マネジメントシステムの導入を幅広い事業者に広げていくため、さらなる普及促進に努めます。中小規模の事業者向けに策定された環境マネジメントシステムである「エコアクション21」について、平成21年度に行われたガイドライン改訂に関する内容の周知を図るとともに、一層の普及促進を図ります。また、環境マネジメントシステムの段階的適用の指針(ISO14005)の発行を受けて、同規格の迅速な日本工業規格(JIS)化に向けて作業を進めていきます。
総合的な環境会計ガイドライン等を通じて、環境会計手法の一層の普及促進を図るとともに、発展途上にある環境会計の手法確立に向けて、ガイドラインの改訂に向けた検討を進めます。また、環境管理会計の一手法であるマテリアルフローコスト会計の国際標準化作業を円滑に推進するために、国内における優良導入事例の蓄積を目的とした事業者団体等によるマテリアルフローコスト会計導入実証事業等を支援します。加えて、平成23年9月のISO国際規格発行を目指すとともに、国際規格発行後速やかに日本工業規格(JIS)の発行ができるよう作業を進めます。
環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(平成16年法律第77号)に沿って、環境報告書の作成・公表のさらなる普及促進と事業者・国民による利用促進のための施策を引き続き推進します。
具体的には、環境報告書作成にあたっての実質的な手引である環境報告ガイドラインについて、さらなる情報開示の促進と質の向上に向けて改訂の検討を進めます。また、環境報告書に関するポータルサイトの適切な運用や、すぐれた環境報告書の表彰、普及啓発のイベント等を通じて、質の高い環境報告書の作成・公表を促進していくほか、環境報告書の信頼性の向上を図るため、環境報告書の自己評価や第三者審査などの自主的な取組の推進を図ります。
平成22年1月の中央環境審議会答申(「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」)を踏まえ、事業者や地方自治体が公害防止を促進するための方策等を検討、実施します。
温室効果ガスの有効化審査員・検証員の力量に対する要求事項に関する国際規格(ISO14066)の発行をうけて、同規格の日本工業規格化(JIS化)に向けて作業を進めていきます。
個人金融資産の有効な活用という視点も踏まえ、環境に配慮した事業活動を評価する投融資の普及促進を図ります。そのため、以下に掲げる市場への環境配慮の織り込みを促進するための事業を実施するほか、金融機関も含めた事業者への情報提供や普及啓発を行っていきます。
国民の個人資産を地域の環境保全事業等に活用するコミュニティ・ファンドの取組を促進するため、コミュニティ・ファンドが投融資する事業に対して、事業関係者を含めて環境面等からの評価を実施し、その結果を事業の見直しに反映させる取組を支援します。また、企業の環境配慮の取組全体をスクリーニング手法等により評価し、その評価結果に応じて金利優遇を行う「環境格付」手法を用いた融資の取組について支援します。
金融機関が投融資等に当たって、環境に配慮する旨を謳う「日本版環境金融行動原則(仮称)」の策定について、有志の金融機関が参加する日本版環境金融行動原則起草委員会の活動を支援します。原則へのコミットとフォローアップを通じ、金融機関全体としての環境に配慮した投融資等への意識と取組の向上を図ります。
さらに、環境報告書の比較可能性・信頼性の向上や適切な環境表示の推進等により、環境情報の利用を促進し、市場の中で環境配慮の取組が適切に考慮されるように努めます。
地球温暖化対策投資の推進により、企業の環境対策の促進と経済活性化を同時に図るため、意欲的なCO2削減を誓約した企業に対し、利子補給による支援を行います。また、低炭素機器をリースで導入した場合に、リース事業者に対してリース料の助成を行います。
さらに、企業における環境に配慮した事業活動及び投資活動の現状把握、環境ビジネスの振興、グリーン購入など需要面からの環境投資の促進、環境配慮型融資や社会的責任投資(SRI)等の普及促進など、環境投資のための資金調達の円滑化の促進に引き続き取り組みます。なお、投資判断に資する企業の環境情報の提供促進についても検討してまいります。
日本企業がもつ環境力を適切に評価できる仕組みのあり方等について、平成21年度に実施した調査等を踏まえて検討を行います。
平成20~22年度にモデル事業を実施し、23年度以降は民間主導により展開していく「エコ・アクション・ポイント」について、国民一人ひとりの環境配慮行動に経済的インセンティブを付与することで、ライフスタイルの変革を図る取組をより効率的に推進するため、3年間のモデル事業の実績・課題等の検証及び改善点の提言、仕組み全体の信頼性・公平性の確保を図ること等により、引き続き「エコ・アクション・ポイント」を推進します。
環境と調和のとれた農業生産活動を推進するため、農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき農業環境規範の普及・定着を引き続き推進します。さらに、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年法律第110号)に基づき、土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組む農業者(エコファーマー)の認定促進、エコファーマーの技術や経験の交流を図るための全国ネットワーク化の支援や、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律112号)に基づく有機農業の推進に関する基本的な方針に即し、産地の販売企画力、生産技術力強化、販路拡大、栽培技術の体系化の取組の支援、共同利用機械・施設等の整備に関する支援を引き続き行います。また、森林・林業においては、育成複層林施業等の森林整備を促進するとともに、計画的な保安林の指定の推進及び治山事業等による機能が低下した保安林の保全対策、多様な森林づくりのための適正な維持管理に努めるほか、関係省庁の連携の下、木材利用の促進を図ります。
水産業においては、持続的な漁業生産等を図るため、適地での種苗放流等による効率的な増殖の取組を支援するとともに、漁業管理制度の的確な運用に加え、漁業者による水産資源の自主的な管理や資源回復計画に基づく取組を支援します。さらに、沿岸域の藻場・干潟の造成等生育環境の改善を実施します。また、持続的養殖生産確保法(平成11年法律第51号)に基づく漁協等による養殖漁場の漁場改善計画の作成を推進します。
自動車NOx・PM法に基づく排出基準適合車へ代替する際の低利融資、地方公共団体や民間事業者等が次世代自動車等を導入する際の補助制度、排出ガス性能や燃費性能のすぐれた環境負荷の小さい自動車に係る自動車税のグリーン化、自動車重量税・自動車取得税の時限的免除・軽減措置等を活用し、排出基準適合車両への代替及び次世代自動車等のさらなる普及促進を図ります。
また、次世代大型車について、産学官の適切な連携により、次世代バイオディーゼルエンジンや高性能電動路線バス等の低炭素化に資する技術開発を促進しつつ、実用性の評価等を行います。さらに、交通分野において、早期に実用化が必要かつ可能なエネルギー起源二酸化炭素の排出を抑制する技術の開発及び実証研究を実施します。このほか、都市鉄道新線の整備、在来幹線鉄道の活性化、次世代型路面電車システム(LRT)の整備、駅のバリアフリー化、オムニバスタウン整備、ノンステップバスの導入、鉄道・バス相互の共通ICカードシステムの整備等に対する支援等を通じて環境負荷の小さい公共交通機関の利用促進を図ります。
加えて、マイカーから公共交通機関への利用転換を推進するエコ通勤優良事業所認証制度の拡充を図るとともに、地域独自のエコ通勤推進施策と連携を図りながら、通勤交通グリーン化を推進します。
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