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第4節 

2 循環と共生を基調とした地域づくり

(1)持続可能な地域づくりに対する取組
 環境省では地球環境問題からリサイクル対策まで多岐にわたる地域の課題を視野に入れ、市民との協働を図りながら、環境の恵み豊かな、持続可能なまちづくりに取り組んでいる地域を対象に、大臣表彰を行っています。平成15年度「循環・共生・参加まちづくり表彰」においては、紫波町(岩手県)、坂戸市(埼玉県)、日野市(東京都)、武生市(福井県)、朝来町(兵庫県)、梼原町(高知県)の6団体を表彰しました。(https://www.env.go.jp/press/4484.html
 環境、防災、国際化等の観点から都市の再生を目指す21世紀型都市再生プロジェクトの推進や土地の有効利用等都市の再生に関する施策を総合的かつ強力に推進するため、平成13年5月、内閣に都市再生本部が設置されました。15年度には、関係する行政機関が相互に密接な連携と協力を図り、施策を総合的に推進するため、「環境共生まちづくり」のモデル地域(室蘭市、飯田市、田原町、近江八幡市、京都市、北九州市、日南市の7地域)を選定し、それぞれの地域で環境共生まちづくりの課題について検討が行われました。
 新世代下水道支援事業制度水環境創造事業を引き続き推進するとともに、省エネルギー化を図った施設建築物を整備する市街地再開発事業等に対し特別な助成を行う先導型再開発緊急促進事業にて支援を行いました。また、環境への負荷を低減するモデル性の高い住宅市街地の整備を推進する「環境共生住宅市街地モデル事業」にて支援を行いました。

(2)自然と共生する地域づくりに対する取組
 ほ場整備による優良農地の確保、保全とあわせて地域の活性化のため、換地の手法を活用し、公共用地や宅地等地域の多様な土地需要に対応した非農用地を創出するとともに、既存集落と一体的に生活環境を整備することにより、潤いのある田園居住空間を創造する「農村振興総合整備事業(田園居住空間整備)」を実施しました。農業用水や農業水利施設が持つ景観形成、親水、生態系の保全などの地域用水機能の発揮に配慮した整備を行うことにより、都市住民にも開かれた豊かで潤いのある水辺空間を創出する地域用水環境整備事業を実施しました。たい肥化施設等の計画的な活用により、処理水と汚泥等の有機性資源の循環利用を促進する「農業集落排水資源循環総合補助事業」を実施しました。生態系の保全等に資する農業用水路等を子どもたちの遊び場、自然体験の場として活用する「あぜ道とせせらぎ」づくり推進事業を、関係府省が連携して行いました。自然エネルギー活用システムの導入等に対しては、次世代都市整備事業により支援を行い、環境負荷の軽減、自然との共生、アメニティの創出という環境共生都市(エコシティ)理念の実現を推進しました。
 
(3)景観を保全・創造する地域づくりに対する取組
 河川と一体になったまちなみ景観の保全・創造のために、美しい水辺空間を創出する「マイタウン・マイリバー整備事業」「ふるさとの川整備事業」等を各地域において推進しました。
 公共施設整備、市街地開発事業等を契機として、地方公共団体と地域住民とが協力して、地域の良好な景観形成を誘導するため、シンボルロード整備事業等による良好な公共施設の整備と、地区計画等による地域内の建築物の形態等の規制を実施し、美しい街並みが形成されるよう、積極的な支援を行いました。

(4)歴史的景観と調和する地域づくりに対する取組
 豊かな歴史的環境の確保・保全のため、史跡等の公有化及び整備・活用等を通じて地域づくり等を推進しました。
 市町村が行う伝統的建造物群保存対策調査及び重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物の保存修理、防災施設等の設置、建物や土地の公有化などの事業に対して補助を行いました。平成15年10月、滋賀県大津市を新たに古都に指定するとともに、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」(昭和41年法律第1号)に基づき指定された歴史的風土保存区域において、特に枢要な部分を構成している地域については、歴史的風土特別保存地区の指定や地方公共団体による土地の買入れ等を推進しました。
 また、文化財としての価値を有する土地改良施設の補修等を、その歴史的価値の保全に配慮しつつ行いました。

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