前のページ 次のページ

第4節 

1 地域における環境保全の現状

(1)地域における環境保全施策の計画的、総合的推進
1) 平成15年7月に「循環・共生・参加まちづくりシンポジウム」を循環・共生・参加まちづくりネットワーク(全国92自治体で構成)と共催で開催し、パネルディスカッション等を行いました。
2) 全国の地方公共団体の環境関連情報を提供するウェブサイト「地域環境行政支援情報システム(知恵の環)(http://www.chie-no-wa.com)」の全面リニューアルを行い、利便性の向上を図りました。
3) 各地方公共団体においてそれぞれ地域環境保全基金が設けられています。この基金により、ビデオ、学校教育用副読本等の啓発資料の作成、地域の環境保全活動に対する相談窓口の設置、環境アドバイザーの派遣、地域の住民団体等の環境保全実践活動への支援等が行われました。
4) 「緊急地域雇用創出特別交付金」を活用し、地域住民や企業退職者、さらには地域環境に詳しい人材が行う森林の下草刈り、「ごみマップ」の作成等の環境関連事業を幅広く推進しました。

(2)地方環境情勢の把握
 環境省では、全国9ブロックに配置している地方環境対策調査官(平成15年度末定員:89名)を活用し、廃棄物の不法投棄現場などの現地調査を行い、関係者の意見・要望を聞くなどして地方環境情勢の把握に努めました。また、全国7か所において地域環境問題懇談会を実施し、地方公共団体との環境保全に関する意見交換を行い、今後の施策を展開する上での参考としました。
 環境問題に関する国民の意見・要望などを全国的に把握するため、全国で約500人の環境モニターを委嘱しており、モニターからの意見・要望等は、環境省の各種施策の企画、立案等に活用されています。平成15年度の報告件数は715件でした。
 都道府県及び政令市における騒音規制法、振動規制法及び悪臭防止法に係るそれぞれの施行状況に関する調査を実施しました。
 以上のほか、地方環境対策調査官事務所では、NGO/NPO、地方公共団体、地域企業などが一堂に会した各種会議や環境施策PRのための環境展などの行事の開催、また、相談窓口などを通じて、環境問題に関する情報や国民の要望の把握に努めました。

(3)地方公共団体の環境保全対策
ア 環境行政担当組織及び職員の現況
 都道府県・政令指定都市では、平成15年3月31日現在、公害等(廃棄物、下水道関係等を除く。市町村についても同じ。)担当職員数は6,979人、自然保護担当職員数は2,369人となっています。また、市町村では、15年3月31日現在、公害等担当職員数は、9,177人、自然保護担当職員数は、3,473人となっています。
イ 条例の制定状況
 地方公共団体においては、環境保全に関連した条例等の下、地球温暖化、循環型社会、環境への負荷の少ない交通、健全な水循環、化学物質、生物多様性等の分野において、地域の特性に応じたさまざまな施策が実施されました。地方公共団体の環境保全関連条例は表7-4-1のとおり4つに大別され、平成15年3月31日現在、都道府県・政令指定都市のうち、1)は58団体、2)は53団体、3)は53団体が制定しています。



ウ 総合的な地域環境計画の策定状況
 「環境基本法」(平成5年法律第91号)の制定と環境基本計画の策定を契機として、地方公共団体においても、環境についての基本理念を明らかにした総合的な地域環境計画の策定が進んでおり、平成15年度末現在で、都道府県・政令指定都市のすべてで策定されています。また、市町村では、14年度末現在、538団体において策定されています。
エ 地方公共団体の事業者・消費者としての環境保全に係る行動の取組状況
 地方公共団体は、通常の経済主体として自らの経済活動に伴う環境負荷の削減が強く期待されており、多くの地方公共団体で、省資源・省エネルギー活動等のさまざまな環境負荷低減のための取組を内容とする計画や行動のための指針が策定されています。
オ 公害防止協定の締結状況
 平成14年4月〜15年3月までの間に締結された公害防止協定数は、974件となっており、協定締結の事業所数を業種別に見ると表7-4-2のとおりとなっています。



 これによると、第2次産業の業種のみではなく、産業廃棄物処理やサービス業の第3次産業を中心とした「その他」に分類される業種が約5割を占めています。これらの協定のうち、住民も当事者として参加しているものは114、住民が立会人として参加しているものは65となっています。
カ 公害対策経費
 平成14年度において、地方公共団体が支出した公害対策経費(地方公営企業に係るものを含む。)は、4兆7,171億円(都道府県9,184億円、市町村3兆7,987億円)となっています。これを前年度と比べると、5,171億円(都道府県776億円減、市町村4,395億円減)、9.9%の減となっています(表7-4-3)。



 公害対策経費の内訳で見ると、公害防止事業費が4兆3,479億円(構成比92.2%)、次いで一般経費(人件費等)が1,873億円(同4.0%)等となっています。さらに、公害防止事業費の内訳をみると、下水道整備事業費が3兆2,351億円で公害対策経費の68.6%と最も高い比率を占めており、次いで廃棄物処理施設整備事業費が9,209億円(構成費19.5%)となっています。
 なお、平成16年度の地方財政対策において、地域環境保全・創造事業及びリサイクル推進対策事業として合わせて2,880億円程度が計上され、地方交付税措置等が講じられています。

前のページ 次のページ