2 個別の環境問題における足元からの取組の動き
地球サミットとほぼ時期を同じくして、わが国では、1993年(平成5年)に環境基本法(平成5年11月19日 法律第91号)が制定され、その後、環境基本計画*の策定、地球温暖化対策のための各種関係法令の制定・改正、廃棄物リサイクル対策に関する各種関係法令の制定等、持続可能な社会の構築に向けた枠組みづくりが次々と進められました。今日、これらの枠組みの下、各主体がそれぞれの役割に応じた取組を進めていくことが期待されています。
地球温暖化対策においては、わが国は、2002年(平成14年)6月に先進国などの温室効果ガスの削減義務を定めた京都議定書*を受諾しました。議定書が発効すれば、温室効果ガスの総排出量を2008年(平成20年)から2012年(平成24年)の間に1990年(平成2年)と比べて6%削減する義務が生じます。製造・流通・販売(購入)・消費・廃棄といった製品のライフサイクルでは、さまざまな形でエネルギーが使用され、それに伴い二酸化炭素が排出されていますが、それは個人が製品を購入・消費・廃棄することに起因しており、個人のライフスタイルのあり方は、民生部門ばかりではなく、産業・運輸部門から排出される二酸化炭素と密接な関わりを有しています。京都議定書の約束を達成するための具体的方策を取りまとめた地球温暖化対策推進大綱*では、事業者の自主的取組の推進を図るとともに、特に、民生・運輸部門の対策を強力に進めるとしています。
また、生物多様性の分野においては、「生物の多様性に関する条約」の締結を受け、わが国では、平成7年10月に「生物多様性国家戦略」を策定し、その後平成14年3月にこれを見直した「新・生物多様性国家戦略」を策定しました。その中では、戦略に基づく施策を推進する上で、政府に加え、地方公共団体、国民、企業、民間団体、専門家等の多様な主体のより一層緊密な連携の仕組みを設けていくことが必要であることを強調しました。その中でも地域の生物多様性の保全や持続可能な利用のためには、日常的に保全や利用に関わる地方公共団体や地域の住民が主体となって、地域の特性に応じた計画づくりや取組を進めていくこととしており、「地域」における取組の重要性を述べています。
また、平成15年3月に策定された循環型社会形成推進基本計画*においては、「国民は、消費者、地域住民として、自らも廃棄物等の排出者であり、環境への負荷を与えていることを自覚して行動するとともに、循環型社会の形成に向けライフスタイルの見直しなどをより一層進めていくことが期待されます。」と個人のライフスタイルのあり方の重要性についても述べられているところです。
持続可能な社会の構築に向けて各主体が役割を果たしていくに当たっては、第1章で詳しく見るように、今日の環境問題の多くが日常生活や通常の事業活動から生じていることを踏まえれば、具体的な対応は生活や活動の隅々まできめ細かなものである必要があります。そのため、人々の価値観や行動が多様化している今日においては、各主体が、枠組みの中で求められる取組はもとより、地球環境に対する自らの責任と役割を果たすために自発的・積極的に取組を進めていくことにより、持続可能な社会を構築していくことが重要となっています。