環境技術実証事業が対象としている化学物質に関する簡易モニタリング技術とは、環境中の化学物質のうち、特に公定法が定められていない物質等を対象とした測定を、通常実施されている手法より簡易的に実施する技術のことです。操作・管理の容易性や定量の高感度化などの特徴をもっており、スクリーニング的な活用や簡易な方法で異常値を監視できることなどへの有用性が期待されます。
【簡易モニタリング技術を活用した化学物質管理について】
- PRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)に基づいて、全国約3万5千の事業所からの対象化学物質354種類の大気、公共用水域等への排出量が平成15年3月より公表・開示されるなど、化学物質による環境リスクの低減及びリスクコミュニケーションの取組が本格化するなか、行政(国・地方自治体)、事業者、一般市民など様々な主体により、排出口や一般環境など様々な場面において、実際の環境中での化学物質の存在状況の把握が求められています。
- 簡易モニタリング技術の利点として、高精度な機器での分析を行う地点・時期をより適切に設定するための基礎情報を得るスクリーニング段階で利用して、モニタリングの効率化を図ることが可能になること、多くの物質についての同時測定、連続測定が可能であり、製造施設付近等の異常値の発見、監視へ利用して、危険情報の早期警戒が可能になること等が挙げられます。またGC/MS
等の高精度な機器と比較して、操作及び管理が容易であるため、簡易な施設においても測定ができます。特にPRTR制度により、化学物質の排出量が公表・開示され、一般市民や企業の意識が高まっているなか、簡易測定技術により得られる環境濃度の実測データが多方面に活用され、リスクコミュニケーションが一層推進されることが期待されます。