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■野生生物保護センター
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Kushiro-shitsugen Wildlife Center
釧路湿原野生生物保護センター |
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釧路湿原野生生物保護センターは、わが国最大の釧路湿原や野生生物の保護管理への取り組みのモデル施設として設置されました。センターでは、釧路湿原を訪れる多くの方々に、シマフクロウやタンチョウなど絶滅のおそれのある野生生物の現状や湿地生態系について解説し、保護への理解や関心を深めていただく普及啓発活動を行っています。 |
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シマフクロウ |
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■地域の特性 釧路湿原は広大な水平的景観を特徴としており、昭和62年に28番目の国立公園に指定されています。約1万8千haに及ぶ湿原の大半はキタヨシ・スゲ類・ハンノキ林からなる低層湿原で、一見単調に見えますが、ミズゴケが堆積した高層湿原や、蛇行する河川、湖沼群などさまざまな環境を含んでいます。またタンチョウやイトウ、キタサンショウウオといった希少な野生生物が生息しています。釧路湿原の主要部分は「ラムサール条約」に登録されました。 |
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■施設 1.展示 センターは、研究施設と一般向けの展示室に分かれています。展示室では北海道東部の野生生物や湿地の保護などについてパネルを展示し紹介しています。また、野外ケージでリハビリ中のシマフクロウの映像を見ることができます。 2.研究施設として センターには、調査・研究の共同利用施設としての役割もあります。具体的には湿原のモニタリング等の調査、研究を総合的に実施し、調査データ等の集積を行っています。また野生生物の保護、増殖や湿原の保全の基礎となる野生生物の生息状況調査も実施しています。 |
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■活動の概要 1.リハビリテーション 傷ついたシマフクロウを収容し治療した後、野生復帰させるための施設として、フライングケージを設置しています。リモートカメラ等で、個体の監視と生態観察も行っています。 2.モニタリング シマフクロウの生息・繁殖状況を調査しその生態を解明するために、毎年標識調査を行っています。 3.普及啓発活動 釧路湿原国立公園パークボランティアの活動拠点として利用され、自然観察会や湿原に関する勉強会等を開催しています。 |
展示室の様子 |
Hokkaido Seabird Center
北海道海鳥センター |
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北海道海鳥センターは、北海道の海鳥類を中心とした野生生物保護への理解を深めるための普及啓発活動や、保護増殖活動、調査研究を行うための拠点として北海道羽幌町に設置されました。センターでは「種の保存法」に指定されているウミガラス・チシマウガラス・エトピリカの保護増殖活動などを行っています。 |
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ウミガラス |
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■地域の特性 センターがある羽幌町の沖合約24kmに浮かぶ、周囲12kmの島「天売島」には、ウミガラスをはじめとする8種類、約数十万羽の海鳥が生息しています。この規模の島で、人間と数多くの海鳥が共生している場所は、世界的にみてもあまり例がありません。 |
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■施設 1.展示 センターには海鳥繁殖地のジオラマと、天売島のジオラマがあります。海鳥繁殖地のジオラマは、西海岸にある繁殖地の崖面でヒナを育てる海鳥の巣の様子をリアルに再現しています。天売島のジオラマは、人々と動植物の暮らしぶりを四季を通して再現しています。併設された映像ホールでは、四季を通して繰り広げられる鳥類の産卵から成育、魚類など野生生物の営みを、それぞれの視点から紹介しています。また自然環境と人間の共生を表現しつつ、エコ・ツーリズムの考え方や島を探訪する際の心得なども併せて紹介しています。 |
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■活動の概要 1.調査・研究 ウミガラスの保護増殖事業計画や分科会の事業計画に基づき、ウミガラス等の生息モニタリング調査やデコイの設置による誘引等の保護対策を実施しています。 2.普及啓発活動 展示施設を中心に、自然観察会の開催、研修会などを実施しています。またパンフレット等を発行し、地域住民を含めた一般の方々に、海鳥の保護の重要性や自然環境全般の理解を深めていただくための活動を行っています。 |
ジオラマ |
Raptors Conservation Center
猛禽類保護センター |
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山形県と秋田県の県境にある鳥海山の南麓に設置された猛禽類保護センターは、イヌワシをはじめとした猛禽類について、研究・保護活動を行うとともに、多くの方々に自然環境との関わり、それらをとりまく環境の重要性について理解していただくことを目的としています。 |
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イヌワシ |
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■地域の特性 秋田富士、出羽富士と称される鳥海山は、古くから山岳信仰の対象として大切にまもられてきました。その鳥海山系をテリトリーとするイヌワシは、現在4つがいと考えられています。センター開設地の山形県飽海郡八幡町は、「イヌワシ」を町の鳥に制定し、「八幡町イヌワシ保護対策協議会」を設立、イヌワシ保護に積極的に取り組んでいる町です。 |
イヌワシ |
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■施設 1.展示 展示は、ジオラマ、パネル展示、映像システムなどを利用して行われます。 |
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■活動の概要 1.調査・研究 猛禽類の生息状況や生息地の状況等のモニタリングを通して、採食行動、繁殖行動等を把握するとともに、分布や生態に関する情報収集を行います。また将来的に人工繁殖を図るために必要な調査・研究を行っています。 2.普及啓発活動 展示施設や、鳥海山をフィールドとした体験学習、自然観察会の開催、研修会などの実施により、地域住民を含めた一般の方々に、猛禽類の保護の重要性を理解していただくとともに、猛禽類を通じて自然環境全般の理解を深めていただくことを目的としています。 |
Sado Japanese Crested Ibis Conservation Center
佐渡トキ保護センター |
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佐渡トキ保護センターは、「トキ」の保護増殖に取り組むための施設として、新潟県佐渡市に設置されました。平成15年10月に日本の野生産最後のトキ「キン」が死亡しましたが、平成11年1月に、中国から「友友ヨウヨウ」「洋洋ヤンヤン」のペアが寄贈されて以来、繁殖が順調に進み、平成16年7月現在58羽を数えるまで回復しています。 |
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友友(ヨウヨウ)と洋洋(ヤンヤン) |
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■地域の特性 絶滅の危機に瀕しているトキ(学名Nipponia nippon)は、江戸時代、北海道から九州まで普通に見られる鳥でした。トキの風切羽はとき色と称される美しいもので、昔から珍重されたようです。しかし明治以降、その数は激減し「トキの里」新潟県新穂村(現佐渡市)では、昭和34年にトキの給餌をスタートするなど、トキの保護に積極的に取り組んできました。 |
優優(ユウユウ) トキ資料展示館 |
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■施設 1.トキ資料展示館 トキ資料展示館では、トキの生態、トキ保護の歴史などをパネル等によって解説しています。また、平成7年に死亡した「ミドリ」及び「キン」の剥製と骨格標本を展示しています。モニターで「友友ヨウヨウ」・「洋洋ヤンヤン」等の映像を見ることができます。 2.飼育ケージ センターでは昭和57年からトキの人工繁殖に取り組んできましたが、日本の野生産のトキでは、その夢は叶いませんでした。しかし中国から寄贈された、「友友ヨウヨウ」「洋洋ヤンヤン」のペアから無事ふ化した「優優ユウユウ」、「新新シンシン」・「愛愛アイアイ」等58羽が、このケージで元気に育っています。 |
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■活動の概要 1.個体の飼育・繁殖及び調査・研究 トキの飼育個体群の充実を図るためのトキの保護増殖事業の実施や資料の収集、研究をすすめています。 2.普及啓発活動 センターの「トキ資料展示館」とセンターに隣接する「新穂村トキ自然森林公園」において一般の方々が観察・見学できるようになっています。 |
Tsushima Wildlife Center
対馬野生生物保護センター |
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対馬野生生物保護センターは、ツシマヤマネコなど絶滅のおそれのある野生生物の生態や現状について解説し、野生生物保護への理解や関心を深めていただくための普及啓発活動や、希少な野生生物の保護増殖事業、調査研究業務を総合的に実施するための拠点施設として設置されました。 |
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ツシマヤマネコ |
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■地域の特性 対馬市上県町は対馬島の最北西に位置し、韓国との距離は海を隔ててわずか49.5km。このような地理的条件から大陸との関係が深く、生物相や文化遺産もその影響を受けていると考えられています。ツシマヤマネコも、約10万年前に、当時陸続きだった大陸から渡ってきたと考えられ、ベンガルヤマネコの亜種とされています。日本では対馬にのみ分布し、「とらやま」と呼ばれることもあります。昭和46年に国の天然記念物、平成6年には国内希少野生動植物種に指定されました。平成9年の調査により約70~90頭が生息していると推定されています。 |
ツシマテン 一般公開中の運動場 |
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■施設 1.展示 展示室では、ツシマヤマネコについてパネルや映像で詳しく解説しています。また、ツシマヤマネコが利用する代表的な3つの自然環境をジオラマにより再現しています(レクチャールームでは3本の映像ソフトを用意し、希望者へ随時上映しています)。またツシマヤマネコの問題を身近に感じてもらうために、平成15年12月より、野生復帰が困難なツシマヤマネコを一般に公開しております。 2.保護増殖事業の拠点としての役割 センターはツシマヤマネコの生息核心地域にあり、ツシマヤマネコを中心に、対馬の野生生物についての情報収集・公開を行っています。またツシマヤマネコの保護増殖事業の拠点施設として機能しています。 |
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■活動の概要(平成15年度現在) 1. 調査・研究 ツシマヤマネコの現在の生態、個体数、生息密度等を推定するため、痕跡調査や自動カメラの設置等を行い、生息状況の調査を行っています。 2.保護増殖事業 ツシマヤマネコ等の傷病個体の保護、検査を行い、野生復帰可能な個体についてはリハビリテーションを行っています。また、動物園と協力してツシマヤマネコの人工繁殖に取り組んでいます。 3.普及啓発活動 季刊誌「とらやまの森」を発行するとともに、対馬の自然を紹介するホームページにより積極的に情報発信したり、ツシマヤマネコの交通事故防止キャンペーン等を実施しています。また、行政機関等の視察、学校等団体の遠足、総合学習などの要請に応じて、解説やレクチャー等を行うとともに、自然観察会の開催や、ツシマヤマネコと共存できる地域社会づくりを行うため住民との座談会を行っています。また、ツシマヤマネコの交通事故防止キャンペーン等を実施しています |
Amami Wildlife Center
奄美野生生物保護センター |
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奄美野生生物保護センターは、アマミノクロウサギなどの希少な野生生物に関する調査・研究、外来種であるマングース防除事業、センターでの展示や自然観察会などを通じた普及啓発、「奄美・琉球」の世界自然遺産登録に向けた取り組みなどを総合的に行う拠点です。平成26年に展示を改修しリニューアルオープンしました。 |
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オオトラツグミ |
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■地域の特性
奄美群島には、地史的な成立過程と海流や気候的な背景が重なり合うことで、熱帯地域の北限種や、温帯地域の南限種、長い時間を超えて奄美にだけ生き続ける遺存種などの貴重な野生生物が生息しています。また、島という閉鎖的な条件にあるため、大陸に比べて絶滅が生じやすく、かつ、今も独自の進化を続けており、世界的にも貴重な自然環境を有しています。 |
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■施設
展示室では、「奄美群島の動植物と人々のくらし」をテーマに、黒潮の流れにのって、与論島から喜界島まで島をめぐります。島ごとに特徴的な生態系とそこに生息する野生生物及び生態系に育まれた島人の豊かなくらしについて展示し、全ての島をめぐると奄美群島全体の自然の大切さを学ぶことができます。奄美大島の四季の風景や野生生物を紹介する映像を上映するほか、実際の生きものに出会うため、「生きもの掲示板」で最新の奄美の野生生物の情報を提供しています。 |
いのちの方舟 |
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■活動の概要
1.調査・研究 アマミノクロウサギ、オオトラツグミ、アマミヤマシギを対象とした保護増殖事業を実施しています。アマミノクロウサギでは生息分布確認調査と、交通事故の被害を防止するためのキャンペーン活動を行っています。オオトラツグミでは巣立ち前の幼鳥の餌動物として重要なミミズを中心とした土壌環境調査と、さえずりの確認による分布調査を実施しています。また、アマミヤマシギではラジオトラッキングによる生態調査と、年2回の奄美大島、加計呂麻島、徳之島全域の分布調査を実施しています。 2.外来種駆除 奄美島では、外来種であるフイリマングースによる捕食などにより在来種が減少するなど、生態系への悪影響が見られています。平成12年度からマングース駆除事業を開始し、平成17年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、奄美大島からマングースを完全に排除する取り組みを進めています。 3.普及啓発活動 展示はもとより、自然観察会の開催や講演会を実施しています。また、パンフレット等を発行し、多くの方々に、奄美の野生生物の希少性や保護の必要性を理解していただくための活動を行っています。 |
Yambaru Wildlife Conservation Center
やんばる野生生物保護センター (ウフギー自然館) |
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やんばる野生生物保護センターは、やんばるを訪れる人々に野生生物保護への理解や関心を深めていただくための普及啓発活動や、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなどやんばるの絶滅のおそれのある野生生物の保護増殖事業、調査研究などを総合的に行うための拠点施設として設置されました。 平成22年4月に展示を全面改修してリニューアルオープンし、「ウフギー自然館」という愛称がつけられました。(「ウフギー」とは、地域の方言で「大木」を意味する言葉です)。 |
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ノグチゲラ |
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■地域の特性 沖縄本島北部地域は山原(やんばる)と呼ばれ、山や森が多いという意味です。本島最高峰の海抜503mの与那嶺岳を中心に山々が連なり、イタジイ、オキナワウラジロガシなどの亜熱帯照葉樹林が広がり、数多くの固有性の高い野生生物が生息しています。 |
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■施設 1.展示 「やんばるの自然が貴重なのはなぜ?」「なぜここだけの生きものがいるの?」などのガイダンスに始まり、やんばるの自然と生きものについて、海~川~森へとつながる生態系の面白さを、実物のはく製や営巣木、貴重な音や映像などを交えながらご紹介しています。「固有種ということ」では、ヤンバルクイナやノグチゲラなど、やんばるを代表するさまざまな固有種の生態や現状を詳しく取り上げています。 「やんばるが直面している課題」では、野生生物の交通事故(ロードキル)や外来種問題など、多くの方に知っていただきたい現状についてご紹介しています。 |
やんばるの自然と生きものたち |
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■活動の概要 1.保護増殖事業 ヤンバルクイナについては、的確な保護対策を行うため、生息状況等の調査や交通事故(ロードキル)対策、飼育下繁殖施設の整備などを行っています。 ノグチゲラについては、生息状況や生態等について調査を実施しており、ヤンバルテナガコガネについては、緊急保護個体を用いた生態情報の収集や密猟対策を継続的に行っています。また、希少種を保護するために、外来種のマングース捕獲事業にも取り組んでいます。 2.普及啓発活動 センターでは、 大人から子どもまで楽しめる、やんばるの自然とふれあえる企画として、自然観察会や講演会、体験教室などを行っています。地域の方々や、学校関係の児童・生徒のみなさんにも学習の場として活用されています。やんばる北部3村地域の自然と生きものの魅力・面白さと、世界でここにしかない自然の大切さをより多くの方々に知ってもらえるよう、様々なイベントを企画・開催しています。 |
Iriomote Wildlife Center
西表野生生物保護センター |
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西表野生生物保護センターは、西表島を訪れる方々に野生生物保護への理解や関心を深めていただくための普及啓発活動、イリオモテヤマネコをはじめとする西表の絶滅のおそれのある野生生物の保護増殖事業、調査研究などを総合的に行うための拠点施設として設置されました。 |
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イリオモテヤマネコ |
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■地域の特性 沖縄本島から南西に約470kmのところに位置する西表島を含む八重山諸島は、沖縄の本土復帰とともに国立公園に指定されました。西表島の名前を全国的に有名にしたのは、1967年に新種記載された「イリオモテヤマネコ」の存在で、現在約100頭が生息すると推定されています。イリオモテヤマネコのほかにも、島のほとんどを山岳が占める西表島は、熱帯・亜熱帯の原生林に覆われ、世界的に貴重な野生生物が生息しています。 |
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■施設 1.展示 展示室では、西表の自然環境と野生生物、特にイリオモテヤマネコに関しては形態的特徴、生態、生息状況、保護対策などについて科学的データをもとにパネルや標本などを使用して解説しています。また西表島の動植物の最新の目撃情報を記録するための「生き物掲示板」を設置しています。 |
展示室の様子 交通事故防止 キャンペーン |
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■活動の概要 1.モニタリング イリオモテヤマネコの個体数や行動圏、個体の健全性等、その保護を図る上で不可欠なデータの収集のため、大学等と協力して、自動撮影、ラジオトラッキング、臨床病理検査などの調査を行っています。 2.リハビリテーション 交通事故等で負傷した個体を治療し、野生復帰させるための施設としてリハビリ室と野外ケージを設置しています。またリモートカメラ等を通じたリハビリ個体の監視と生態観察も行っています。 3.普及啓発活動 イリオモテヤマネコの交通事故防止のための説明会、街頭広報、リーフレットの配布、道路標識の設置などのキャンペーン活動を関係機関と連携して行っています。また西表国立公園パークボランティア連絡会が、センターを拠点として自然観察会の開催や自然観察マップの作成などを行っており、これらの活動を通じて野生生物保護について広く普及を図っています。 |
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