世界の森林を守るために
森林保全のための取組
私たちは日常生活の中で、住宅、紙、家具など様々な形で木材を利用しています。それらの木材の多くは、世界中の森林で生産されており、我が国は大量の木材を世界から輸入しています。
2017年には約5,043万m3(丸太換算)、我が国の木材供給量の約68%の木材が輸入されました(平成30年度 森林・林業白書)。
このように、日本で生活する私たちは、世界の森林に対し、木材の消費者としての責任を負っています。
違法伐採は、主に木材・木材製品の輸出を目的としています。私たちは消費者として、木材生産国の違法伐採、森林減少・劣化を抑制するためにどのようなことができるでしょうか?
日本の木材需要量
資料:平成30年度 森林・林業白書
森林保全につながるあなたの選択
それでは、私たちは消費者として、世界の森林を守るために何ができるでしょうか?
まず、違法伐採された木材や木材製品を買わないことです。「合法性」や「持続可能性」を見分ける方法の1つとして「森林認証(※)」があります。森林認証とは、森林が適切に管理されていることを第三者機関が認証し、その森林から産出された、木材・木材製品に認証マークをつけることにより、消費者が選択的にこれらの木材等を購入することができるようにする民間の制度です。
認証制度名 | 認証管理団体 |
---|---|
FSC認証 |
森林管理協議会 FSC(Forest Stewardship Council) |
PEFC認証 |
PEFC森林認証プログラム PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes) |
SGEC認証 (我が国独自の認証であり、国際的認証であるPEFC認証と相互承認している。) |
緑の循環認証会議 SGEC/PEFC-J(Sustainable Green Ecosystem Council endorsed by Programme for the Endorsement of Forest Certification schemes) |
写真提供:FSCA.C. |
写真提供:緑の循環認証会議 |
写真提供:緑の循環認証会議 |
認証製品が見当たらない場合には、企業の環境配慮に関する方針や姿勢も、選択の一つの基準になります。例えば違法伐採木材を使わない、保護価値の高い森林からとられた原料を調達しない、森林認証制度を優先的に利用する、などの調達方針を持っているかどうかを見た上で、製造・販売・流通等に関わる企業を選択していくことも、世界の森林保全への貢献につながる取組となります。
私たちが、日常的に使うものの由来に関心を持ち、毎日の買い物で持続可能な森林経営から得られた木材・木材製品や適切な企業を選ぶことで、それらの売り上げに大きく貢献することができます。そのような製品や企業が正当に評価されるようになれば、製造者や流通者が持続可能な木材や木材製品を扱う動機となり、森林の保全につながっていきます。
木材・木材製品を扱う事業者・機関としてできること
政府は、平成13年4月より、国等の公的機関が率先して、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することを定めたグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号))を施行しています。グリーン購入法では、違法伐採対策として、木材・木材製品については、「合法性」、「持続可能性」が証明されたものとする措置が導入されています。
同法では、木材・木材製品の「合法性」、「持続可能性」の確認に際しては、木材関連事業者にあっては、クリーンウッド法に則するとともに、林野庁作成の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に準拠して行うものとされています。
参考
クリーンウッド法
(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)
政府は、民間需要においても合法伐採木材等の流通や利用を促進することを目的として、クリーンウッド法を施行しました。
全ての事業者は、合法伐採木材等を利用するよう努めることが求められ、特に木材関連事業者は、取り扱う木材等の合法性の確認等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなりました。この措置を適切かつ確実に行う木材関連事業者は、国に登録された第三者機関である登録実施機関に申請し、登録を受け「登録木材関連事業者」の名称を使用することができます。法律や関係法令では、登録制度の運用や、国や木材関連事業者が行うべき措置について定めています。
また、消費者が木材製品を購入する時に、「登録木材関連事業者」を選ぶよう促すことで、さらなる合法伐採木材等の流通・利用の促進が図られます。
クリーンウッド法の詳細 > 林野庁 クリーンウッド・ナビ
グリーン購入法
(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号))
政府は、国等の公的機関が率先して、環境への負荷が出来るだけ少ないものを選んで購入することを定めたグリーン購入法を施行しています。木材・木材製品の「合法性」、「持続可能性」の確認に際しては、木材関連事業者にあっては、クリーンウッド法に則するとともに、林野庁作成の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に準拠することとされております。一方、木材関連事業者以外にあっては、同ガイドラインに準拠することとされています。
また、同ガイドラインでは、木材・木材製品の「合法性」、「持続可能性」の確認に以下の3つの方法を提示しています。
- 森林認証を活用する方法
森林認証(注1)(PEFC認証、FSC認証、SGEC認証(注2)等)の認証マーク等により証明を確認する方法。
認証木材製品に関するパンフレット > パンフレット、報告書等
- 業界団体の認定を受けた事業者が証明する方法
木材にまつわる各業界団体が自主的な行動規範を作成した上で、個別の事業者を認定し、認定を受けた事業者が「合法性等証明書」(注3)を次の段階の業者に渡すことにより、証明の連鎖を形成するもの。
- 事業者独自の取組により証明する方法
個別の事業者が独自に伐採から入荷に至るまでの流通経路等を把握し、証明する方法(注4)。
グリーン購入法では、地方公共団体等の公的機関、民間事業者、国民に対してもグリーン購入に努めることを求めており、国等以外にもグリーン購入の取組が広がることが期待されています。
(注1)森林が適切に管理されていることを第三者機関が認証し、当該森林から産出 された木材を区分することにより、消費者が選択的にこれら木材を購入することが できるようにする民間主体の制度。
(注2)各認証管理団体
PEFC:programme for the Endorsement of Forest Certification Schemed(PEFC 森林認証プログラム)
FSC:Forest Stewardship Council(森林管理協議会)
SGEC/PEFC-J:Sustainable Green Ecosystem Council endorsed by Programme for the Endorsement of Forest Certification schemes(緑の循環認証会議)
(注3)合法性証明書の作成については、既存の伝票等を利活用していただくこともできます。
(注4)この方法には多様な証明方法が想定されますが、(2)の方法と同程度の信頼性が確保されるよう取り組んでいただく必要があります。