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里なび

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活動レポート

里なび研修会 in 北海道栗山町
【ハサンベツ里山づくり20年計画に学ぶふるさとを担う人づくり】

日時 平成23年11月11日(金) 13:30~17:30
場所 雨煙別小学校 コカ・コーラ環境ハウス(北海道栗山町)

■概要
童謡の歌詞「春の小川」「夕焼け小焼け」「ほたるこい」等で詠われている原風景の復元をめざして、ハサンベツ川周辺の地区では、町民による保全と自然体験活動が行われている。小学校理科副読本づくりで見つかったオオムラサキの保全からスタートした活動は、ファーブルの森、ふるさと生きものの里、廃校を利用した拠点整備へと展開している。
冒頭あいさつで鈴木紀元栗山町教育委員会教育長が触れたふるさと教育を意識したこれまでの活動を振り返りながら、「生物多様性保全活動促進法(地域計画)」の活用方策について参加者と共に考えを深めた。

■講演
テーマ:「花鳥風月のまちづくり」
講演者:山道省三(全国水環境交流会 代表理事)

1)都市住民の思いと地域の活動のつながり
 都市住民の暮らし方の意識は近年、特に震災以後は急速に変わろうとしている。自然環境が良い、食べ物がおいしい、景観が良い、そんな場所に住みたいという思いを強めている。栗山町の活動も単にこの地域だけの話ではなく、札幌や首都圏まで巻き込んで、都市住民の気持ちを具現化できる交流に展開していけるのではないかと思っている。

2)横浜市における自然再生の試みとその特徴-花鳥風月のまちづくり-
 横浜市において、初代全国水環境交流会代表理事の森清和さん(故人)が、街の川を良くしていきたいということで、様々な発信活動を行ってきた。その中で「花鳥風月のまちづくり」(横浜市環境科学研究所エコシティ研究室2002年3月)ということを掲げている。そこからキーワードを拾いながら考えてみたい。
 横浜市は戦後の急速な都市化の中で、後背地の多摩丘陵を含め大規模な開発が行われた地域である。丘を切り崩し、谷を埋めるというやり方で宅地が造成されていった。こうして元来の横浜の谷戸地形が壊されていった。かろうじて残ったところを水系という観点から自然再生につなげようという発想が「花鳥風月のまちづくり」(エコシティ)にある。キーワードは次の5つである。
ア)原生、天然希少種といった保護すべき対象とされる自然ではなく、「都市自然」という田園のなごりの二次自然を対象とする。
イ)かつて暮らしとともにあった自然文化(潤い、楽しみ、安らぎ、美味しい、味わいなど)を復活する。
ウ)都市自然には「ふるさと生物」「田園生物」が必要。「花鳥」はそうした身近だった生き物、「風月」はその成立基盤。
エ)20世紀末までに約350万人都市の横浜は、土地利用が大改変し、地形、緑地、農地、水系等が原型をなくした。そこにわずかに残った谷戸(地形)の復活を足掛かりとする。
オ)花鳥風月のまちづくりの達成戦略として、エコアップ(自然地の生態的多様性、繁殖環境作りの促進)、イメージアップ(都市自然地意義のPRや活用のための施設、メニュー、プログラムの充実)、マインドアップ(市民の自然に対する関心を高め、自然に対応sるマナー技術を啓発する)、バックアップ(行政による活動援助や制度の確立)の4つのアップを考える。
 横浜市は谷戸地形という特徴があり、小規模だが湧水を出している。そこからため池、水田、水路、川、そして海へとつながっている。この小水系を大事にしていくことで、都市の水をも改善できると考えた。取り組んだことは、都市の中の川を地域の人たちに親しんでもらうということ。ドブ川であってもよく見ると生き物がいることが分かる。昔の自然護岸や水神さんなど、まだかすかに残っている。これを再生のきっかけとした。川を再生するためには人々に近づいてもらうことが必要で、危険だという人たちに対しては、安全に子どもたちが遊べるような環境にしていこうと呼びかけて運動を展開した。また、ホタル、トンボなどいわゆるふるさと生き物を復活させようということで、学校にトンボ池を作ることにも取り組んだ。生き物が復活することで、たくさんの人々が集うようにもなった。

3)市民提案型公共事業の可能性
 従来は上から言われたことを公共事業としていたが、これからは市民が気が付き提案したことを公共事業化していくという方向性があってもよいのではないだろうか。新潟水辺の会が提起したことに「市民提案型公共事業」がある。
例えば、島根県ではNPO法人斐伊川クラブ竹ポットによる自然再生の取り組み、NPO法人水環境北海道によるカミネッコンを使った雪中植林、天竜川のアレチウリ駆除とエコポイントの仕組みづくりやニセアカシアの駆除と伐採木の薪ストーブの燃料化などの取り組み事例がある。これら様々な取り組みは多様な連携と協働を促し、保全再生を実現するための新たな活動を展開する可能性を生んでいる。

4)保全再生活動から暮らし・生業作りへの展開へ
自然再生の活動が実現した後それをどのように展開していくかという観点から、将来への希望も込めて、ハサンベツの里山作りへ2つの視点を話したい。
一つは、里山に暮らすコミュニティを作るということ。都市住民の中には、ライフスタイルを変えていかなければという人が増えてきた。米も野菜も、そして水までも高いお金を出して買わなければならないような状況になってきた。何のためにわざわざ都会に出て仕事をしているのかという思いを持つようになってきた。
こうした思いを受けて、身近に安全なおいしいものが食べられるところ、安心な生活空間ができないかという視点から、里地里山を学習や体験に利用するだけではなく、そこが本当に生活の場になるような取り組みの構造的深化が求められている。例えば貸し谷戸とか谷戸付家屋の販売など、都市に提供していく方向性もありうる。こうした試みが新しい思いを持った人々とをつなげる契機になるのではないかと思う。
もう一つは環境教育の成果を今後にどう生かしていくかということだ。近年子どもたちへの環境教育や自然体験活動が盛んにおこなわれるようになり、興味を持つ子も増えてきた。宮崎では小学生にして川漁の技術を買われ漁協の組合員になったという子どもの話を耳にした。このように環境教育や自然体験の経験を将来の仕事につながるようにできないだろうか。眺めて遊ぶだけではなく、育てる、とる、食べるという自然界の営みを通じたビジネスを作っていくことが大切だと考える。これは医療、健康という観点からも現代的意義がある取り組みだと思う。

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■事例報告

(1)「童謡の景観を次世代に伝える里山づくり」
報告者:高橋慎(栗山町ハサンベツ里山計画実行委員会)

 栗山町では、25年前にオオムラサキが発見され、残していかなければということで活動が始まった。当時は何をはじめたらよいのかがよくわからず、関東方面に研修に出かけた。そんな中で、身近な森を残す埼玉県嵐山町の取り組みや横浜のまちなかでビオトープ作りに取り組む森清和さんの活動が参考になった。身近な環境をいかに残していくかということでずいぶん縁があったと思いだされる。

1)ハサンベツ里山20年計画-実行委員会発足とその目的・運営方法-
 ハサンベツ地区は谷戸地形の中にあるが、離農によって放棄地が目立つようになっていた。またオオムラサキが舞う北限地域としてファーブルの森が隣接している。そこで環境省の支援を受けながら栗山町がハサンベツ川の沢地24haを購入し住民とともに活用を検討し始めた。当初は自然は放っておくという考えが基本だったが、戦後18戸の農家の人たちがそこで農業を営み、まだその家族の皆さんが町内で暮らしているということもあり、ただ放置するのではなく「谷津田の風景を再現しよう」と管理しながら復元していく取り組みが始まった。水芭蕉の群落地や蛍の再生、水車小屋を建てるなどイメージを作っていった。
 2001年には「ハサンベツ里山20年計画」を発足した。今子どもたちは環境に大変関心を持っている。少し長いスパンで考えていこうということを形にした。お金も労力もないが、長く進めていきたい、次の子ども達のために取り組んでいきたいという思いが込められている。実行委員会では、自主的に決めて取り組む、知恵・労力・資材・資金を生み出し持ち寄る、行政には資金援助よりは河川法・都市計画法などの法的整理や調整を依頼するといったことを活動の基本方針とし規約にも定めている。

2)地域づくりと教育活動に向けた具体的な活用-童謡の見える里山づくり-
 ふるさと風景の再生に童謡のイメージを取り入れて以下の活動を行っている。
ア)「春の小川はサラサラ」プロジェクト
 ハサンベツ川に沿って2kmの小川を造成し、ドジョウやトゲウオ、スジエビなど「普通の」水生生物の生息地作りを行った。川づくりの体験学習や魚道づくり、土砂流出防止の玉石組砂防ダムの設置などに取り組み、ニッポンザリガニやエゾサンショウウオなどの生息地づくりも行った。
イ)「ホーホーホタルこい」プロジェクト
 ヘイケボタルの繁殖地を作り、ホタル観賞会や、魚類、水生生物、星など夜の観察会などに取り組んでいる。
ウ)「夕焼け子焼けの赤とんぼ」プロジェクト
 小川、池、そして田んぼの造成と米作りを通じて、水生昆虫の回復を促すとともに観察会や里山での農業体験活動を実践している。
エ)「ミズバショウがさいている」プロジェクト
 植物観察を行いながら、湿原作りを通じて水生植物の水質浄化作用についての学習と研究、植物を活用したクラフト作りや山菜やくず粉などによる食育活動に取り組んでいる。
オ)「菜の花畑に入日うすれ」プロジェクト
田畑の造成により農村景観を作り、畑や田んぼの体験、堆肥作り、果樹栽培等に取り組んでいる。
カ)「ゴトゴトゴットン-水車」プロジェクト
 水車を設置し、水力発電の他、米引き、そば引き小屋づくり、水汲みポンプ作りに取り組もうとしている。
キ)「森の木陰でドンジャラホイ」プロジェクト
 50haに及ぶ雑木林を遠藤桃子氏から寄贈を受けた。その他にも町民有志から土地の寄贈を受けたことから活動が開始。植樹活動や間伐下枝払い等の森林整備の他、昆虫が生息できる場づくり、炭焼きやチップづくり、薪や木工クラフト材としての活用、シイタケ作りなど、森の多面的な活用を試みている。
ク)「カッコウカッコウ鳴いている」プロジェクト
 探鳥会の開催、営巣地と餌取り場の調査や環境づくり、渡り鳥標識調査の共同実施、石や間伐材を使った鳥クラフト作りを行っている。
ケ)「歴史の足跡をたどる」プロジェクト
 アイヌ道、旧道をたどる歴史の道づくりなどに取り組んでいる。
コ)「野外スポーツの場づくり」プロジェクト
 冬山を歩く活動や、クロスカントリーコース、遊歩道(フットパス)の造成など観察コースづくりを行っている。

3)夕張川流域をめぐる活動の活発化
 これまでの取り組みをきっかけにして、ハサンベツを支流とする夕張川本流の活動が活発化してきた。地元小中学生を中心に魚類調査が始まり、川下りや川探検などの川体験事業が実施されるようになった。また探鳥会や流域に残されているアイヌ語の地名をはじめとする歴史文化の調査が行われるようになった。夕張川を巡るセミナー、フォーラム、シンポジウムが行われ参加者が拡大してきている。ハサンベツ川などの支流では手作りで石組みを行い魚道を設置するなどの市民活動も効果を表してきている。
今春、夕張川本流に魚道ができ、マルタウグイやサケが遡上してきた。これは本当に特別の意義があることだと思う。ハサンベツの里山だけではなく、海と川と森と土、そして人との絆を強めていくことが、豊かな里山環境を再生することにつながっていくと考えている。

(2)「感動が生まれる自然・農業体験プログラム」
報告者:諸橋淳(NPO法人くりやま)

NPO法人くりやまでは、栗山町で展開される様々な活動をきちんと系統立ててやっていこうということで、プログラム作りとその運用に取り組んでいる。

1)学校教育に生かせるプログラム集の構成
 2010年度にこれまでの活動実績を踏まえて初めてプログラム集がまとめられた。学校教育で取り組んでいきたいという教育委員会からの要望を受けて編まれたもので、対象教科や対象学年、目的、イントロダクション、ヒアリング等、授業としてどのように使えるかを明示している。

2)プログラムの春夏秋冬
通年を通じた体験活動プログラムを提示している。

ア)春のプログラム
この季節は学校の遠足行事が多い。ただ歩くだけではなく自然観察を行いながら歩くというプログラムを設定している。植物観察会では観察とともに採集を行い、山菜などは調理して食べるということまで実践する。農業体験としては、田植えを行うとともに生き物観察を行っている。

イ)夏のプログラム
水辺を中心としたプログラムで大変人気がある。水辺の生き物調べでは、ハサンベツの川づくりを行い生き物を戻す活動の成果もありいろんな水生生物が観察できるようになった。本流の夕張川では、実際に魚を捕って食べるというプログラムも行っている。ライフジャケットを着用し流れを体験したり、夜遊びプログラムとして蛍観察やナイトハイクを行い、自然への感性を磨くということを意図した活動をしている。また山では林業体験・里山作り活動の一環で、木を伐採し、薪割りをするなどの危険を伴うこともあえて体験してもらっている。 このような活動はNPO法人くりやまの4名のスタッフだけでは安全管理を行うことは難しいので、教育委員会や地元ボランティアと協力しながら取り組んでいるところだ。年に数回川の指導者講習会を開いて、関係者のスキルアップにも努めている。

ウ)秋のプログラム
 収穫体験が主なプログラムになるが、農家も忙しい時期だということもありなかなか依頼するのが難しい。そこで、今年からはハサンベツの畑や田んぼを利用して独自で取り組み始めている。収穫から料理までの活動で楽しいプログラムとなっている。
 活動に最近は大学生の研修を受け入れるようになってきている。特に教員課程の学生などの受け入れでは、こちらのスタッフ不足を補う力としても期待をしている。興味のある学生は本当によく働いてくれるので、こういう学生とのつながりを大事にしていきたいと考えている。

エ)冬のプログラム
冬の里山を探るという目的でネイチャースノーハイクを実施している。植物や生き物観察を始め、要望に応じて川の観察なども行った。量は少ないものの結構種類は採ることができこちらとしても発見があった。
 宿泊体験後にお土産や記念品を持ち帰りたいと希望する学校が多いことから、キャンドル作りや表札づくり、リース作りなどのクラフト作りのプログラムも提供している。

3)プログラムの目指すところ
地域の自然や産業をどう魅力的に伝えられるか、実体験を核とした学習によって実現しようとしている。「ふるさとは栗山です」と言える人づくりを町内はもちろん町外の子どもたちにも広めていきたい。

(3)「ハサンベツ川の生態系復元」
報告者:妹尾優二(流域生態研究所 所長)

1)川の活動にかかわる原風景-童謡が見える里山作りへの共感から-
 川の復元ということをテーマ話してみたい。取り組みの中では、自分が小さい時にいろいろ経験してきたことが役立っていると思うことが多い。ハサンベツ里山計画20年では、「童謡の見える里山計画」ということに感銘を受けている。自分も自然からの恵みをいただくことで生活してかなければならないところで育っており、その原風景が今の仕事としての川づくり活動に役立っていると思っている。「うさぎ追いしかの山、小ブナ釣りしかの川」という情景を大事にしていきたい。その観点からも川の生き物たちの生活史に着眼し、産卵から越冬に至るまでの様子を調べることは非常に重要である。

2)ハサンベツ川の現状
 ハサンベツ川を見てみると、小さな小川がいくつも流入しており、複雑な地形景観は何かできる夢が広がる自然特性を持っていると思っている。一方で、自然状態では蛇行しているはずの河道がまっすぐにされ護岸で固められており、勾配調節のために落差工がつくられている。これは生き物の生息上、デメリットとなるような状況もみられる。

3)ハサンベツ川の改良
 生態系に配慮した河川改良のためには、頭で考えて作るだけではうまくいかない。生き物や水の流れなどそれぞれの立場に立った視点で考えることが重要である。「生き物の生息基盤の仕組みを理解する」「水には水の意思」「植物には意地」「魚など動物には開き直り」があることを理解し、それぞれの視点から対応策を考案していくことが大切である。
 こうした観点を踏まえながら、ハサンベツ川では、川幅を広げカーブを作ったり、石組による砂利のコントロール、砂防ダムに代わる砂だめ工、簡易魚道の設置などを行った。すべて市民による取り組みである。これらの取り組みにより生物相が豊かになったりウグイ等の遡上が確認でき効果が出たことが分かっている。
 またビオトープ内の水路作りでは、石を組むことで「サラサラ」という音を発生させたり、エビやトンボの増殖にも効果をもたらしている。

4)夕張川の河川環境復元とハサンベツ川の未来像
 ハサンベツ川がさらに豊かになるためには、本流の夕張川が豊かになることが必要不可欠である。近年夕張川も再生の兆しがみられサケやサクラマスの遡上し産卵床も確認されている。これをハサンベツ川などの支流へと広げていく活動を進めていくことを期待している。

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■ディスカッション
テーマ:「持続的な森林資源の活用に向けて」
パネラー:山道省三、高橋慎、諸橋淳、妹尾優二
コーディネーター:竹田純一(里地ネットワーク事務局長)

1)意見交換
 冒頭コーディネーターより次の問いかけがあった。ア)どうすれば子どもたちが本当に故郷と思ってくれるか?体験活動やイベントだけで十分なのか?その他にどんな方法があるのか?イ)取り組みが暮らしや生業とつながるための視点としてどんなことが挙げられるか?生物多様性を高めるための取り組みにはどんなものがあり、10年先を考えた時にどんな展開が考えられるか?ウ)地域の活動を外に広げるという視点としてはどんなことがあるか?
 以上をを受けて諸橋氏からは、子どもたちとの活動を通じて重要なのは人材育成であり、今後興味を持って取り組んでいく若い人を作っていくことが大切だと話があった。高橋氏からは、生物多様性地域連携促進法と関連して、生き物を考えた施策を実施するためには栗山町だけではなく周辺の流域市町村にも広げていく必要がある。計画づくりを通じて活動を広げていけるのではないかという話があった。また、国有林などこれまでは取り組みにくかった所も今後、法律に基づいた計画策定を行う中で可能になるのではないかという提案があった。山道氏からは自然や歴史文化というアメニティだけではなく、地域によっては災害等のディスアメニティなどの情報も入れ込み、防災の観点からも計画策定を行うべきだとの指摘があった。妹尾氏からは若い年代の自然体験の不足を危惧するとともに、里山活動がバランスの良い教育活動を進めていける場となる可能性について指摘があった。
 フロアーからは里地里山保全活動を展開している黒松内町の参加者より、保全だけではなく、子どもたちなど次世代に向けた教育活動につなげていこうとしている栗山町の事例は参考になるとの感想が聞かれた。

2)現地視察
 ハサンベツ川流域を中心に現地視察を実施した。河川の自然再生について現場を確認するとともに、魚道の設置や河道の拡幅、石組による土砂止めなど手作りの改修作業について、説明を受けた。また、生き物調べでは、スジエビ、エゾウグイ、ヤマメ、フクドジョウ、エゾアカガエル、ニホンザリガニがみられ、生き物の再生効果を確かめることができた。参加者はクマゲラの声が聞かれる中での散策を楽しみ、昔生き物で遊んだ話などで盛り上がった。

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■まとめ
 里地里山保全活動を持続的に展開していくためには、現在の活動を引き継ぎ発展させていく人材育成が必要不可欠となる。栗山町の事例ではふるさと教育を軸にしながら、地元だけではなく周辺市町村の子どもたちや一般参加者に向けて活動プログラムを展開しており、保全活動と一体となった効果をもたらしている。
 今回の研修会では、今後の計画策定活動を契機に行政、企業、都市住民などより広域で多様な主体との連携協働をどのように形成し取り組みを進めることができるのか、議論を深めることができた。

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