奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島

保護管理

世界遺産登録区域を含む4島は有人島で、野生生物の生息・生育環境と住民生活の場が近接しています。そのため世界遺産の保護と住民生活との共存を図る地域として、日本の自然遺産で唯一、緩衝地帯(バッファーゾーン)を設定しています。さらに、外来種対策や希少種の違法採集対策など資産の保護上必要とされる広域的な取組を行う地域として、登録区域及び緩衝地帯を取り囲む「周辺管理地域」を設定しています。これらの3種の区域を対象に、4島全体を包括する管理計画のもと、多くの関係者が協力し、効果的な管理を図っています。

世界遺産登録区域内の保護地域の面積
奄美群島国立公園
特別保護地区: 5,094 ha
特別地区: 9,061 ha
やんばる国立公園
特別保護地区: 2,949 ha
特別地区: 4,772 ha
西表石垣国立公園
特別保護地区: 4,624 ha
特別地区: 16,198 ha
(環境省所管の保護地域)

取り組み事例

マングースバスターズ

マングースバスターズ

奄美大島と沖縄島北部では、外来種であるマングース駆除のために、各島30名前後のチーム(マングースバスターズ)を編成するとともにマングース探索犬を導入し、計画的な捕獲及びモニタリングを実施しています。 加えて沖縄島北部では、マングースが高密度に分布する中南部からの侵入を防止するための北上防止柵を設置しています。取組の結果、奄美大島では2019 年度、2020 年度は1 頭も捕獲されておらず、根絶に近い状況になっています。

飼い猫の適正飼育

飼い猫の適正飼育

世界遺産登録区域ではネコによる希少種の捕食が確認されており、また希少種への疾病の感染による影響も懸念されています。
そこで、4 地域すべてで、飼い猫の適正飼育に関する条例が制定され、飼い主の情報を登録したマイクロチップ装着、室内飼育の徹底が進められています。

ロードキル対策

ロードキル対策

4 地域では、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコをはじめとする希少な野生動物のロードキル対策として、事故多発路線への注意看板や道路侵入防止のための柵等の設置、島民や観光客に対する交通事故防止キャンペーン等を行っています。

観光管理

観光管理

4地域すべてにおいて、利用ルール等を定めた観光マスタープランや来訪者管理基本計画を策定し、適切な観光利用を推進しています。
また、西表島では2020 年4月に施行された「竹富町観光案内人条例」により、自然観光ガイド事業を行うための免許取得や講習の受講が義務化されています。免許を取得したガイドは、自然環境の知識のみではなく、水難救助員の資格など、さまざまな要件を満たしています。

地域関係者による林道パトロール

地域関係者による林道パトロール

沖縄島北部では、林道利用状況の把握及び違法採集防止の声かけのため、環境省、沖縄県、国頭村森林組合および地域住民が連携して、林道パトロールや違法採集防止に関わる各種法令の周知を行っています。2018年から、地元警察、環境省、沖縄県、国頭村及び国頭村森林組合等と合同で密猟者の摘発を目的としたパトロールを実施し、警察官との連携体制も整えられました。

 

民間による世界遺産の普及啓発等

2019 年に鹿児島県、沖縄県では世界自然遺産の登録を推進するために、各県内の30 以上の企業・団体からなる世界自然遺産推進共同企業体が発足しました。これらの共同企業体は世界自然遺産に関する普及活動や希少種及び自然環境の保護などを通じてさまざまな課題解決や行政への協力を行っています。また、自然環境の活用を通じた地域貢献・地域振興にも取組むこととしています。