過去の調査と今年度のチョウ類調査を通じて「細越ホタルの里」の自然環境の変化を調べ、ホタルの生息環境が守られているかを地域や子供たちと一緒に考える活動を行っている。
須藤 隆一 氏
(NPO法人 環境生態工学研究所 理事長)
私は、これまで東北の大学で指導を行ってきたので、東北地方に愛着があります。今回久しぶりに東北地方から環境大臣賞が選ばれたことをうれしく思います。青森は、ゲンジボタルの北限でもありますので、そういうところで、ホタルが乱舞することを期待しています。
西岡公園の多様なトンボ相は、湿原・川・池など公園内の多様な水辺の環境によって構成されているが、放置すると乾燥化が進みやすく、微妙なバランスの上に維持されていることから、水辺環境の健全な保全により、トンボの多様性を維持する活動を行っている。
小澤 紀美子 氏
(東京学芸大学 名誉教授)
つかまえたトンボを標本にして、市民の皆さんに啓発していること、皆さんの先輩が継続して活動していること、乾燥化が進んでいる公園内の湿地を保全、回復していく活動を含めての受賞だと思います。今後も中学、高校、大学と活動を続けてください。
戦後間もない時まで生息していたヘイケボタルをよみがえらそうと角倉小学校内にあるビオトープに、ヘイケボタルをはじめとする水辺の生き物がすみやすいような環境を創り出す活動を行っている。
小澤 紀美子 氏
(東京学芸大学 名誉教授)
私が注目したのは、ゴミから発想して、小さな自然をみつけること、地域にある皆さんの先祖が積み重ねてきた歴史に注目して、市民の皆さんに気づかせる活動を行ってきたことは素晴らしいと思います。また、水保全を行うためにお金をかけずに、浮島を作ったことに感動しました。55人の活動レポートには心がこもっていてとてもよかったと思います。
今年度は校区内に生息する準絶滅危惧種であるヒダサンショウオの卵からの成長時期が場所によって異なる理由ついて調査研究を行い、「遺伝、 水質、水温」の 3 点から研究を進め、成長速度には水温が関係していること、水質や遺伝には関係がないことが分かった。また、様々な場所で研究結果を発表し、地域に関心を高める取り組みを行っている。
吉冨 友恭 氏
(東京学芸大学 環境教育研究センター 准教授)
素晴らしい発表と、産卵の映像をはじめてみて、びっくりしました。ヒダサンショウウオの研究は、少ししか研究がないので、今回の研究は大変貴重なものであると思います。これから研究を発展させていくと、様々なところに行ったり、調査回数を積み重ねていくと思いますが、チームワークが大事なので、みんなと協力し、大学や学会とのネットワークも大事にしてください。どこかのフィールドでお会いできるのを楽しみにしています。
矢島 稔 氏
(群馬県立ぐんま昆虫の森 名誉園長)
大変熱心に飼育をして、近くの学校と相談したり、現地をよく見たり、よく掃除をしたり、花の世話をしながら活動していることがよかったと思います。また皆さんが細かい飼育をしていることに感心しましたが、夜真っ暗になって幼虫が何をしているのかを、実際に川に行ってみてみると、「こういう環境じゃないと川の中で生きられない」、「飼育もこのままだと、だめなんだなぁ」ということがよく分かりますので、子どもたちだけで夜に川へ行くのは難しいと思いますが、そういうところにも着目してください。
矢島 稔 氏
(群馬県立ぐんま昆虫の森 名誉園長)
今回、私たちが審査をしましたが、みなさんの発表をみて、非常に感心しました。保護者の方や近所の人、物知りの人が指導してくれることが大事だと思いました。
ホタルの幼虫は、戦前までシジミを食べていると思われていましたが、神田左京という人が、疑問に思い調べたところカワニナを食べていることをつきとめました。そこから日本におけるホタルの研究が始まりました。皆さんもホタルを室内で飼育するだけではなく、実際に川にいって生き物を調べてみてください。
渡邊 康正
(環境省 水・大気環境局 水環境課長)
みなさんの水辺の生き物にふれたときのワクワクした様子や、水環境をどう思ったかをたくさん聴かせていただき、感心しました。
このホタレンジャーは、年齢や学校、学年は様々ですが、それぞれのレベルにあわせて、生き物や水を感じて活動することが特徴です。これからも皆さん大きくなっていくとともに、それぞれの時々に水辺のいきものや水の環境にふれていただければと思います。
環境省も、これからこどもホタレンジャーの活動をしっかり応援していきたいと思いますので、皆さんも引き続きがんばっていただきたいと思います。