環境省
VOLUME.65
2018年7月号

エコジンインタビュー/自然の素晴らしさに気がつけば、大切にしたい思いが自ずと生まれる。僕らはそう信じています。/HY

HY

美しい海と深い森を持つ沖縄で生まれ育ったメンバー5人で、音楽を作り続けている、HYの皆さん。

「沖縄から外に出て、帰るたびに島の良さを実感する」そうで、年々、沖縄の環境に対する気持ちが大きくなっているんだとか。

環境省主催の『エコライフ・フェア2018』に出演していたメンバーに、直撃取材に伺いました。

ーーー沖縄といえば思い浮かぶのは、澄んだ海。都会から出かける人にとっては、十分美しく見えるのだが、島に住み、長く海を見つめている4人の目には、昔と比べると環境もかなり変わったように映るそう。

許田「地元の先輩たちと話すと、海の魚が少なくなったという声をすごく聞きます。また、スキューバーで海に潜る方から聞いた話では、海が昔と比べて濁っている、と。」

新里「サンゴもすごく減っているんですよ。僕は沖縄の北部が好きでよく行くんですが、山から赤土が海に流れ出て、水が真っ赤になっているのをたまに見かけるんです。サンゴがなくなったらそこに住む小魚がいなくなり、さらにそれを食べている魚もいなくなり…。生物の間で成り立っているはずのサイクルを、一番邪魔しているのは人間なんじゃないかと思うと、胸が痛いですね」

ーーー多数訪れる観光客も、もしかしたらその一因なのかも…?

名嘉「いや、そんなことはないですよ。僕らとしては、県外から遊びに来るひとたちには、萎縮しないで思い切り沖縄を楽しんで欲しいと思ってます。楽しむ中で、ちょっとだけ協力してくれたらいいな、と。例えば、沖縄で売っている、環境に影響が少ない日焼け止めもあるので、そういうものを使ってもらうとか」

宮里「観光客の方々のほうが、自然を大切にしてくれていると思います。島の人がゴミを捨てて、観光客に怒られた、という話を、何度か聞いたことがありますし…」

観光客の方々のほうが、環境に対して意識が高いかもしれません。

ーーー沖縄の自然の美しさや尊さ、そこで育まれた思いを、音楽を通じて表現しているHY 。今は沖縄についてどんなことを伝えたいと思っているのでしょう?

新里「“海が汚れてしまった”とか、“ゴミが流れ着いている”とか、歌で問題提起をして、皆さんの心に訴えることもできるとは思うんです。でも、できればそうではなく、沖縄の海や自然がどれだけ素敵で楽しいか、まずは魅力を伝えたい。そこが伝われば、自然に守りたい、キレイにしたいって気持ちが生まれると思うんです。宝物の大切さを知ってもらう。そのアプローチは忘れたくないですね」

ーーー皆さん個人的にも、水や電気を節約するのはもちろん、近くの海岸のゴミを拾ったりとエコ活動にも積極的。中でも名嘉さんの実践は、なかなかユニークです。

名嘉「僕は、除湿機に溜まる水を、庭のシークワーサーの樹にかけてます(笑)。結構溜まるので、もったいないと思って。自分的には、エコだしいいことしてるなぁって思ってるんですけど…、違いますかね(笑)」

許田「いいんじゃないかな(笑)。僕はどこかに出かけたときには、“来たときよりキレイにする”を心がけています」

新里「個人では小さいことをコツコツと。あと、HYでは地球のために自分達にできることをやろうと、「HeartY」という活動をしているんです。バンドとしては、そこでのワークショップなどを通して、色んな人を巻き込んで、大きな活動にしていけたらな、と思いますね」

profile

HY

2000年に結成し、’01年に1stアルバム『Departure』リリース。メンバーは、新里英之さん(Vo&Gt)、名嘉俊さん(Dr)、許田信介さん(Ba)、宮里悠平さん(Gt)、そして仲宗根泉さん(Key&Vo)の5人組。沖縄の自然にもインスピレーションされた、自身初のセルフカバーベストアルバム「STORY~HY BEST~」を8月22日に発売予定。

写真/かくたみほ

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