2030年までに、温室効果ガス26%削減(2013年度比)という目標を掲げた日本。目標の実現には、企業やNPOなど、あらゆる主体の協力が欠かせません。
ここでは、さまざまな企業・NPO・学校等が描く未来と、それを実現するための取り組みを紹介します。
廃線の危機に直面した鉄道が、沿線の高校の生徒たちの力で存続にこぎつけた。
岐阜県にある大垣養老高等学校食品科学科の生徒有志が「通学の手段が鉄道からバスになれば、排ガスによって地球温暖化が促進されてしまう」と鉄道の利用者増加に向け、学びを生かしたアイデアで挑戦!
▲ 昨年10月に瓢箪を収穫。持ちきれないほどの実がなった
「ひょうたんバーガー」を考案
岐阜県大垣市にある大垣養老高等学校では、生徒の約4割が地元のローカル線、養老鉄道を利用して通学している。だが、年々利用者が減少し、赤字が続いたことにより、近年は廃線が取りざたされていた。「鉄道からバス通学になれば、輸送量あたりのCO2が2倍以上に増えてしまう。排ガスを出さないエコな鉄道を存続させたい!」と環境悪化を憂(うれ)う食品科学科の生徒たちが集い「瓢箪倶楽部秀吉」を結成。地元の特産品である瓢箪を使って新しい名物を作り、養老町を訪れる人を増やして鉄道の利用者増を図ろうと活動を始めた。
学校での学びを生かして開発したのが食用瓢箪を使った「ひょうたんバーガー」だ。自分たちで種から食用瓢箪を育ててピクルスを作り、大小2つのパンを重ねて瓢箪に見立てたハンバーガーの具に使用した。味はキュウリのピクルスとほぼ同じ。地域の人からも「おいしい」と好意的な意見が集まった。
瓢箪の特産品を次々と考案
▲ とてもボリュームのある「ひょうたんバーガー」。瓢箪を使って、ほかにも瓢箪のしば漬けやみそ漬けなどの漬物作りにもチャレンジしている
瓢箪のエコ利用の輪を広げる
またLEDを利用した「ひょうたんランプ」作りのワークショップを開催するなど、瓢箪を使ったさまざまな活動を実施。瓢箪を多くの場所で栽培してもらおうと役場などと協力して町内の保育園や幼稚園、小学校などに苗も配布した。現在では、瓢箪栽培の輪が広がって「ひょうたんグリーンカーテンコンテスト」まで開催されるほど。
「取り組んできたことが身を結んで、昨年鉄道が存続することになりました。やり遂げた! という達成感はありますが、まだ赤字経営とのことなので、自分たちももっとがんばらなければと思っています」と倶楽部代表の岩瀬龍弐朗さん。多くのアイデアを出して地域活性化とエコな取り組みを続けていく予定だ。
瓢箪に親しめるワークショップも開催
▲ 瓢箪の中身をくりぬいて皮だけにし、しっかりと乾燥させて作るひょうたんランプ。光がこぼれる穴をどう開けるかと色付けがセンスの見せどころ
多くの人に瓢箪に興味をもってもらおうと、日本の滝百選にも選ばれた養老の滝がある公園で「ひょうたんイルミネーション」を実施。今後は滝の力を利用した水力や、滝の周囲に巻き起こる風を有効活用して発電などにつなげられないかと、環境に優しいエネルギーの活用についても考えている。