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メタネーション

ポイント!

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、エネルギーの脱炭素化は大きな課題の一つ。そのための新技術として注目されているのが、水素と二酸化炭素からメタンをつくる「メタネーション」です。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)でも実証実験が行われている注目の技術です。

1. メタネーションとは?
メタネーションの「メタ」は、メタン(CH4)のこと。私たちが日々の暮らしで使っている都市ガスの主成分で、化石燃料である天然ガスなどに含まれています。メタネーションは、カーボンニュートラル社会を目指す上で、大きな役割を果たす技術として注目されています。

メタネーションとは、天然ガスの代わりに、水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を原料に使ってメタンを合成する技術のこと。こうして作られたものを「合成メタン」と呼びます。合成メタンを燃やすとCO2が発生しますが、メタネーションを行うときの原料として、発電所や工場などから回収したCO2を利用すれば、大気中のCO2は増加しないとされています。合成メタンは、今ある都市ガスの設備を変えることなく供給できるところも大きな利点です。

2. 実用化へのカギは、持続可能な仕組みづくり
カーボンニュートラルに大きく貢献するメタネーションですが、コストや技術開発には課題があります。また、原料となる水素も、安定的に調達できる仕組みづくりが必要です。太陽光や風力といった持続的に利用できる再生可能エネルギーなどの地域資源を使えば、水素の製造コストを抑えることができ、より持続可能なエネルギー利用につながります。

3. 大阪・関西万博でメタネーションの最前線を体験!
大阪・関西万博では、最新のメタネーション技術を体験できます。会場では、環境省のメタネーション実証事業として、会場内の生ごみを活用して作ったバイオガス中のCO2などと、再生可能エネルギー由来の水素を利用してメタネーションを実施し、合成したメタンは、会場内の迎賓館厨房(ちゅうぼう)や熱供給設備で利用されています。

メタネーション設備を見学する一般向け見学ツアー(要予約)も実施しています。万博での実証後は、メタネーション設備をスケールアップし、近畿圏を中心にごみ焼却工場や食品加工工場向けに導入されることが期待されています。私たちの日々の暮らしや事業に欠かせない燃料。カーボンニュートラルに近づく技術の可能性を、是非ご自身の目で確かめてください。

(左)「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした大阪・関西万博のロゴマーク。(右)万博会場に設置されたメタネーション実証設備。

(左)「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした大阪・関西万博のロゴマーク。
(右)万博会場に設置されたメタネーション実証設備。

万博会場内のメタネーション実証設備。

万博会場内のメタネーション実証設備。

原稿/久保寺潤子
イラスト/丹下京子

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