IAEAは日本政府の要請を受けて、2022年2月以降に、「①ALPS処理水の安全性」、「②規制プロセスの妥当性」、「③独立したサンプリング・裏付け分析」の各観点でレビューを実施しました。これらの結果は2022年4月以降に報告書として公開され、さらに、2023年7月4日にはレビューを総括する「包括報告書」が公開されました。なお、レビューにはIAEAの専門家に加え、11か国から国際専門家が参加しました。
①に関するレビューでは、東京電力が実施した放射線環境影響評価を含む8つの技術的事項について、東京電力と経済産業省から提供された情報の検証が行われました。②に関するレビューでは、原子力規制委員会が実施する審査・検査内容の確認が行われました。③に関するレビューでは、ALPS処理水と環境中の放射性物質のモニタリングを独立した立場で実施し、日本の公表データの検証が行われました。
これらのレビュー結果を総括する包括報告書では、ALPS処理水の放出に関するアプローチと、それに関連する東京電力・原子力規制委員会・日本政府による活動が国際安全基準に合致していると結論付けられています。また、ALPS処理水の放出による人および環境に対する放射線影響は無視できるほどであると結論付けられています。一方で、放出中の活動が関連する国際安全基準と整合しているか、様々なタイミングで再検討される必要があると示されています。このような点を踏まえ、IAEAは放出開始後もALPS処理水の放出の安全性確保にコミットする方針を示しています。
(出典)
・ IAEA, “IAEA COMPREHENSIVE REPORT ON THE SAFETY REVIEW OF THE ALPS-TREATED WATER AT THE FUKUSHIMA DAIICHI NUCLEAR POWER STATION”(2023年7月),
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
・ 経済産業省ウェブサイト「みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと」、
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/shirou_alps.html
に基づき作成
本資料への収録日:2024年3月31日