世界保健機関(WHO)が公表した「原子力・放射線緊急事態における心のケア」(2020年)では、原子力災害が起こっても、被災者の多くは、困難な状況において比較的うまく対処できる力(レジリエンス(回復力))があり、すべての人が重大な心理的問題をかかえたり、抑うつや不安、PTSDなどを発症したりするわけではないと述べています。ただし、特定の集団の人たちは、緊急事態の状況次第で、心理社会的問題のリスクが高まることにも注意を呼びかけています。
本書では、そのような心のケアが特に必要な人たちへの対応として、リスクのある人々にもレジリエンス(回復力)があることを認識した上で、被災者全体に働きかける心のケアと同時に、その集団に合わせた優れたプログラムを計画することが重要であると述べています。
本資料への収録日:2022年3月31日