世界保健機関(WHO)報告書等では、不安等のメンタルヘルス面が強調されるあまり、身体的影響に関してなおざりになっているのではないかという論旨の報告も示されています。
その大きな根拠になっているのは、ウクライナのRivne州で暮らす「森の住民」と呼ばれるポーランド系孤立集落の人々において、特に神経管欠損の発症率が高くなっているという報告です。近親婚の影響も疑われていることや、神経管欠損は、葉酸欠乏や母親の飲酒によっても起こるため、Rivne州の神経管欠損が、チェルノブイリ原発事故由来の放射線によるものか、そのほかの影響によるものか、あるいは複合影響なのかは分かっていません。
(関連ページ:上巻P107「奇形誘発に関する知見-チェルノブイリ原発事故-」)
本資料への収録日:2013年3月31日
改訂日:2015年3月31日