放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和4年度版、 HTML形式)

MENU

第3章 放射線による健康影響
3.6 遺伝性影響

被爆二世における染色体異常

閉じる

原爆被爆二世の健康影響調査で、重い出生時障害、遺伝子の突然変異や染色体異常、がん発生率、がんやそのほかの疾患による死亡率等について調べられていますが、どれも対照群との差は認められていません。
安定型染色体異常は細胞分裂で消失することがなく、子孫に伝わる形の染色体異常です。両親の少なくともどちらかが爆心地から2,000m 以内で被ばく(推定線量が0.01グレイ以上)した子供(被ばく群)8,322人の調査では、安定型染色体異常を持つ子供は18人でした。一方、両親とも爆心地から2,500m 以遠で被ばく(推定線量0.005グレイ未満)したか、両親とも原爆時に市内にいなかった子供(対照群)7,976人では、25人に安定型染色体異常が認められました。
しかし、その後の両親及び兄弟姉妹の検査により、染色体異常の大半は新しく生じたものではなく、どちらかの親がもともと異常を持っていて、それが子供に遺伝したものであることが明らかとなりました。こうしたことから、親の被ばくにより、生殖細胞に新たに安定型染色体異常が生じ、二世に伝わるといった影響は、原爆被爆者では認められないことが分かりました。
(関連ページ:上巻P89「DNA →細胞→人体」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2022年3月31日

ページ先頭へ