放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和4年度版、 HTML形式)

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第2章 放射線による被ばく
2.3 放射線の単位

線量概念:物理量、防護量、実用量

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放射線の人体への影響を管理するために、複数の箇所に受けた放射線の影響を足したり、過去に受けた放射線による影響を足したりして考える必要があります。このために考えられたのが等価線量実効線量です。
等価線量は、人の臓器や組織が個々に受けた影響を、放射線の種類によって重み付けしたものです。
実効線量は、組織が受けた影響を全身分に換算しています。臓器ごとに受けた等価線量の単純平均ではなく、臓器ごとの放射線の感受性の違いで重み付けをしています。
個々の臓器への影響の大きさを重み付けする係数を組織加重係数といいます。
このように、防護量は人体の臓器や組織の線量から計算される量です。そのため、放射能の強さ(単位:ベクレル)や吸収線量(単位:グレイ)のような物理量とは異なり、測定器を使って容易に直接測定することができません。そこで、人体への影響を表すために定義されたものが実用量です。
サーベイメータの読み値にシーベルトが使われているものがあります。これは防護量を直接計測しているのではなく、計測した物理量から定義される近似値、すなわち実用量が示されています。実用量には、環境モニタリングにおいて用いられる周辺線量当量と、個人モニタリングにおいて用いられる個人線量当量があります(上巻P41「線量当量:実効線量を導く、測定可能な実用量」)。
実用量は、防護量に対して保守的な(安全側の)評価を与えるように、防護量より少し大きな数値が出るよう定義されています。

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2017年3月31日

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