放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

第4章 防護の考え方
4.2 線量限度

被ばく線量と健康リスクとの関係

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比較的短時間で受ける100~200ミリシーベルト以上の線量に対しては、確定的影響(組織反応)とがんになるリスクが上昇するという科学的証拠が存在します。そこで、放射線事故による緊急時には、まずは重大な身体的障害を防ぐため、年間100ミリシーベルト以上の被ばくをしないように参考レベルを設定します。事故の収束によって、はじめに設定した参考レベルよりも高い線量を受ける人がほとんどいない状況が達成されたときには、将来起こるかもしれないがんのリスクの増加をできるだけ低く抑えるため、さらに低い参考レベル(年間1~20ミリシーベルト等)を設定して、被ばくする線量の低減を進めます(上巻P164「被ばく状況と防護対策」)。
平常時の基準値としては年間1ミリシーベルトが用いられます。そのため、被ばく量が年間1ミリシーベルトを超えると危険だとか、ここまで被ばくをしてもいいと誤解されることがありますが、線量限度は、安全と危険の境界線ではありません。
他方、1ミリシーベルトまで浴びてもよいわけではなく、諸事情を考慮して現実的に可能な範囲で、できるだけ低く被ばくを抑えることが原則です。
(関連ページ:上巻P117「固形がんによる死亡と線量との関係」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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