放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

第4章 防護の考え方
4.1 防護の原則

被ばく状況と防護対策

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国際放射線防護委員会(ICRP)は人の被ばく状況を、計画的に管理できる平常時(計画被ばく状況)、事故や核テロ等の非常事態(緊急時被ばく状況)、事故後の回復や復旧の時期等(現存被ばく状況)の3つの状況に分けて、防護の基準を定めています。
平常時には、身体的障害を起こす可能性のある被ばくがないようにした上で、将来起こるかもしれないがんのリスクの増加もできるだけ低く抑えるように防護の対策を行うこととされています。そのため、放射線や放射性物質を扱う場所の管理をすることで、一般公衆の線量限度が年間1ミリシーベルト以下になるように定めています。また、放射線を扱う職業人には、5年間に100ミリシーベルトという線量限度が定められています。
一方、放射線事故のような非常事態が起こった場合(緊急時被ばく状況)、平常時には起こり得ない身体的障害の可能性があることから、平常時の対策(将来起こるかもしれないがんのリスクの増加を抑えること)よりも、重大な身体的障害を防ぐための対策を優先することとされています。このため、線量限度は適用せず、一般公衆の場合、年間20~100ミリシーベルトの間の参考レベルを定め、被ばく低減を進めることが定められています。緊急措置や人命救助に従事する人の場合、状況に応じて1,000または500ミリシーベルトを制限の目安とすることもあるとされています。
その後、回復・復旧の時期(現存被ばく状況)に入ると、緊急時の参考レベルよりは低く平常時の線量限度よりは高い、年間1~20ミリシーベルトの間に設定されるべきとされています。
(関連ページ:上巻P173「国際放射線防護委員会(ICRP)勧告と我が国の対応」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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