Q&A(平成28年度版、HTML形式)

第3章 放射線による健康影響

QA3-7 チェルノブイリで白血病が増えたと聞きました。本当でしょうか。

  •  チェルノブイリ原発事故による放射線影響として、白血病の発症リスク増加は、住民において確認されていません。

チェルノブイリ原発事故では様々な疾病について放射線影響健康調査が行われました。しかし、白血病については、事故との因果関係は現在までに確認されていません。

1986年から1987年にチェルノブイリ原発事故によって引き起こされた汚染地域の住民おける1993年と1994年のがん罹患を分析した調査結果

この表は1986年から1987年にチェルノブイリ原発事故によって引き起こされた汚染地域の住民おける1993年と1994年のがん罹患を分析した調査結果です。3か国において有意な増加が確認されませんでした。汚染地域とは、セシウム137沈着密度が1平方メートル当たり185キロベクレル(kBq/m2)以上の地域を指します。UNSCAR2000年報告書では、放射線に関係した白血病のリスクの増加は事故処理作業者でも汚染した地域の住民でもみられていないと報告しています。
その後、作業者について、統計学的には有意ではないものの白血病罹患率の相対リスクの上昇がみられたとの研究報告や1986年に雇用された作業者とそれより線量が低かった1987年に雇用された作業者の白血病の罹患率を比較したところ前者のグループは約2倍であったとの研究報告もみられました。このような報告はあるもののUNSCAR2008年報告書では有意な増加があることを説明するのに決定的であるというにはほど遠いとの見解を示しています。
一般公衆に関しては、胎児か小児期に被ばくした人々における白血病リスクに、測定可能な増加があることを示唆する説得力のある証拠は見いだされていないと報告しています。

①UNSCEAR2000年報告書付属書、②UNSCEAR放射線の線源と影響 原子放射線の影響に関する国連科学委員会UNSCEAR2008年報告書[日本語版] 第2巻:影響 科学的附属書C・D・E

出典の公開日:①平成12年10月27日、②平成25年7月5日

本資料への収録日:平成29年3月31日

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