Q&A(平成28年度版、HTML形式)
第2章 放射線による被ばく
QA2-17 ホールボディ・カウンタ測定で、何が分かりますか。ホールボディ・カウンタによる内部被ばくの評価方法について教えてください。
- ①ホールボディ・カウンタ測定では、測定した時点で体内に存在するγ(ガンマ)線を放出する核種の種類について、それがどんなもので、それぞれの量がどれくらいかが分かります。
- ②放射性物質の摂取状況(急性あるいは慢性)によって、測定時点での内部被ばく線量の総量が異なる可能性があるため、内部被ばく線量の算定には、摂取シナリオを設定することが必要です。
- ③放射性セシウムは生物学的半減期が成人で70~100日のため、急性1回摂取の場合は、1年程度の推定が限界です。
- ④事故後、1年程度以降の測定は、主に摂取した食品からの慢性被ばくを推定する目的で行われます。
- 統一的な基礎資料の関連項目
- 上巻 第2章 57ページ「摂取量の推定のための放射能測定法」
- 上巻 第2章 58ページ「体内放射能の評価法の比較」
- 上巻 第2章 59ページ「内部被ばく測定用の機器」
- 上巻 第2章 60ページ「内部被ばく量の体外計測のデータ」
- 上巻 第2章 61ページ「体内放射能と線量評価」
放射性セシウムの生物学的半減期は年齢によって異なります。その理由は、子供は成人よりも代謝が活発なので、体内に取り込んだ物質が体外へ排出される速度が早いためで、1歳では9日、9歳では38日です。そのため、急性摂取による内部被ばく量の推定は、1歳では一か月程度、9歳では半年程度が限界となります。
なお、ヨウ素131のように半減期が短い放射性核種は、東京電力福島第一原子力発電所事故後の時間経過により減衰してしまった後は検出することができません。また、ストロンチウム90はβ(ベータ)線を出し、γ(ガンマ)線は出しませんので、ホールボディ・カウンタでは測ることはできません。
量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所ウェブサイト「放射線被ばくに関するQ&A」より作成
出典の公開日:平成24年4月13日
本資料への収録日:平成29年3月31日