環境省保健・化学物質対策国際的動向と我が国の取組POPsPOPs対策検討会

POPs対策検討会(第4回)議事要旨


1 日時
平成15年10月21日(火)17:00〜19:00
2 開催場所
開催場所 東条インペリアルパレス ルミエール(2F)
3 出席委員
出席委員
森田委員(座長)
酒井委員
柴田委員
鈴木委員
高月委員
田辺委員
中杉委員
細見委員
事務局
滝澤環境保健部長
安達環境安全課長
荒木環境安全課課長補佐
中嶋専門官
行木専門官
鈴木係員 他
4 環境保健部長挨拶
  • 本検討会のテーマであるPOPs条約への技術的対応については、最重要課題として鋭意取り組んでいく所存であるので、ご指導・ご鞭撻をお願いしたい。
  • 昨年8月にわが国が条約に加盟したが、現在、加盟国数は40ヶ国を超えており、条約発効に必要な50ヶ国まで目前となってきている。そこで、発効に向けた準備が必要であり、各省庁と連携して、国内実施計画の策定などの必要な作業を実施していきたい。
  • この検討会では、関係部局が実施する様々な対策の連携、POPsに係る現状・対策の進捗状況について、科学的、技術的視点から忌憚のないご意見、ご指導をお願いしたい。
5 議題
(1) 最近のPOPs条約に関する国内外の動向について
事務局より、資料2に沿って、
1)条約発効の見通し
2)平成15年7月14日〜18日にジュネーブにおいて開催された第7回政府間交渉会議
3)平成15年3月10月〜14日にノースカロライナにおいて開催された第1回BAT/BEP専門家会合(酒井委員より報告)
4)平成15年4月28日〜5月2日にジュネーブにおいて開催されたバーゼル条約オープンエンド作業部会
5)平成15年3月24日〜27日にジュネーブにおいて開催されたUNEPワークショップ(柴田委員より報告)
6)平成14年12月2〜3日につくばにおいて開催された東アジアPOPsモニタリングワークショップ
についての概要報告が行われ、以下のように質疑応答がなされた。
(森田座長)今の状況では、早ければ年内にも50ヶ国が加盟して、来年4月、5月にも発効し、第1回締約国会議が開催されるということでよいか。(1について)
→POPs条約の発効については早ければ年度内にも50ヶ国が加盟して、来年6月中にも発効する可能性がある。なお、POPs条約では、条約の発効後1年以内に締約国会議を開催することとされており、UNEPのPOPs条約事務局は1年の枠をなるべくぎりぎりまで使いたい意向のようである。
(中杉委員)現在作業を行っている発生源を取り上げた理由は。(3について)
(酒井委員)発生源の種類、発生メカニズム(熱が関与する産業プロセス、化学プロセス、廃棄物の焼却、その他)という4つの大きな区分から、このような分類とされたと理解している。適宜、主要な発生源からBAT/BEP作成作業に着手することとなっている。
(鈴木委員)酒井委員の出席されたBAT/BEPに関する専門家会合とバーゼル条約公開作業部会で作成している個別ガイドラインとは関係があるのか。(3、4について)
(酒井委員)その点については十分には理解していない。バーゼル条約のいままでの具体的な作業状況を見ると、バーゼル条約では低含量POPsの定義の基準を定めようとしており、また環境上適正な処分に重点がおかれているようである。ストックパイルを環境上適正な方法で扱い、また分解していく作業については、バーゼル条約のガイドラインにより基本的な考え方やガイダンスが提示されると思われ、BAT/BEP会合は非意図的副生成物の対処方策に主眼があると思われる。従って、両者にはオーバーラップする部分がでてくるものと思われる。
(2) これまでに講じた取組及び平成15年度に講じる予定の取組について
 事務局より、資料3−1にそって、平成15年1月に関係省庁連絡会議を設置したこと、資料3−2にそって、POPs条約に基づく国内実施計画(素案)の策定作業を進めていることについての報告が行われた。
 続いて、資料4−1にそって、事務局より環境省における具体的な取組状況についての説明が行われ、以下のように質疑応答がなされた。
○質疑応答
(中杉委員)水底土砂については、海洋投棄に関連して地球環境局においても議論が行われているので、それについても取りまとめた方がよいだろう。
 非意図的生成POPsの存在に関する実態調査については、廃棄物処理における非意図的POPsという理解でよいか。また、「存在」とはどういうことか。土壌との受け渡しについてはどう考えているのか。
→ここではHCBを指している。廃棄物の焼却ではHCBが発生するし、工業プロセスでも副生する可能性がある。こうした実態については明らかになっていないため、実測等の方法により調査を行っている。
(高月委員)POPs条約で必要なことは多岐に渡っている。バーゼル条約の締結後、日本ではそれに対応した法律ができたが、今回はそれにPOPs条約に対応するための一括の法律なり、仕組みを作るのか。
→既存の法律により対応できると整理している。
(田辺委員)PCBについては化学分解による処理の研究が進められているが、廃農薬については焼却処理による方法が研究されている。焼却処理を実用化する際に、社会的合意が得られるのか。
→現在は、既存の焼却施設で実証試験を行っている。実際に基準ができ処理する段になるとそういった問題も生じるかもしれないが、今のところは想定していない。農薬は量的にPCBよりも1桁少ないこと、農林水産省において化学分解による処理を検討していることから、2つの技術をにらみながら最終的にどのような技術を用いるのかが選択されることになると思われる。
(森田座長)スクリーニング基準のクライテリアについては、今後化審法の第1種特定化学物質のクライテリアに反映されていくことになるのか。
→スクリーニング基準については、現在国際的にも議論が進められているところであり、どのように具体化されていくかはまだ未定。現在最新の情報を調べているところであり、追ってこの検討会にご報告したい。
(中杉委員)蓄積性については化審法の基準をPOPs条約の基準にあわせて改正している。一方、分解性については化審法はPOPs条約とは全く別の議論で定義しており、化審法の基準を即POPs条約の基準に合わせることにはならない。
→本検討会では附属書Dの基準でまだ明確でない部分についてどのように具体化していくかについて内外の動向を踏まえ検討していただきたいと考えている。POPs条約では残留性について、
1.水中における半減期が2ヶ月を超えること、土壌中における半減期が6ヶ月を超えること、堆積物中の半減期が6ヶ月を超えることの証拠、
2.本条約の対象とすることについての検討を正当とする十分な残留性を化学物質が有すると考えられる証拠
という2つの基準がある。化審法ではOECD諸国で定める分解性試験方法を採用しているので国際的に認められているものである。化審法の基準は、POPs条約でいうところの2番目の基準に該当するのではないか。
(中杉委員)POPs条約の水中における半減期が2ヶ月を超えるという基準と化審法での基準が整合性がとれているかについては別の議論が必要ではないか。
→POPs条約上定められているのは、化学物質が前述の2つの基準を満たすことではなく、半減期での基準が合致していない場合でも、別途他の証拠があれば対象となるということである。従って、化審法についてはご指摘の通り半減期としての基準はないが、POPs条約の2番目の基準である別途他の証拠にあたるのではないかと考えられる。
(酒井委員)条約第8条の新規POPsの登録がいつ頃からどのような形で行われるのか、我々に残された時間はどれぐらいあるのか。
→物質の追加については、POPs条約に基づき、国際的にPOPs検討委員会を設置して議論することになっている。そもそも委員の選定については地理的な偏りなどを勘案して、第1回締約国会議で決まる。第1回締約国会議は2005年前半にも行われる可能性があるが、その議論で具体的な予定が見えてくると思われる。
(酒井委員)GEFでは新規POPsについての議論はしているのか。特に田辺委員が参加されているGEF/STAPではどうか。
(田辺委員)特に議論していない。GEF/STAPではPOPsではなく、PTS(Persistent Toxic Substance) という考え方に移っていくのではないか。
(森田座長)生物濃縮という概念はPTSには入っているのか。生物濃縮がなくても環境中に残留するものは良くないとも読めるが、その点はどうなっているのか。
→PTSについてはGEFでも明確に定義されていないようであるが、一般的にはPOPsを含んでいる物質で、それ以外に“Persistent in the environment”、“Persistent to degradation”、“acute and chronic toxicity”、“bioaccumulation”という用語が手元資料中にあるので、概念としては生物濃縮等を含んだ物質であると考えられる。
(鈴木委員)残留性については、環境中の分解速度と化審法で得られているデータは一致しないと思うが、新規POPsの議論ではこれまでのデータが活かすことができ、問題ないであろう。ただ、以前のデータを読み替えるというテクニカルな課題は残っているかもしれない。
(細見委員)PBTもあるが、第4の条件として長距離移動性がある。化審法ではその点についてどうなっているのか。
 GEF/STAPのストックパイルの分解技術の会議では、ストックパイルそのものもあるが、周辺の土壌汚染についての話題も出てきている。埋設されている周辺土壌の汚染の基準は判断指針という形で示すのか、また、もし埋設されている周辺が汚染されていると判断されると、浄化の最終的な値をどうするのかという議論をしておく必要がある。前もってそうした点について議論してルールを策定しておかないと、対応する側が苦慮することになる。
(森田座長)国内の基準と国際的な基準をどのように調和するかという視点が必要である。
→長距離移動性は附属書の中でも最も曖昧な基準になっている。現在、日本の化審法では入っていない。UNEPケミカルにおいて、POPs条約の前身であるUNECEのLRTAP(長距離越境移動大気汚染物質に関する条約)に関し、本年の年末年始頃にワークショップの開催が予定されており、長距離移動性についても議論されることになっていると記憶している。環境安全課としても国際的な動向について把握していくとともに、鈴木委員の協力を得て長距離移動性のモデルなどについても検討を進めていく計画である。
→廃棄物の処理基準については、濃度基準をどう考えるかについて議論がなされている。PCB廃棄物については、PCBを50ppm以上含むものとする判断基準が国際的にあるが、そうした基準の必要性があるのか、また別の基準を設けるべきかについて検討したい。
→汚染土壌に関しては、POPs廃棄物の濃度基準を作った場合は同様に扱うことになるかもしれないが、対応の仕方として廃棄物と考えるか、汚染土壌と考えるかについて法的整理が必要である。
(中杉委員)長距離移動性に関して、大気中の半減期をそのまま適用するとトリクロロエチレン程度でも十分POPsになり得ると思われるがどうか。長距離移動性に関して言えばかなりの物質がPOPsになりうると考えられる。何か新しい情報はないか。
→長距離移動性の定義については新しい動きはないと思われる。
(中杉委員)汚染土壌という観点で考えると別の観点があると思われる。ダイオキシンの土壌汚染では、直接摂取でのリスク評価をしており、後の管理をどうするかは別として、同じような議論をしていかなければならないのではないか。そうすると今は廃棄物処理という観点から50ppmという値としているが、全く違った値になる可能性もある。そうすると、どのように処理、修復するかといった後の対応とは別の観点での議論も必要になると思われる。
 続いて、事務局より資料4−2に基づいて、関係府省のPOPs対策関連予算についての報告が行われた。
(田辺委員)予算のリストの中に文部科学省が入っているが、関連省庁連絡会議になぜ文部科学省が入っていないのか。
→関係省庁連絡会議を設置するときに文部科学省を含め関係各省庁に連絡したが、当時同省の判断によりオブザーバー参加ということになった。
(3) 今後の進め方について、資料5に沿って事務局より説明が行われた。
(4) まとめ
 最後に森田座長より、事務局には本日の議論を踏まえて引き続き作業をお願いしたいとのまとめがあった。
以上